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移転・リニューアル

オフィスづくりを成功に導くコンセプトとは?決める前に知っておきたい5つのポイントと活用方法

オフィス移転やリニューアルなど、オフィスづくりの場面でよく耳にする「コンセプト」という言葉。
必要だと感じていても、「決めることで何が変わるのか」「どんな場面で役に立つのか」まではイメージしづらいものです。

そこで本コラムでは、オフィスコンセプトの役割や策定のメリット、決める前に押さえておきたいポイントまで徹底解説。さらに、コンセプトをオフィスのデザインやレイアウトへ反映する際のヒントもご紹介します。

オフィスコンセプトとは

まずは「コンセプト」とはどんなものなのか、その言葉の意味を整理しましょう。
コンセプトとは、物事の基礎となる考え方や方向性のことで、製品やサービス、企画などの全体の骨格となる重要なものです。

オフィスづくりにおけるコンセプトは、「どんな働き方を実現したいか」「どんなオフィスにしたいか」といった、オフィスづくり全体の方針を端的に示した言葉です。オフィス移転やリニューアルにおけるさまざまな場面での判断軸となり、プロジェクトを貫くキーワードにもなります。

近年オフィスは「ただ働く場所」から変化を遂げており、社員の生産性やエンゲージメントを高める経営戦略の一部としても、その在り方が注目されています。
オフィスの目指す方向性を明確にするコンセプトは、その実現を後押しする重要な要素となるでしょう。

オフィスコンセプトを策定するメリット

オフィスコンセプトは、プロジェクトをスムーズに進めるために欠かせない存在です。

ここでは、コンセプトがどのような形でオフィスづくりに活かされるのか、その主な役割とメリットを見ていきましょう。

意思決定の指針になる

オフィス移転やリニューアルでは、物件選定からレイアウト、内装デザイン、什器や家具の選定、動線計画まで数多くの判断が求められます。
コンセプトが明確であれば、「どちらが自社の目指す姿に合うか」という基準が定まり、迷いやすい場面でも一貫した意思決定が可能になります。

また、関係者の意見が分かれたときにも、コンセプトが共通の判断軸となることで、合意形成をスムーズに進められます。
さらに、オフィスデザインを担当するデザイナーや協力業者との打ち合わせでも、言葉だけでは伝わりにくいイメージを具体化できるため、期待する仕上がりに近づけやすくなるでしょう。

経営理念や価値観を社員に浸透させる基盤になる

オフィスは、社員が日常的に過ごす場所であり、企業の考え方や価値観を自然に伝える空間です。
たとえば「環境への配慮」や「オープンなコミュニケーション」など、企業が大切にする姿勢をコンセプトに込めると、言葉では伝わりにくい価値観をオフィスデザインとして空間に落とし込むことができます。

このように、経営理念や価値観を反映したオフィスをつくることで、社員が理念を身近に感じ、日々の行動に結びつける重要な基盤となります。

企業ブランドや魅力を発信できる

オフィスはそこで働く社員だけでなく、来訪する顧客や取引先にとっても企業を映し出す「顔」となる場所です。
コンセプトに基づいて設計されたオフィスは、企業の価値観や強みを直感的に伝えながら、印象に一貫性をもたらし、信頼や安心感を育みます。

また、採用活動においても働く環境の魅力は求職者の印象を大きく左右します。
快適で理念が反映されたオフィスは「ここで働きたい」という気持ちを高め、優秀な人材の獲得やブランド力向上につながるでしょう。

新しい働き方やイノベーションを後押しする

オフィスコンセプトは、企業がどのような働き方を実現したいのかを明確にするものです。 その方向性が共有されることで、社員一人ひとりの行動やチームの連携が変化し、組織全体の働き方にも一貫性が生まれます。
たとえば「挑戦を後押しする」「自律的に働く」などの要素をコンセプトに盛り込むことで、 社員の意識が変わり新しい発想やイノベーションを生み出す土壌をつくることができます。

このように、コンセプトは単にオフィスをデザインするためのものではなく、働き方そのものを方向づけ、企業の成長を支える原動力となるのです。

オフィスコンセプトを決める前に押さえておきたい5つのポイント

オフィスのコンセプトを検討するには、いくつかのポイントを押さえておくことで、移転やリニューアルをスムーズに進められます。

ここでは、コンセプトを策定するときに意識したい5つのポイントをご紹介します。

プロジェクトの初期段階で決める

オフィスコンセプトは、オフィス移転やリニューアルの初期段階で決めておくのが理想的です。
早い段階で方向性を定めることで、物件選定やレイアウト検討、デザインなど、後の工程でも判断に一貫性を保つことができます。

