働き方が多様化する中で、オフィスに求められる役割も変わってきました。そうした変化に対応する取り組みとして、今、オフィス改革が注目されています。
本コラムでは、「オフィス改革とは何か」という基礎知識から、自治体・企業の事例、成功のポイントまでをわかりやすく解説します。
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オフィス改革とは
まずはオフィス改革の概要と、なぜ今これほどまでに注目されているのか、その背景から整理していきましょう。
オフィス改革の概要
オフィス改革は、レイアウトや設備、制度を一体的に見直して従業員の働きやすさと生産性を向上させていく取り組みです。「どのように働きたいか」というビジョンから逆算し、空間・ルール・ITツールを体系的に整備していきます。
内閣官房内閣人事局が2025年3月に公表した「オフィス改革ガイドブック」では、物理的な改装にとどまらず、仕事の進め方や意識も含めた一体的な変革の重要性が示されています。
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参考:「オフィス改革ガイドブック」(内閣官房)
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/officereform.html
オフィス改革が求められる理由
オフィス改革が求められている背景には、生産年齢人口の減少や労働市場の流動化、テレワークの普及、DXの加速など、働く環境を取り巻く大きな変化があります。
これまでの働き方改革では、長時間労働の是正や業務効率化といった制度面の整備が中心でした。しかし現在はそれだけでなく、「社員が力を発揮しやすい環境をどうつくるか」が重要なテーマになってきています。
さらに、健康経営や人的資本経営への関心が高まる中で、オフィスには単なる作業場所ではなく、コミュニケーションや創造性を生み出し、人材から選ばれる場としての役割も求められるようになってきました。
このように、働き方や経営課題の変化に対応していくうえで、オフィス改革への関心はますます高まっているといえるでしょう。
オフィス改革の目的と効果
オフィス改革は、個人の働きやすさの向上だけでなく組織全体にも大きな効果をもたらします。
ここでは、おもな目的と効果を4つ紹介します。
【オフィス改革の目的と効果】
| 目的・効果 |
概要 |
|
業務効率化・生産性向上 |
仕事内容に応じた空間の使い分けによって、無駄なストレスや時間のロスを削減する |
|
社内コミュニケーションの活性化 |
部署の垣根を越えたオープンなレイアウトを取り入れ、偶発的な会話や部門横断の情報共有を促す |
|
健康経営・ウェルビーイングの推進 |
リフレッシュスペースの設置や動線設計など、体と心に配慮した空間をつくり、離職率低下・長期就労につなげる |
|
企業ブランド・採用力の強化 |
「ここで働きたい」と感じさせる職場環境をつくり、人材獲得の競争力を高める |
このように、オフィス改革によって期待できる効果は、働きやすさの向上にとどまりません。業務の進めやすさやコミュニケーションの活性化、人材定着など、組織全体に関わる取り組みとしてとらえることが大切です。
オフィス改革で取り組みたいおもな施策
オフィス改革は、レイアウト変更などのハード面と、デジタル化や働き方のルール整備などのソフト面をあわせて進めていくことが重要です。
ここでは代表的な施策ごとに、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
レイアウト・空間構成の見直し
オフィス改革を進めるうえで重要なのは、空間の使い方を見直すことです。
たとえば、
- 収納庫を削減し、スペースを捻出する
- 管理職用の座席配置を見直す
- 一人ひとりが固定の座席に座る運用から、フリーアドレス・グループアドレスへと変更する
などが挙げられます。
こうして生まれたスペースを、打ち合わせや集中作業、気分転換など、仕事の内容に応じて使い分けられる場として整えることで、働きやすい環境づくりにつながっていきます。
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働き方に合わせた運用ルールの整備
空間を整えても、使い方が定まっていなければ、新しい働き方は根づきにくくなります。
たとえば、会議室の数が変わる場合は予約方法をどうするか、フリーアドレスを導入する場合はチームごとの利用エリアをどうするかなど、あらかじめ運用ルールを整理しておくことが大切です。「オフィス利用ガイド」のような資料を作成し、全員が同じ認識を持てるようにしておくと、運用がスムーズになるでしょう。
また、座席管理ツールの導入や1on1の定期実施など、マネジメントの方法もあわせて見直しておきましょう。
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IT・DX環境の整備
