
リモートワークが一般化するとともに多様な働き方が浸透し、遠隔地とでも気軽に会議を行える「オンライン会議」はもはや当たり前のものとして定着しました。そして再びオフィスに人が戻った昨今では、オフィス内でオンライン会議を行う際にさまざまな課題も見つかっています。
本コラムでは、オンライン会議を円滑にするオフィス環境整備のポイントや、会議室のレイアウト設計など、オンライン会議に対応したオフィスづくりについて解説します。
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オンライン会議を取り巻く近年の傾向
リモートワークの拡大や高性能なデジタルシステムの普及に伴い、すっかり定着したオンライン会議。Web会議、リモート会議とも呼ばれており、インターネット回線や電話回線を通じてオンラインで行う会議の活用はますます加速しています。ここでは近年の傾向を解説します。
遠隔地の参加者と気軽につながれるオンライン会議は、業種や企業規模を問わず急速に導入が進みました。とくにZoomやGoogle Meetなどのクラウド型Web会議システムの登場により、インターネット回線さえあれば誰でも簡単にビデオ通話が始められるようになっています。
さらに、Web会議システムは録画機能や資料共有機能の進化が進んでおり、大人数でのプレゼンテーションや研修、セミナーなどのイベントに活用される事例も増えています。さらに、AIの登場により高度な自動文字起こし機能なども一般的になると予測され、今後ますます活用の幅は広がっていくでしょう。
また、会議室からのリアル参加者と遠隔地からのリモート参加者が入り混じる「ハイブリッド会議」も増加しており、会議室にはデスクとチェアといった家具だけでなく、マイクやモニターなどのオンライン用設備の充実も不可欠となっています。こうした変化に合わせて、会議室のレイアウトやICT機器の設備を見直す動きが活発になっています。
オンライン会議に対応していないオフィスが抱える3つの課題
日常的にオンライン会議が開催される一方で、オフィスでオンライン会議を行う際には様々な問題が発生しています。
まずは、オンライン会議へ十分に対応しきれていないオフィスが抱える主要な3つの課題を挙げ、それぞれのポイントを整理します。
1.オンライン会議をする場所が不足している
オンライン会議の普及により、会議用スペースの需要が大幅に増えました。従来の会議室数では足りず、複数の部署が時間を争って予約し合っているということも珍しくありません。1人で参加するオンライン会議のために大人数用の会議室が使用されているなど、会議室の数と大きさが利用実態に合っていないというケースもよく見られます。
また、場所が足りないために仕方なく自席や執務エリアでオンライン会議に参加したところ、音の問題に悩まされたり、周囲の雰囲気から発言がしづらく、積極的に会話に参加できないという場面も。
オンライン会議に参加する場所不足の解消は、いま多くの企業を悩ませている課題です。
2.音への配慮が足りていない
オフィスには電話応対や打ち合わせの話し声など、常にさまざまな音が存在します。前述した場所不足により、オープンな場所でオンライン会議に参加しなければならない際には、これらの雑音が会議の相手にも伝わってしまい、会話の妨げとなることがあります。とくに、周囲がうるさい環境ではハッキリとしたコミュニケーションが難しくなるため、会話がまともに成り立たないという場面も見受けられます。
一方では、静かに作業をしたい従業員の近くでオンライン会議が行われることで、集中を削いでしまう懸念も見過ごせません。
「音」はオフィスでオンライン会議を行う際の、大きな問題の1つです。
3.会議室がハイブリッド会議に対応していない
おもに会議室で実施されるハイブリッド会議を円滑にするには、リモート参加者がリアル参加者と同等に情報交換できる設備設計が求められます。
しかし、これまで通りの会議室にモニターやカメラ、マイクなどの機器を単に設置しただけではスムーズなコミュニケーションが取りづらく、以下のような問題が発生しています。
- 会議室の参加者全員がカメラに映らない
- 会議室の雰囲気がリモート参加者に伝わりにくく、発言のタイミングが掴めない
- 音声を含めた情報が全員に正しく伝わっているかの把握が難しい
- 資料をモニターに投影すると、オンライン参加者の反応が見えなくなる
- リアル参加者が機器の設定に手間取られて会議を時間通りに始められない
近年の会議室には、設計段階からオンライン会議の利用を想定することが求められているのです。
オンライン会議に対応したオフィス設計のポイント
オフィスでの快適なオンライン会議を可能にするには、レイアウトや家具の選定が非常に重要です。音に配慮し、オンライン会議に適した家具を使用して専用のスペースをしっかりと設けることで、課題を解決し、会議の質を向上することができます。
ここからは、オンライン会議に対応したオフィスを設計するポイントを解説します。
音のグラデーションを意識する

