知的財産戦略

イトーキでは、知的財産機能を経営企画部門の傘下に置き経営戦略との融合をすすめています。プロダクト開発・オフィス空間デザイン提案等で創出される新しい価値を戦略的に知的財産化し、活用することにより、事業活動において自社の存在価値と競争優位を高めています。

デザインを武器とした差別化・競争力強化

イトーキは『明日の「働く」を、デザインする。』というミッションのもと、プロダクト開発、ソリューション開発、オフィス空間デザイン提案をすすめています。これら活動においては、第三者の知的財産権への配慮を前提としながら、自社で創出した新たな価値について積極的に知的財産権を取得し、市場での競争力強化を図っています。近年、特許や意匠の出願件数は増加しており、特にイトーキの強みとする「プロダクト/オフィス空間デザイン」は意匠権を用いて保護強化しています。2024年度の新規の意匠登録件数は199件で国内企業第4位※1、令和元年意匠法改正により取得可能となった「内装意匠(内装デザインの意匠)」は、2024年末時点で累計登録件数116件で日本第1位となっています※2。
※1 特許庁ステータスレポート2025
※2 イトーキ調べ

CASE STUDY:知財ミックス(特許と意匠権の組み合わせ)の取り組み

近年、イトーキは、プロダクト開発とオフィス空間デザインとの連携を強化し、家具と空間の両面から新しい働き方を創る機運を高めています。知的財産権の獲得においては、日常的に、課題解決アプローチである「特許権」と、デザインアプローチである「意匠権」を融合した視点で戦略的に取り組んでいます。既存事業においては、オフィス1.0のプロダクト開発領域、オフィス2.0のオフィス空間デザイン領域の双方において、特許権・意匠権を活用することで市場競争力を強化しています。

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図で示すのは、前列にソファ、後列にテーブルを配したユニットをサークル状にレイアウトした新しい会議室の在り方を、課題解決アプローチとオフィス空間デザインアプローチの両面で捉え、特許権と意匠権を併せて出願した、オフィス2.0領域の事例です。

知財部門の在り方を見直して生まれたイノベーションの好循環

デザイン思考から生まれた発明表彰

イトーキは、イノベーションを向上させる仕組みとして、斬新な発明を讃える「発明表彰」制度を導入しています。
この制度は、知的財産部門が「イノベーション向上のために知的財産部門としてどのように貢献できるのか」をテーマに、デザイン思考を実践したことで生まれました。イノベーション創出に密接に関わるデザイナーや開発メンバー(ユーザ)の本質的なニーズを深く探りながら『共感→問題定義→発想→試作→検証』の5プロセスで議論を重ね、ユーザの満足度を高めながらイノベーションを促進する仕組みを構築しました。

新たな知財部門の関わり方として、イノベーション創出の「前工程」での働きかけを検証

デザイン思考の5つのプロセス『共感→問題定義→発想→試作→検証』にて議論

モチベーションUPによる新たな価値創出

「発明表彰」制度では、新商品に関連する特許出願の中から、企業価値を⾼め得る斬新な発明(⾰新性、独創性等を備えたもの)を表彰します。発明の鮮度が高い状態で表彰されるため、この制度は受賞者の新たなイノベーション創出への動機を高め、新たな価値創出への好循環を実現しています。

座るだけで聞きやすい「サウンドパラソル」技術的にもデザイン的にもアイコニックな商品として話題に

次の商品開発

「サウンドパラソル」がオフィスに馴染む形で発展した「サウンドソファ」

これまでにはなかったサービス・商品が次々に生まれては消費されるなか、企業価値を高めるには継続的なイノベーション創出が不可欠です。その礎となるのは人の発想力という形のない知的財産であり、これを形にして企業価値を高める取り組みを続けていきます。

TOPICS:特許の技術競争力指標(YK値)

イトーキでは、技術競争力の客観的な指標として、YK値※を採用しています。YK値の前中期経営計画期間である2020年末から2023年末にかけての成長率は223%、直近2023年末から2024年末にかけての成長率は113%と伸長しました。なお製品分野別のYK値では、椅子分野で2023年以降1位を維持しています(2025年4月30日時点)。

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※ 「YK値」とは、工藤一郎国際特許事務所による特許の独占排他性の強さを測定した特許技術競争力指標です

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