トップに戻る
働き方

ウェルビーイング経営とは?オフィスづくりで実現する、従業員の幸福と企業の持続的成長

ウェルビーイング経営は、従業員の心身の健康や人間関係、仕事へのやりがいを重視する経営です。生産性の向上や人材の定着といった企業の成長にも大きく関わるため、近年ますます注目されています。

本コラムでは、ウェルビーイング経営の基本概念や注目される背景、具体的な施策、オフィス環境が果たす役割について解説します。

ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営では、従業員の心身の健康から人間関係や仕事のやりがいといった要素まで、包括的に捉える点が特徴です。

まずは、「ウェルビーイング」の言葉の意味と基本概念を確認しておきましょう。

ウェルビーイングの意味

ウェルビーイング(Well-being)は、英語の「well=よい」と「being=状態」から成り立つ言葉です。心身の健康に加えて、仕事のやりがい、人や社会とのつながりなども含め、日常が良い状態で続いていることを指します。ウェルビーイングは単に「健康」だけではなく、生活や仕事に関わる要素を幅広く捉える点が特徴です。

世界的な調査会社であるGallup(ギャラップ)社は、ウェルビーイングを形作る要素として、次の5つの領域を示しています。


ウェルビーイングを形作る5つの領域

Career Well-Being
キャリア

日々の仕事にやりがいや前向きさを感じられているか

Social Well-Being
ソーシャル

周囲と信頼関係を築き、支え合えるつながりがあるか

Financial Well-Being
フィナンシャル

生活や将来に対する経済的な安心感があるか

Physical Well-Being
フィジカル

心身のコンディションを良好に保てているか

Community Well-Being
コミュニティ

地域など所属する場とのつながりを感じられているか


この5領域は、国や文化を超えて共通するとされる要素を整理した考え方で、従業員の状態を把握する際の観点として国際的にも参考にされています。
企業が従業員のウェルビーイングに取り組むうえでは、こうした領域を踏まえ、従業員がより良い状態で働き続けられるよう支える視点が重要といえるでしょう。

参考:「Your Career Well-Being and Your Identity」(Gallup)
https://news.gallup.com/businessjournal/127034/career-wellbeing-identity.aspx

ウェルビーイング経営と健康経営、ライフデザイン経営の違い

ウェルビーイング経営を理解するには、健康経営やライフデザイン経営といった似た考え方を持つ経営手法との違いを整理しておくことが大切です。

いずれも従業員の幸福や働きやすさを重視する考え方ですが、健康経営は「健康」への投資と組織活性化、ライフデザイン経営は「キャリアとライフイベントの両立支援」に重心があります。一方、ウェルビーイング経営は、心身の健康に加えて人間関係や仕事のやりがいなども含め、従業員の幸福をより多面的に捉える点が特徴です。


ウェルビーイング経営・健康経営・ライフデザイン経営の違い

ウェルビーイング経営

健康・人間関係・やりがいまで含めて従業員の状態を幅広く捉え、より良い状態で働き続けられることを通じて、企業の持続的な成長を目指す

健康経営

従業員の健康を重要な経営資源と捉え、健康への投資を通じて、組織の活力向上や生産性向上を目指す

ライフデザイン経営

キャリアとライフイベントの両立を支え、ライフステージに応じた支援を通じて、働きがいと働きやすさの両立を目指す

参考:「健康経営」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

参考:「解説!ライフデザイン」(経済産業省)
https://lifestage-service.go.jp/articles/lifedesign_explanation_04/

ウェルビーイング経営が注目される背景

ウェルビーイング経営が注目される背景には、社会や経済環境の変化に加え、企業を取り巻く人材課題の深刻化があります。
ここでは、その要因を3つに整理して説明します。

働き方改革と働き方に対する価値観の変化

この数年で、社会全体の働き方に対する価値観が大きく変化しました。長時間労働は「美徳」として語られる時代ではなく、是正が求められるテーマになっています。

ワークライフバランスを重視する考え方が浸透し、「どれだけ働くか」より「どう働くか」が問われるようになりました。従業員の幸せを起点とするウェルビーイング経営への関心が高まっているのは、こうした変化の表れといえるでしょう。

SDGs・ESG投資と人的資本経営の浸透

企業を評価する軸は、売上や利益といった数値に加え、環境や社会への配慮、ガバナンスといった要素にも広がっています。そうした流れの中で、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から、従業員への配慮や育成といった人的資本への取り組みも重視されるようになりました。

たとえばSDGsには「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」といった目標が掲げられており、働く人の状態を整えることは、企業の持続的な成長を支える観点としても注目されています。

深刻化する人手不足と人材戦略の転換

人口減少が進む日本では、人材の確保と定着が多くの企業にとって大きな課題になっています。働き方の選択肢が広がり、転職や副業など人材の流動性も高まる中で、企業が選ばれ続けるには「この会社で働き続けたい」と思える環境づくりが欠かせません。

従業員のウェルビーイングを支える取り組みは、働きやすさだけでなく、働きがいの面からも人材の定着や組織力の向上につながりうる観点として重視されるようになっています。