オフィスには雑談や電話、打ち合わせなど、それぞれの業務内容に応じて固有の音が発生しています。そこで「音」の問題は、会話のよく生まれるにぎやかなエリアと、集中作業をする静かなエリアを段階的に分離し、オフィス内で音のグラデーションをつくると解決しやすくなります。
集中して静かに仕事をしたい従業員と、オンライン会議を含めた会話をしたい従業員の使用するエリアを離して配置することで、双方にとって過ごしやすい空間になるでしょう。
このようなゾーニングには、職場全体のストレスが軽減される効果があります。オンライン会議を行う従業員にとっても、周囲を気にして発言ができない…という状況が発生しづらくなるメリットがあります。
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オンライン会議に適した家具を設置する

ゾーニングによってオフィス全体の音問題に配慮ができても、オンライン会議に周囲の雑音が入ってしまう問題と、そもそもの場所が足りない問題はどのように解決すればよいのでしょうか。
そんなときに活躍してくれるのが、オンライン会議に適したオフィス家具です。たとえば、置くだけでクローズドな空間が生まれるブース家具を使用したり、オンライン会議での使用に特化した家具を設置すれば、大規模なリニューアルをすることなく快適なオンライン会議用のスペースをつくりだすことができます。
オンライン会議に適した家具をくわしく見ていきましょう。
Web会議ブース

Web会議ブースは簡易的な防音個室として、オンライン会議にぴったりです。外部の雑音を遮断しやすいうえ、プライベートな空間が確保できるため、機密性の高い会議にも向いています。通話の音漏れや映り込む背景を気にせず集中できる利点があるため、オンライン会議の頻度が高い企業ほど導入のメリットが大きくなります。
省スペース設計のブースも多く、オフィスの片隅に設置しておくことで、音にも配慮しながら新たなスペースを捻出できる点も魅力です。
また、用途は幅広く、個室で行いたい集中作業はもちろん、広さによっては1on1ミーティングにも使用できます。
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ADDCELL(アドセル)|ITOKI Product Catalog
イトーキの提供するWeb会議ブース「ADDCELL」は、人と音に配慮した、あらゆるオフィスになじむクローズドブースです。床のない独自の構造により、オフィスの一体感を損うことなく設置することができます。音に配慮した空間を生み出すのに最適な家具です。
音に配慮したオフィス家具

周囲からの雑音を抑えるには、吸音性能のあるローパーティションで仕切ったミーティングエリアをつくることもおすすめです。セミクローズドであっても一定の吸音効果が期待でき、快適な空間づくりにつながります。ローパーティションはその柔軟性も大きな特徴で、ニーズに合わせて比較的自在にレイアウトを変更できます。
また、オンライン会議に特化した家具の導入も選択肢の1つです。たとえば、ディスプレイ、カメラ、マイク、スピーカーがもともと搭載された専用のボックス型ソファを導入すれば、置くだけでオンライン会議に最適なスペースが生まれます。
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ADDSITE(アドサイト)|ITOKI Product Catalog
セミクローズドなブースを自在につくることができるローパーティションです。音の反射を抑えて反射音を軽減させる設計・仕様を追求。周囲の声やノイズを吸音し、会話に必要な音を聞き取りやすくします。ほどよくオープンでありながら、オンライン会議に適した場所を用意できます。
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soundsofa(サウンドソファ)|ITOKI Product Catalog
イトーキが開発した、オンライン会議のためのボックス型ソファ。ディスプレイとカメラに加えて、オンライン会議の音声を最適な範囲にコントロールするスピーカーと、必要な声だけを届けるマイクを搭載。オフィスのオープンエリアに設置するだけで、場所不足を解消することができます。
オンライン会議を円滑にする会議室のつくり方
リアル参加者とリモート参加者が入り混じるハイブリッド会議をストレスなく行うためには、会議室の設備やレイアウトの見直しが欠かせません。
ハイブリッド会議を円滑に行うには、会議室のデザインとICT・映像音響機器の両面をうまく融合させる設計がポイントです。リアル参加者とリモート参加者が同じ情報を速やかに共有できるように、音声や映像がクリアに伝わる仕組みを整備する必要があります。
また、オンライン会議に適したレイアウトや内装の設計も大切です。顔や資料が見えにくいとスムーズな話し合いが難しくなるため、照明の位置やリアル参加者が座るチェアの向き、モニターの配置などの環境要素を考慮しながら設計を行うと、ハイブリッド会議の質がさらに向上します。
ここからは2つのポイントについてくわしく解説します。
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ICT機器を空間に溶け込ませる