オフィス改革を進めるうえでは、ITやDX環境の整備もあわせて進めていく必要があります。
固定電話の見直しや、書類管理・申請業務のデジタル化、ペーパーレス化を進めることで、場所にとらわれにくい働き方を支える環境が整います。
あわせて検討しておきたいのが、セキュリティゾーニング(エリアごとの入退室管理)です。機密情報を扱う部署と来客用スペースをはっきり分けることで、オープンなレイアウトでも安全性を保つことができるでしょう。
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オフィス改革を成功させるポイント
オフィス改革は、空間を整えるだけでなく、実際の働き方にどうつなげていくかが重要です。
ここでは、取り組みを効果的に進めるために押さえておきたいポイントを紹介します。
目的を明確にしてから進める
オフィス改革でつまずきやすいのが、目的があいまいなまま施策が先行してしまうケースです。何のために変えるのかが整理されていないと、レイアウト変更やフリーアドレス化そのものが目的になってしまい、本来得たい効果につながりにくくなります。
そのため、まずは自社がオフィス改革によって何を実現したいのかを明確にすることが大切です。必要に応じてアンケートやワークショップも活用しながら、経営層と現場の認識をすり合わせておくと、その後の検討を進めやすくなります。
現場を巻き込みながら進める
オフィス改革では、実際に使う現場の声を反映しながら進めることが大切です。
計画の初期段階からワークショップやヒアリングを行い、必要な場や使い方を一緒に考えることで、取り組みへの納得感を高めやすくなります。その際は、現場の声を取り入れるだけでなく、目指す働き方やオフィス改革の目的に照らして整理していくことも欠かせません。
また、リフレッシュスペースやカフェコーナーのような場も、設置するだけで自然に活用されるとは限りません。どのような場として使えるのか、どのように過ごしてよいのかもあわせて共有しておくことで、日常の中で活用されやすくなります。
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運用を見据えて設計する
オフィス改革では、空間をどのように使うかまで想定しながら設計することが重要です。レイアウトや設備だけを先に決めるのではなく、誰がどのように使うのか、どのような働き方を実現したいのかを踏まえて考えることで、実際の業務に合ったオフィスづくりにつながります。
また、部署や業務の特性によって、使いやすい環境は異なります。フリーアドレス・固定席・グループアドレスなどの選択肢を、実態に合わせて柔軟に組み合わせることも選択肢の一つでしょう。
企業・官公庁のオフィス改革事例4選
ここからは、イトーキがご支援した企業・官公庁のオフィス改革事例をご紹介します。
背景や目的はそれぞれ異なりますが、働き方に合わせて環境を見直している点は共通しています。自社でのオフィス改革を考える際の参考として、ぜひご覧ください。
KDDI株式会社 KDDI大手町ビル オフィス
KDDI株式会社では、「人財ファースト企業への変革」を目指し、時間や場所にとらわれず成果を出す働き方の実現に向けて、ITとオフィスの両面から改革を進めています。官公庁営業部および官公庁ソリューション部では、オフィスの全面リニューアルを実施し、フリーアドレス化やコミュニケーションの活性化に取り組みました。
宮城県庁 企業局 公営事業課・水道経営課 オフィス改革推進事業
宮城県では、「新しい働き方のスタイル」構築に向けて、オフィス改革推進事業として庁内コンペを実施しました。前例にとらわれず、自ら変革を起こし、生産性を向上させることで、これまで以上の効果を生み出すことを目指した取り組みです。さまざまな用途に応じた執務空間を整備し、働きたくなるオフィス空間の構築につなげています。
株式会社商船三井 本社オフィス
世界中で多数の船舶を運航し、海運業を中心にさまざまな社会インフラ事業を展開する株式会社商船三井では、業務効率化に加え、従来の型にとらわれない発想や組織力を高めることを目的に改革に取り組みました。「いつでも、つながる」をコンセプトに、部門の垣根を越えたコミュニケーションを促進するオフィス環境を整備しています。
愛媛県スマート行政推進課 執務室
愛媛県では、「新しい働き方チャレンジ宣言」による“愛媛オリジナルのスマート県庁への転換”に向けて、執務室のスマートオフィス化を進めています。業務効率の向上に加え、活動に合わせて最適なスペースを選択して働けるオフィス環境を整備し、フリーアドレスやペーパーレスなどの新しい働き方にも取り組んでいます。
オフィス改革のご相談はイトーキへ
イトーキは、オフィス家具の企画・製造から空間設計、運用コンサルティング・効果検証まで、オフィス改革のプロセスをトータルでサポートしています。企業・官公庁・自治体など幅広い実績をもとに、それぞれの組織に合ったオフィスのあり方をご提案します。
「何から手をつければいいかわからない」「自社に合った進め方が知りたい」とお悩みの担当者さまは、ぜひお気軽にご相談ください。