ウェルビーイング経営の3つの効果

ウェルビーイング経営は、従業員だけでなく企業にもさまざまなメリットをもたらします。
ここでは、「生産性」「人材」「組織文化」の3つの視点から、具体的な効果を見ていきましょう。

生産性が向上する

ウェルビーイング経営の代表的な効果の一つが、生産性の向上です。心身のコンディションが整い、仕事に意義を感じられる環境では、従業員一人ひとりのパフォーマンスが高まります。

厚生労働省の研究では、ウェルビーイングの向上が個人や組織の能力発揮を後押しし、生産性向上につながることが示されています。さらに、そこで得られた成果は次の取り組みに充てる時間や予算の余力にもつながり、取り組みを継続しやすくなるといった好循環も報告されています。

参考:「雇用政策研究会報告書」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001389999.pdf

人材の確保・定着につながる

人口減少や人手不足が続く中、人材の確保と定着は多くの企業にとって重要なテーマです。企業が選ばれ続けるには、「従業員を大切にしているか」が伝わる職場づくりが欠かせません。

柔軟な働き方やメンタルヘルスケア、福利厚生の充実などを通じてウェルビーイングを支えることは、「ここで働き続けたい」という気持ちを育て、定着につながりやすくなります。結果として離職の抑制や採用・育成コストの軽減が期待でき、組織に知見やノウハウが蓄積されやすくなる点もメリットといえるでしょう。

イノベーションが生まれる

従業員のウェルビーイングが高まると、仕事への向き合い方にも変化が生まれます。仕事に意味を見いだせる環境では、自ら考えて動く主体性が育まれ、周囲との協力も活発になるでしょう。

こうした前向きな変化が、新しいアイデアや創造的な解決策を生み出す土台となり、イノベーションにつながっていきます。

ウェルビーイング経営を進める具体的な施策

ウェルビーイング経営を進めるには、制度面の見直しや職場環境の整備など、さまざまな施策を組み合わせて取り組むことが効果的です。
ここでは、企業で実際に取り組まれている代表的な施策事例を紹介します。

柔軟な働き方と制度の整備

柔軟な働き方は、ウェルビーイング経営における代表的な施策の一つです。フレックスタイム制度や時差勤務、テレワークの導入などにより、働く時間や場所の選択肢を広げる企業も増えています。

育児や介護との両立支援では、休暇制度の拡充に加え、ベビーシッター利用補助や介護サービス支援など、生活を支える取り組みが行われる例もあります。こうした施策は、従業員が自身の状況にあわせて無理なく働き続けられる環境づくりを後押しし、安心して働き続けられる土台となっています。

健康増進とメンタルヘルスケア

健康増進とメンタルヘルスケアは、ウェルビーイング経営を支える重要な取り組みです。多くの企業では、定期的なストレスチェックなどを通じて状態を把握し、課題が深刻化する前に対処する取り組みが行われています。

あわせて、産業医やカウンセラーと連携した相談窓口の設置、復職支援制度の整備など、安心して相談できる体制づくりも欠かせません。最近では、AIによる健診結果の分析やデジタルツールを活用したコンディションの可視化など、従業員の主体的な健康づくりに取り組む企業もみられます。

キャリア支援と成長機会の提供

従業員の成長を支える取り組みとして、リスキリング支援制度の導入も広がりをみせています。研修機会の提供や学習費用の補助に加え、キャリア相談窓口の設置や定期的なキャリア面談を通じて、従業員の希望や適性に応じた育成計画を立てていきます

また、セルフ・キャリアドックやジョブ・カードの活用など、従業員が主体的にキャリアを見つめ直す機会を設ける企業もあります。

社内コミュニケーションとエンゲージメントの向上

ウェルビーイング経営では、日々のコミュニケーションをどう設計するかもポイントになります。たとえば、定期的な1on1や部署を越えた交流の場を設け、日常的な対話を増やす工夫が行われています。対話の機会が増えることで相互理解が深まり、安心して意見を交わせる関係づくりにもつながるでしょう。

また、エンゲージメントの向上に向けては、従業員満足度調査やサーベイで現状を把握し、従業員の声を経営に反映させる仕組みづくりが注目されています。

ウェルビーイング経営を支えるオフィスの役割とは

従業員のウェルビーイングを育むには、毎日を過ごすオフィス環境への配慮が欠かせません。

イトーキが実施した「オフィスワーカーの意識調査2025」では、従業員がオフィス環境支援(オフィスにおけるパフォーマンス・集中・コミュニケーション・成長を支援する環境の有無)を実感している職場ほど、「生産性が高く働けている」と回答する割合が高い傾向が見られました。

たとえば、「生産性高く働けている」と回答した割合は、オフィス環境がパフォーマンスを支えてくれていると感じている層で82.7%だった一方で、感じていない層では8.2%にとどまっています。
また、集中やコミュニケーション、成長のそれぞれの観点でもオフィス環境からの支援を感じる層と感じていない層で、生産性の実感に大きな差が確認されました。

ウェルビーイングを支えるオフィスは、働き方の多様化に対応し、環境面のストレスを抑える役割を担います。オフィスは、従業員のパフォーマンス発揮を支える環境づくりの要といえるでしょう。

