トップに戻る
働き方

総務DXとは?必要な理由と導入メリット、具体的な取り組み事例をご紹介

現代のビジネス環境において、企業の競争力強化に欠かせないDX(デジタルトランスフォーメーション)。これは、デジタル技術とデータを活用して業務や組織を変革していく取り組みです。

とくに最近は、企業全体の業務基盤を支える総務部門のDX推進(総務DX)が注目を集めています。
本コラムでは、総務DXの基本概念から導入メリット、具体的な取り組み事例まで、わかりやすく解説。総務DXの推進にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

総務DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、経済産業省の「DX推進指標」において以下のように定義されています。

【デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義】

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

参考:「DX推進指標」(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/dgs5/pdf/004_s04_00.pdf

こうした企業全体のデジタル変革の流れの中で、総務部門特有の課題を解決するDX施策にも注目が集まるようになりました。

総務DXとは、総務部門の業務にデジタル技術を取り入れ、業務効率化や新しい価値を生み出すための取り組みです。最新のデジタル技術を活用することで、これまで分断されていた業務を連携させ、従業員の働き方を改革し、組織全体の生産性向上を目指します。
社会環境の大きな変化に対応するため、従来の業務プロセスをデジタル技術を活用して改善し、変化に強い柔軟な組織体制の構築を目的としています。

また、総務DXを推進する上で関連する重要な施策に「オフィスDX」があります。オフィスDXとは、デジタル技術を活用してオフィス環境や働き方を見直し、従業員の業務をよりスムーズにする取り組みです。オフィスの使われ方や従業員のデータを収集・分析することも可能になります。

オフィスDXに関しては、以下のコラムでくわしく解説しています。

総務DXが必要な理由

総務DXが求められる背景には、どのような要因があるのでしょうか。ここでは、総務DXの必要性について見ていきましょう。

多様な働き方とリモートワーク環境への対応

総務DXが求められる大きな理由の一つに、働き方の多様化があります。

コロナ禍を経て在宅勤務やオンライン会議が急速に浸透し、「場所を選ばない働き方」が普及しています。従来の紙の書類や対面での承認手続きではこういった多様な働き方に対応できず、業務がスムーズに進まないケースが見られます。

総務部門はオフィス環境の整備から社内制度の運用まで幅広く担当しているため、企業がリモートワークやフレックスタイム制を導入するためには総務部門のデジタル化が欠かせないのです。

業務範囲の広さと人材不足への対応

総務部門の仕事は、オフィス全体や備品の管理・社内行事の運営・災害対策など非常に幅広く、業務量が多いという特徴があります。さらに、日本の労働人口の減少が続く一方で、社会の急速な変化によりオフィス環境が多様化し、総務の業務負担は年々増加している状況です。

限られた人員の中で日々の業務をこなすために、デジタル技術やデータを活用し、業務を効率化したり精度を上げることが喫緊の課題となっています。

総務DXが進まない理由

総務DXの必要性が高まる一方で、実際の導入には様々な障壁があります。総務DXが進まないおもな理由として、次の4つが挙げられます。

業務の属人化と標準化の遅れ

総務部門の業務は、ベテラン社員の経験や暗黙の知識に頼りがちな側面があります。また、長年同じやり方で仕事をしてきた担当者にとって、新しいシステムやツールの導入は大きな変化となるため、抵抗感が生まれやすいという事情もあるでしょう。

さらに、総務業務が属人化する原因として「前任者からの引き継ぎが不十分」「古いシステムの影響」なども挙げられます。

DX人材の不足と組織風土の課題

総務省の「令和6年版情報通信白書」の調査結果によると、デジタル化を進める上での課題について、日本企業は「人材不足(42.1%)」を最大の障壁として挙げており、この割合は米国(24.8%)、ドイツ(27.2%)、中国(22.4%)と比較して顕著に高くなっています。

次いで「アナログな文化・価値観が定着している(29.3%)」「DXの役割分担や範囲が不明確(28.3%)」が課題として認識されています。

この調査は、日本企業のDXにおける特有の課題を浮き彫りにしており、とくに人材面と企業文化に対する解決策が求められています。

参考:「令和6年版情報通信白書 第2部 情報通信分野の現状と課題」(総務省)

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd21b210.html

予算確保の難しさ

DXを進めるには初期投資が必要ですが、総務部門は直接的な収益を生み出す部門ではないため、予算を獲得しにくいという事情があります。

多くの企業では「総務DXを進めたいが実際の費用対効果がわからず、予算が確保できない」という課題を抱えています。総務DXのメリットを明確に説明し、社内の理解を得るための施策が不可欠なのです。

