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働き方

従業員エンゲージメントとは?意味やメリット、向上させる施策を解説

従業員エンゲージメントは、企業と従業員の信頼関係を示す重要な指標です。企業の業績への影響も大きいことから、昨今では人事戦略上の重要な要素としても注目を集めています。

本コラムでは、従業員エンゲージメントの意味や従業員満足度・モチベーションとの違い、注目される背景などを幅広く解説。さらに、従業員エンゲージメントを向上させるメリットや施策について詳しくご紹介します。

従業員エンゲージメントとは

近年、多くの企業が人材戦略の核として「従業員エンゲージメント」を重視するようになってきました。この言葉を耳にする機会も増えていますが、その正確な意味を理解している方は少ないかもしれません。

まずは、従業員エンゲージメントの意味や、類似概念である「従業員満足度」「モチベーション」との違い、そして近年注目を集めている背景について詳しく見ていきましょう。

従業員エンゲージメントの意味

従業員エンゲージメントとは、従業員が組織や仕事に対して抱く愛着心や帰属意識を表す言葉です。これは単なる仕事への満足度や会社への忠誠心とは異なり、より深い感情的なつながりを意味します。具体的には、以下のような要素が含まれます。

  1. 会社の理念や目標に共感している
  2. 自身の仕事に対する誇りと情熱がある
  3. 組織の成功に貢献したいという意欲がある
  4. 業務改善や問題解決に自発的に取り組む

簡単にいえば、従業員エンゲージメントが高い状態とは、従業員が「この会社で働くことに喜びを感じ、会社の成長のために全力を尽くしたい」と思える状態です。

ただ仕事に満足しているだけでなく、「会社の未来に自分自身も深く関わっていると感じられる」「積極的に貢献しようと思える」かどうかがポイントとなります。

従業員満足度やモチベーションとの違い

従業員エンゲージメントと混同されやすい言葉に、「従業員満足度」と「モチベーション」があります。一見似ているように思えますが、それぞれ異なる特性を持つ概念です。以下に、これら3つの概念のおもな特徴を比較してみましょう。

【従業員エンゲージメント・従業員満足度・モチベーションの比較】

従業員エンゲージメント 従業員満足度 モチベーション
定義

会社への愛着心や帰属意識、自発的に貢献したいという意欲

福利厚生や職場環境、給与などに対する満足度

個人が目標達成に向けて行動するための原動力

行動への影響

成果につながりやすい

必ずしも成果につながるとは限らない

一時的な意欲向上につながるが、持続性に欠ける場合がある

対象範囲

会社全体への貢献意欲や帰属意識

おもに待遇や環境に関する満足度

特定の目標や課題に対する意欲

長期的影響

企業の持続的成長と発展に寄与

従業員の定着率向上に寄与

短期的な成果向上に寄与

表を見ると、エンゲージメントの高い従業員は自発的な貢献意欲を持ち、それが個人の業績や成果に直結しやすいことがわかります。個人レベルの成果が積み重なることで、企業全体の成長と発展にも大きく寄与するのです。

一方、従業員満足度はおもに待遇や労働環境に関する満足度を指します。ただし、満足度が高いからといって、必ずしも高い成果につながるとは限りません。快適な環境で働けることに満足していても、それが直接的に生産性の向上や革新的なアイデアの創出には結びつかないからです。

モチベーションに関しては、特定の目標や課題に対して短期的な成果向上には効果的です。しかし、外部要因に依存する傾向があるため、持続性に欠ける場合があります。一時的な報酬や称賛によってモチベーションが上がっても、それが長期的な業績向上につながるとは限らないのです。

したがって、企業が持続的な成長を目指すためには、一時的な満足度やモチベーションの向上だけでなく、従業員エンゲージメントを高める施策に重点を置くことが重要だといえるでしょう。

従業員エンゲージメントが注目される背景

企業を取り巻く環境の変化に伴い、従業員エンゲージメントは企業の人事戦略における重要なキーワードとなっています。人的資本経営への関心が高まる中、従業員エンゲージメントは人材の価値を最大化するための重要な指標として認識されるようになりました。

少子高齢化による労働生産人口の減少や働き方の多様化も、従業員エンゲージメントの重要性を高めています。企業は限られた人材の能力を最大限に引き出し、帰属意識や仕事への熱意を高めることが課題となっているのです。

また、多くの研究や事例から、従業員エンゲージメントの向上が顧客満足度や企業業績の向上に密接に関連していることも明らかになっています。

さらには、2024年度からの人的資本情報の開示義務化も相まって、従業員エンゲージメントは企業価値を測る重要な指標として投資家からも注目を集めています。

従業員エンゲージメント向上によるメリット

従業員エンゲージメントを高めることで、企業には様々なメリットがもたらされます。特に重要なものとして、以下の3つが挙げられます。

1. 組織の活性化と生産性向上

従業員エンゲージメントが高まると、社員一人ひとりの仕事への意欲と責任感が向上します。自分の役割をより深く理解し、組織の目標達成に向けて積極的に行動するようになります。その結果、組織全体の雰囲気が活性化し、業務効率・生産性の向上につながるのです。