ウェルビーイングを実現するオフィスづくりのポイント

ここからは、そのオフィス環境を具体的にどう整えていくか、従業員の心身の健康と生産性を高めるためのポイントを5つの観点から見ていきましょう。

自然光や観葉植物を取り入れ、空気の状態にも配慮する

自然光が入るオフィスは、従業員の心身に良い影響を与えます。日光を浴びることで体内時計が整い、集中力の向上や気分の安定につながります。窓際の席だけでなく、オフィス全体に光が行き渡るよう、パーティションの高さを工夫したり、ガラスなどの透明素材を取り入れたりするとよいでしょう。また、観葉植物などの自然要素を取り入れると、視覚的なリラックスにもつながります。

あわせて、換気設備や空調を整え、新鮮な空気が循環する状態を保つことも意識したいポイントです。こうした環境整備は、ストレス軽減や生産性の向上に加え、オフィスへの愛着やエンゲージメント向上にも良い影響をもたらすでしょう。

音環境を考慮した空間づくり

オフィスの音環境は、集中力やストレスに直結する要素です。電話の声、キーボード音、雑談などのノイズが続くと、作業効率の低下や疲労感の原因になります。

オフィスのレイアウトでは、1人で集中作業を行う「静か」なエリアと、複数人でコミュニケーションを行う「にぎやか」なエリアに分ければ、騒音の影響を軽減できます。
また、業務内容に応じて、エリアごとに音環境を切り分ける工夫を取り入れるとよいでしょう。

  • 集中エリア:個室やブースを設け、静かに業務に没頭できる空間
  • コミュニケーションエリア:ミーティングやディスカッションをしやすい開放的な空間
  • リフレッシュエリア:適度なBGMが流れる、気分転換しやすい空間

吸音材やカーペット、パーティションなどを活用すれば、音の反響や伝わり方を調整できます。必要に応じて、BGMやサウンドマスキングを取り入れるのも効果的です。

コミュニケーションを促進する空間設計

従業員同士の交流は、イノベーションの創出や組織の一体感醸成に欠かせません。オフィスの空間設計を工夫することで、自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。

効果的なのは、人が集まる動線の工夫です。コピー機や文具ステーションなど、従業員が立ち寄るポイントを通路沿いに配置すれば、移動の際に偶然の出会いが生まれます。また、オープンな打ち合わせコーナーを設ければ、気軽に声をかけやすい雰囲気をつくることもできるでしょう。

立ち話ができるハイカウンターや、1on1に適したクローズドな打ち合わせスペースなど、さまざまなコミュニケーションの形を空間に落とし込むことで、相談や対話が生まれやすくなり、心理的な安心感や関係性づくりにもつながります。

さまざまな働き方に対応できる柔軟なオフィスレイアウト

従業員の快適な働き方のためには、「目的に合ったスペース」が大きな効果を発揮します。たとえばWeb会議の予定が続いているのに、専用の場所がないためにずっと自席で行わなければならない…といった状況では、自分も周囲もやりにくさを感じてしまい、心地よい働き方から遠ざかってしまいます。
目的のために特化したスペースを設けることで、従業員自身が業務に応じてその場を選んで使用でき、快適なだけでなく自由度と自律性の向上にもつながります。

代表的なスペースには、以下のようなものがあります。

  • オープンスペース:コミュニケーションや軽作業に適した開放的な空間
  • 集中ブース:一人で黙々と作業したいときに使える個室・半個室ブース
  • 会議室・プロジェクトルーム:チームでの議論や共同作業に使える個室
  • Web会議ブース:オンライン会議に集中できる防音性の高い小規模ブース

こうしたスペースを組み合わせ、心地よく働ける環境を整えることで、生産性の向上やアイデア創出にもつながるでしょう。

定期的な効果測定とフィードバック

従業員にとってどんなオフィスが心地よいかは、時代や環境、企業の状況によっても変わってきます。そのため、オフィスを日々運用する中で見えてくる使いにくさや、コミュニケーションの影響などにも常に目を向け、改善を重ねていくことが大切です。

従業員アンケートやヒアリング、簡単なサーベイで声を集め、「使いやすいエリア/使いづらいエリア」や「改善してほしい点」をもとに、配置や運用ルールを定期的に見直しましょう。

また、オフィスの利用状況や滞在時間、混雑具合などをデータで把握できるツールや、組織のコンディションやエンゲージメントを可視化するサービスを組み合わせると、主観と客観の両面から改善ポイントを捉えやすくなります。

ウェルビーイングなオフィスづくりはイトーキにおまかせください

イトーキは【明日の「働く」を、デザインする。】というミッションのもと、長年にわたってオフィス環境の可能性を追求してきました。自社オフィスで実践と検証を重ね、得た知見をお客さまへの提案に活かしています。

ウェルビーイング経営を支えるオフィスづくりをお考えの方は、ぜひお気軽にイトーキにご相談ください。オフィス移転やリニューアル、レイアウトの見直しから、家具選び、環境測定ツールの導入まで、ワンストップでサポートいたします。

まずは無料相談から
お問い合わせはこちら
カテゴリー
働き方
タグ