情報セキュリティリスクへの懸念

さらに、総務部門は社内の機密情報や個人情報を多く扱うため、DX化に伴うセキュリティリスクへの懸念が大きいことが挙げられます。

会社経営において、情報漏洩は深刻な脅威です。顧客情報や知的財産、事業戦略などの重要情報が流出すれば、経済的損失はもちろんのこと、企業のブランド価値や市場からの信頼損失につながります。DX推進においては、外部からの不正アクセスだけでなく、内部からの情報漏洩リスクも考慮しなくてはいけません。

総務DXで得られる5つのメリット

後回しにされがちな総務DXですが、総務部門のデジタル化を進めることで、企業には多くのメリットがあります。ここでは、総務DXによって得られるおもなメリットを5つ見ていきましょう。

1. 総務業務の効率化

総務DXによって総務部門の日常業務をデジタル化すれば、これまで手作業で行っていた業務を削減して効率化することができます。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 電子署名やワークフロー管理システムの導入によって、書類作成・承認プロセスが迅速化する
  • データ入力・チェック・共有にかかる工数を削減できる
  • 統合データ基盤を構築することでリアルタイムな意思決定が可能になる

2. コスト削減

デジタルツールの導入により、紙の使用量や印刷コストが削減されます。ペーパーレス化によって保管スペースが節約でき、オフィス全体の効率化にもつながります。

DX推進は初期投資こそかかるものの、長期的に見れば運用コストが大幅に削減されるというメリットがあります。

3. 業務の属人化解消

前章で触れたように、総務部門の業務は個人の経験に依存しているケースが多く、総務DXが進まない理由の一つとなっています。

DX推進でこれまで個人の経験に頼っていた判断基準や業務知識を整理し、その情報をデータとして蓄積・共有すれば、新任担当者でも迷わず適切な判断ができるようになるでしょう。

4. 企業全体の業務効率向上

総務部門の業務は他部門とも密接に関わっているため、総務DXの効果は組織全体に影響を与えます。
総務部門がいつまでもアナログな方法で業務を行っていると、他部門の従業員も書類への押印や対面での手続きなどに時間を取られてしまうでしょう。

そこで総務DXを進めれば、煩雑な書類のやりとりや対面での日程調整などが不要になります。結果的に、全従業員の業務負担が軽減されることになるのです。

5. データドリブン経営の実現

総務DXの重要なメリットとして、「データドリブン経営」の実現が挙げられます。これは、感覚や経験だけでなく、様々なデータを活用して客観的な根拠に基づいた判断を行う経営手法です。

たとえば、デジタル化によって収集できる会議室の予約状況やオフィススペースの利用データを分析すれば、「どの会議室が最も使われているか」「どの時間帯に空きスペースが多いか」といった具体的な傾向が見えてきます。これにより、スペースの最適化や働き方の改善に向けた的確な施策を打ち出せるようになります。

さらに、データによって改善の根拠を客観的に示し、成果を数値で評価できるため、ステークホルダーへの説明にも役立ちます。

総務DXの具体例

総務DXは、様々なデジタルツールやシステムの導入、データ活用施策が欠かせません。ここでは、総務部門のDXを実現するための具体的な取り組み事例をご紹介します。

ワークフローシステムの導入

ワークフローシステムは、紙ベースの稟議書を電子化し、申請から決裁までのプロセスをデジタル上で完結させる仕組みです。従来の紙の稟議書では承認者が不在の場合に業務が停滞しがちでしたが、このシステムを導入すれば場所を問わず承認作業が可能になります。

必須項目の設定や入力規則を事前に組み込むことで、記載ミスによる差し戻しも大幅に減少します。

RPAの活用

RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行うパソコン操作を自動化するソフトウェアロボットです。定型的な業務プロセスを自動化することで、データ入力や集計作業などの単純作業の効率化に役立ちます。

総務部門では、勤怠管理、経費精算、データ集計など、定期的に発生する定型業務が多くあります。これらの業務にRPAを導入すれば、作業時間を大幅に削減でき、人的ミスも減らせます。

ペーパーレス化の推進

業務で使用する文書や資料をデジタルデータとして管理することで、情報へのアクセス性が向上し、保管スペースが不要になります。紙の原本を持ち歩くこともなくなり、セキュリティが向上する利点も。

日々の会議においては、タブレットやノートPCを活用して資料を共有することで、紙で配布する手間が省けます。修正や更新も即座に反映できるので、情報共有もよりスムーズになるでしょう。

【こちらもおすすめ】

ペーパーレス|ソリューション

在席管理システムの導入

在席管理システムは、従業員の所在や座席の利用状況をリアルタイムで把握できるツールです。とくにフリーアドレスオフィスでは欠かせない存在となっています。
IoTセンサーを活用したこのシステムには、おもに次のようなメリットがあります。