経済産業省の資料によると、2018年に実施された企業66社を対象とした調査において、従業員エンゲージメントスコア(ES)と営業利益率、労働生産性の間に相関関係が確認されています。この結果は、従業員エンゲージメントの向上が企業の業績に直接的な影響を与える可能性を示唆しています。

参考:経済産業省「従業員エンゲージメント(士気・熱意)と企業業績の関係」

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/001_04_00.pdf

2. 顧客満足度の向上

エンゲージメントの高い従業員は、自社の商品やサービスへの理解が深く、顧客のニーズを的確に把握し適切な提案ができるため、顧客満足度が高まります。

会社に対して好意的な感情を持つ従業員が、深い知識で親身になって対応することで、顧客と良好な関係が築けるようになります。ひいては、リピーターの増加や口コミによる新規顧客の獲得にもつながるでしょう。

3. 離職率の低下

従業員エンゲージメントが高まると、会社への帰属意識や仕事への満足度が向上し、離職率の低下につながるといわれています。
エンゲージメントの高い従業員には、たとえば次のような特徴があります。

  • 自分の仕事に意義を感じる
  • キャリアの成長機会を見出しやすい
  • 職場の人間関係が良好になる
  • ストレスが軽減される
  • 長期的に働き続けたいという意欲が高まる

離職率が下がることで、企業は採用・教育コストを削減できます。これは企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

従業員エンゲージメントを向上させるには?

従業員エンゲージメントを向上させるには、組織の体質改善という中長期的な視点に立った取り組みが重要です。従業員エンゲージメントの向上に効果的な施策として、以下のようなものがあります。

経営ビジョンの共有

企業の目的やビジョンを明確に示し、従業員と共有することで、仕事の意義を感じてもらいやすくなります。定期的に全体会議やインナーブランディングを行い、従業員の共感を得られるよう努めましょう。

コミュニケーションの活性化

風通しの良い組織づくりは、エンゲージメント向上の鍵となります。上司と部下の1on1ミーティングの実施や、部署を越えた交流会の開催など、会社が先導してコミュニケーションの機会を増やしましょう。

経営層からのメッセージ発信も、従業員の帰属意識を高める上で重要です。

公平性の高い人事制度の構築

従業員エンゲージメントを高めるには、人事制度の公平性を維持することが重要です。納得感のある評価や報酬体系は、従業員の信頼感と仕事への意欲に大きな影響を与えます。

まずは、評価基準を明確にし、透明性のある評価プロセスが大切です。目標設定から中間レビュー、最終評価まで、上司と部下が定期的に認識を合わせることで、公平性と納得感が高まります。成果だけでなく、仕事のプロセスや努力も適切に評価する仕組みを取り入れるというのも選択肢の1つでしょう。

また、キャリアパスを明確にし、昇進・昇格の基準を公開することも不可欠です。従業員が自分の将来を具体的にイメージできれば、仕事への意欲にもつながります。

従業員の成長支援と健康管理

企業には、従業員が自身のキャリアを主体的に考え、成長できるような機会を提供する施策が求められています。研修プログラムの充実や、社内公募制度の導入など、従業員の成長をサポートする仕組みを整えましょう。

同時に、従業員の心身の健康はエンゲージメントに大きく影響するため、定期的な健康診断の実施は必須です。メンタルヘルスケアの充実やワークライフバランスの推進など、従業員の健康を総合的にサポートする取り組みを行いましょう。

ワークライフバランスの推進

柔軟な勤務制度や有給休暇の取得促進など、従業員のプライベートな時間も大切にする姿勢を示すことで、仕事への意欲が高まります。心も身体も健康で、社会的に良好な状態にあることを示す「ウェルビーイング」の観点でも、ワークライフバランスの推進は欠かせません。

また、従業員がライフスタイルに合わせて労働時間や勤務場所を自由に選択できる柔軟な働き方は、さまざまな事情を抱える従業員にとって就業機会の拡大につながるのです。

育児や介護との両立支援など、従業員のライフステージに合わせた制度はエンゲージメントに少なからず影響をもたらすでしょう。

働きやすいオフィス環境の整備

オフィス環境は日々の業務と密接に関わる要素です。働きやすく快適なオフィス環境は、従業員の満足度とパフォーマンスを向上させます。「良いオフィスで働いている」という充実感は、会社に対する帰属意識や誇りにも良い効果をもたらしてくれるでしょう。

社内外に自信を持って紹介できるオフィスデザインや働きやすいオフィス設計、照明・空調の管理、快適に過ごせるリラックススペースの導入など、従業員のニーズに合わせた環境づくりを心がけましょう。

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本コラムでは、従業員エンゲージメントの意味や重要性、向上させるメリットや方法について詳しく解説してきました。しかし、具体的にどのように取り組めばいいのか、悩んでいる方も少なくないでしょう。

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