一方で、コンセプトを曖昧なまま進めてしまうと、「意思決定に時間がかかる」「当初の目的が見えなくなる」といった課題が生じやすくなります。全体の方針を早めに共有し、関係者が同じゴールを描ける状態をつくっておくことが重要です。

プロジェクトチームを発足し、共感を育てる

オフィスコンセプトを決める過程では、オフィス移転やリニューアルの実務を担う担当者だけでなく、多様な部署や立場の人を交えたプロジェクトチームをつくることが大切です。異なる視点を取り入れることで、現実的な課題と理想像をバランスよく反映できるでしょう。

また、プロジェクトチームにいない社員にもアンケートや社内メールマガジンなどで情報発信を行いながら進めることで、「自分たちのオフィス」という共感が生まれ、完成後の納得感にもつながります。

オフィス移転・リニューアルの目的や理想の働き方を整理する

コンセプトづくりは、まず企業の向かう先やビジョンなど、「なぜオフィスをつくるのか」「どんな働き方を実現したいのか」を明確にすることが大切です。目的と働き方を結びつけて整理することで、社員にとって納得感のあるコンセプトになるでしょう。

また、経営層と現場で感じている課題や理想像にギャップがある場合は、早い段階で意見をすり合わせておくことも重要です。方向性を共通認識として持つことで、実現したい働き方に沿った一貫性のあるオフィスづくりが進められます。

先進的なオフィスを見学して理想を具体化する

オフィスづくりの検討を進めるうえでは、実際の空間に触れて体感することも重要です。
先進的なオフィスを見学すると、写真や図面だけではわからない働き方や雰囲気を体感でき、自社に合う理想の働き方を描くヒントが得られるでしょう。

また、レイアウトや設備だけでなく、社員同士のコミュニケーションの取り方や運用ルールなど、現場での工夫に注目することで、より具体的なイメージを持つことができます。
こうした体験を通じて、自社の課題や実現したい働き方を整理するきっかけにもなるでしょう。

社外の専門家を活用する

コンセプトを自社だけで決めるのは、意外と難しいものです。
働き方や空間設計の専門家と一緒に検討することで、社内の想いをくみ取りながら、実現可能で独自性のある方向性を見つけやすくなります。

また、第三者の視点が入ることで、当たり前だと思っていた課題や強みを客観的に整理でき、新しい気づきや発想が生まれることもあります。専門家の知見を取り入れることは、コンセプトをより確かなものに育てるための有効なステップといえるでしょう。

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コンセプトをオフィスに反映するための3つのヒント

オフィスのコンセプトは、言葉でまとめただけでは機能しません。オフィスのデザインやレイアウトなど空間づくりに反映させてこそ、日々の働き方に息づくものになります。

ここからは、コンセプトを空間に落とし込む際のヒントを3つご紹介します。

レイアウトや動線設計でコンセプトを体現する

レイアウトや動線設計は、働きやすさを高めるだけでなく、コンセプトを空間全体で表現するための重要な要素です。
たとえば「コミュニケーションを活性化する」という意図のコンセプトなら、動線を交差させて自然な会話が生まれるようにしたり、共有エリアを通る動線を設計するなど、人が集まるきっかけをつくる工夫が効果的です。

また、全体のコンセプトを実現するために、エリアごとに目的に合わせたテーマを設けるのもおすすめです。
たとえば偶発的な出会いを促進するエリアや、思考に没頭できる静かなエリアなど、空間ごとに役割を持たせることで、社員の働き方や交流の中にコンセプトが自然と根付き、全体として一貫した体験を生み出すオフィスづくりにつながります。

家具や照明などのオフィスファシリティを通してコンセプトを形にする

家具や照明、植栽などのオフィスファシリティは、コンセプトを日常の中で感じられるようにするための大切な要素です。
空間の見た目を整えるだけでなく、「どんな時間を過ごしてほしいか」「どんな関係性を生みたいか」といった意図を具体的に表現できます。

たとえば「ウェルビーイングなオフィス」を目指すなら、1on1のブースの導入や視線をやわらかく区切る植栽を配置するなど、安心して対話できる時間が生まれる場をつくるのも一つの方法です。またエリアの目的に合わせて、照明の明るさや家具の高さを変えて、気持ちの切り替えがしやすい環境を整えるのも良いでしょう。

このように、オフィスファシリティを通して働く環境を設計することで、コンセプトが日常の働き方を自然に支え、心地よく働けるオフィスづくりにつながります。

サインやエリア名称でコンセプトを浸透させる

サインやエリア名称は、コンセプトに込めた思いを日々の働き方に落とし込むための有効な手段です。
空間に意味や物語を持たせることで、社員がその場の目的や雰囲気を直感的に感じ取れるようになります。