ハイブリッド会議に適した会議室を構築するために必要なのは、ICT・映像音響機器を空間に溶け込ませ、一体として機能させることです。
カメラやマイク、スピーカーなどICT機器の配置が不適切だと、発言にタイムラグが生じたり、参加者全員の視線が合わずコミュニケーションにズレが生じる原因になります。最適な機器選定とともに、コード類の配線を整理して見栄えや安全性を確保することも欠かせません。
たとえば、複数のディスプレイを目線に合わせて効果的に配置すれば、資料とオンライン参加者を同時に表示でき、自然と情報共有の効率を高めることができるでしょう。リアル参加者全員が映る位置に360度カメラを設置したり、音を取りこぼさない高感度のシーリングマイクを天井に仕込めば、オンライン参加者にも会議室の雰囲気がよく伝わり、非言語コミュニケーションの課題も改善されるはずです。
設計時に映像や音声の到達範囲をシミュレーションし、会議室利用者の視界や目線の位置を意識することが、ICT機器を空間に溶け込ませるポイントです。
ハイブリッド会議に最適なレイアウト・内装を意識する

設備の導入だけでなく、会議室内のレイアウトや内装の見直しも大切です。
従来の会議室では、デスクとチェアが縦方向に置かれていることが一般的でしたが、ハイブリッド会議に対応する会議室のチェアやソファは横並びの配置がおすすめです。リアル参加者が横に並ぶことで、その姿を広角カメラで臨場感たっぷりに映すことができます。オンライン参加者もその場にいる雰囲気を感じ取れるような、リアルな空間を演出することが可能です。
また、全員が同じ方向を向く横並びのレイアウトは、人の目線を感じづらいため参加者の発言を促す効果があり、ハイブリッド会議だけではなくブレインストーミングにも適したレイアウトとなります。
会議室の雰囲気に大きな影響を及ぼす内装については、使用シーンに応じてデザインしましょう。たとえばカジュアルな会議がよく行われる会議室では、心理的な落ち着きをもたらす木目調や、リラックスできる柔らかい色味でコーディネート。重要な意思決定を行う会議室では、ブラックやダークブラウンなどの重厚な色や直線的な家具を取り入れ、引き締まった雰囲気で統一することがおすすめです。
オンライン会議に対応したオフィスづくりはイトーキにご相談ください
オンライン会議が頻繁に行われるようになった今、オフィスづくりの課題解決には専門家の知見が欠かせません。
先進的なWeb会議システムを導入しても、会議に参加するオフィス環境が整わなければ最大限の効果を得ることは難しいものです。そこで、レイアウト変更や適切な機器の選定など、専門的な視点を取り入れることで、オフィスの課題をスムーズに解消できます。
イトーキでは、空間デザインとICT、どちらの専任チームも擁することで「本当に使いやすい」最先端空間の構築をご支援しています。機能性とデザイン性、両方を兼ね備える一歩進んだオフィス空間のご提案が強みです。
オンライン会議に対応したオフィスづくりにお悩みの際は、ぜひ一度イトーキにご相談ください。
【無料ダウンロード】会議室におけるICT・映像音響機器導入ガイド
オンライン会議に対応した会議室設計においては、空間デザインとICT・映像音響機器を効果的に融合させる空間づくりが重要となります。単にマイクやモニターといった機器を設置するだけでなく、会議の目的や性質に合わせた総合的な空間設計が、円滑なハイブリッド会議の実現につながるのです。
イトーキのノウハウを一冊にまとめた、「会議室におけるICT・映像音響機器導入ガイド」もご用意しています。このガイドでは、ハイブリッド会議に最適な空間デザインとICT・映像音響機器の一体化事例をくわしく解説しています。
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