  • 「人探し」の時間削減
  • 事前に座席予約ができる
  • 座席の利用データを分析することで、オフィススペースの最適化が可能

また、ハイブリッドワーク環境ではリモートワーク中の従業員の勤務状況が共有でき、業務日報の自動生成によって管理者と従業員双方の負担を減らすことができます。

会議室予約システムの導入

会議室予約システムを導入すれば、会議室の予約ができるとともに空き状況が一目でわかり、利用状況をリアルタイムで把握できるようになります。

予約データを分析することで、「特定の従業員・組織が専有していないか」「どの時間帯に需要が集中しているのか」といった実態を把握でき、客観的なデータに基づいた運用・改善が可能になります。

「会議室が足りない」「空き状況がわからない」などの総務部門に寄せられる相談は、このシステムを導入することで解決できるかもしれません。

その他の総務DXツール

ほかにも、以下のようなツールが活用されています。

ツール 概要と効果
電子署名・契約管理ツール
  • 契約書類のデジタル化により作成から承認、保存までの流れを効率化するツール
  • ワークフロー機能が搭載されている場合が多い
  • ペーパーレス化によるコスト削減が期待できる
チャットボット
  • 社内問い合わせ対応の自動化が可能
  • 担当者の都合の影響を受けず、従業員がいつでも必要な情報を入手できる
物品管理システム
  • 備品・消耗品の在庫状況を可視化し、発注を自動化できる
  • 過剰在庫や品切れを防止し、総務部門の業務負荷軽減に役立つ

社内コミュニケーションツール(チャットツール)

  • 部署間の垣根を越えてスムーズに情報伝達ができる
  • メールと違い形式的な挨拶が不要で気軽にやりとりできるため、心理的ハードルが低いのがメリット

総務DXはイトーキにおまかせください

イトーキでは、オフィスを中心に総務部門の業務をデジタル化するための、多彩なソリューションを提供しています。

ペーパーレス実現のご支援

イトーキのペーパーレスソリューションは、単なる紙の削減ではなく「紙を使わない働き方とオフィス環境」の実現を叶えます。

ワークスタイルコンセプト作成から、書類の仕分け・削減、運用までを一貫してサポート。社内文書の適正な管理と、電子化すべき文書の選定から保存・廃棄ルールの決定まで、長く続けられるシンプルな運用を実現します。

ペーパーレスを実現する働き方とオフィス環境の構築は、ぜひイトーキにご相談ください。

在席管理システム Workers Trailによる働き方の可視化

Workers Trail(ワーカーズトレイル)」は、ワーカーの活動を見える化するソリューションです。フリーアドレスなど新しい働き方における課題を解決し、在席管理やリモートワーク支援、座席予約(ホテリング)機能を提供しています。

イトーキのオリジナル機能「アクティビティ分析」では、「人」「場所」に加え「活動」の分析軸を追加しました。個人の働き方の分析、またオフィス環境の再構築に役立つ指標としてデータをご活用いただけます。

  • Workers Trailの概要
  • Workers Trail 4つの大きな特長
  • オフィスをより使いやすくする機能
  • Workers Trailの機能詳細

を解説した資料もご用意していますので、よろしければ以下よりダウンロードください。

会議室予約システム Reserve Anyによる会議室の運用改善

Reserve Any(リザーブエニー)」は、使えば使うほど会議室不足が解決する、まったく新しい会議室予約システムです。

ただ会議室が予約できるというだけでなく、独自アルゴリズムとポイント予約制により、ユーザーを最適な予約行動へ誘導。「特定の組織がいつも同じ会議室を占領している」「実際の利用人数よりも大きい会議室が予約されている」「予約が集中する時間があり、会議室が取れない」そんなありがちなお悩みを自然に解消します。

  • Reserve Anyの概要
  • 会議室不足の原因
  • Reserve Anyで会議室不足が解決するメカニズム
  • 会議室の利用データ収集

についてご紹介している資料を以下よりダウンロードできます。まずはお気軽にご覧ください。

データ分析コンサルティング

イトーキの「データ分析コンサルティング」では、総務DXによって収集した空間稼働や勤務実態のデータを徹底分析し、オフィス環境の改善に活用します。

たとえば、オフィススペースの稼働率を高めたいという課題に対しては、各スペースの滞在回数や時間を分析したうえで使われていないスペースを特定し、「使われていないスペースを減らして需要の高いスペースを増やす」といった施策のご提案が可能です。

  • オフィスの改善を、どこから始めたらよいかわからない
  • フリーアドレス化したものの、今ひとつ運用がうまくいっていない
  • 経営層にオフィス改善を上申・報告する際、エビデンスを添付したい

日々の業務の中でそんなお悩みを抱えている際は、総務DXと併せてデータを活用したオフィス環境改善もご検討ください。解決の糸口となるご提案をいたします。

◇ ◇ ◇

イトーキは、オフィスに関係するさまざまな面からDXの推進をサポートいたします。デジタル化に関するお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください!状況や課題に合わせて、最適な提案をさせていただきます。

カテゴリー
働き方
タグ