たとえばオフィスのコンセプトが「挑戦」なら、執務エリアに「TRY Lounge」といった名称をつけることで、エリア名そのものが行動を導くサインになります。
また、文字情報だけでなく、ピクトグラムやキャラクター、アイコンなど視覚的なモチーフを用いるのも効果的です。
リラックスエリアには柔らかい曲線のピクトを、集中スペースには直線的でシャープなデザインを使うなど、形や色でも空間の意図を伝えることで、社員が無意識のうちにその場の目的を感じ取れます。

このように、サインや名称、ビジュアルを通じて空間に意味づけを行うことで、コンセプトが言葉の枠を越え、日々の働き方の中で生きたかたちとして実現していきます。

コンセプトを活かしたオフィスづくりの成功事例

ここからは、コンセプトを実際のオフィスづくりに活かした事例を見ていきましょう。

カーギルジャパン合同会社 本社オフィス 「FUSION HUB」

食品・食材・農業ソリューションを世界70か国に提供するカーギルジャパン合同会社。長年拠点としてきたビルの建て替えを機に、コロナ禍以降の働き方に対応し、さらなる成長を見据えたオフィス移転を実施しました。
従業員の声から生まれたコンセプト「FUSION HUB」をもとに、多様な働き方とコミュニケーションを促進する環境を整備。カフェエリアでは、多様なコミュニケーションスタイルに対応した座席設計によって、従業員同士の物理・心理的な距離を縮める空間を実現しています。

カーギルジャパン合同会社 本社オフィス 納入事例掲載ページはこちら

株式会社三菱UFJ銀行 システム開発拠点 新オフィス 「想い、はじけるPARK」

「想い、はじけるPARK」をコンセプトに増床した三菱UFJ銀行の中野セントラルパークサウス拠点では、システム部門の行員をはじめ、関連会社やビジネスパートナーの社員が一体となって協働できる環境を整備しました。
業務に合わせて働く場を柔軟に選択できるよう、約1,500坪のワンフロアに5つのコンセプトゾーンを設け、働く人と組織の成長を支援するオフィスを実現しています。なかでも、組織を超えた交流を活性化する「GRASS ZONE」では、移動中にも立ち寄りやすい開放的な空間で多様な交流が生まれ、イベントスペースとしても活用されています。

株式会社三菱UFJ銀行 システム開発拠点 新オフィス 納入事例掲載ページはこちら

エースコック株式会社 本社オフィス 「おいしい しあわせ」

コック姿のこぶたのキャラクターでおなじみのエースコック株式会社。「おいしいしあわせを、もっと。」という企業理念を体現するため、本社オフィスの全面リニューアルを実施しました。
生産性の向上と社員のモチベーションアップを見据え、部門間の交流を促す「ハピネスカフェ」や、来客と試食を通じて商談ができる「ハピネスキッチン」など、ブランドを象徴する空間を設置。デザイン性と機能性を両立させた「おいしいしあわせ」を生み出すオフィスは、社員の活力を高め、ブランディング強化にもつながっています。

エースコック株式会社 本社オフィス 納入事例掲載ページはこちら

オフィスのコンセプトづくりはイトーキにご相談ください

オフィスのコンセプトを考えることは、自社の働き方や組織のあり方を見つめ直すことでもあります。

イトーキは、その想いをかたちにするパートナーとして、コンセプト策定から空間設計・施工・運用改善までを一貫してサポートします。豊富な実績をもつコンサルタントが、ヒアリングやアンケート、ワークショップを通して課題を整理し、自社らしさを形にするオフィスづくりに丁寧に伴走します。

オフィスのあり方を考える初期段階から、お気軽にご相談ください。

カーギルジャパン合同会社様 本社移転プロジェクト事例資料をプレゼント

オフィスづくりにおけるコンセプトの重要性についてさらにくわしく知りたい方のために、カーギルジャパン合同会社様 本社移転プロジェクトの全貌を大公開した事例資料をご用意しています。

従業員の声から生まれた「FUSION HUB」のコンセプトをもとに、どのようにプロジェクトが進行したのか、そしてどんなオフィスが完成したのか。

本資料では、プロジェクトの経緯から、多様な働き方とWell-beingを両立した新たなオフィスの姿、ご担当者様の声まで、以下の内容をくわしくご紹介しています。

  • 移転プロジェクトの背景
  • 「FUSION HUB」コンセプトに込めた3つの要素(Optimization・Connect・Well-being)
  • ABW(Activity Based Working:業務内容や気分に応じて働く場所を選ぶ働き方)を実現するためのレイアウト
  • オフィスの移転によってもたらされた成果と今後の展望

ぜひ以下よりダウンロードのうえ、オフィスコンセプトづくりの参考としてお役立てください。

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