
「瀬戸内国際芸術祭2022」のパートナー企業であるイトーキは、社内のクラウドファンディングで製作したモバイルオフィスカーを瀬戸内国際芸術祭に貸出ししています。
春会期では、実際にモバイルオフィスカーをスタッフカーとして、小豆島で活用されているところを取材。夏会期では、企業ボランティアとして「こえび隊」の体験と、男木島でモバイルオフィスカーとともにワーケーションを行った様子をお届けしました。
早いもので、秋会期のレポートです。今回は、総勢11名で、直島・犬島・豊島を訪れ、本格的なアート鑑賞とワーケーションを行った2泊3日の旅の様子をお届けします。”アート×自然×ワーケーション”が、人にどのような影響をもたらすのでしょうか…!
【参加メンバーの紹介】
イトーキが瀬戸内国際芸術祭のパートナーとなるきっかけを作ってくださったベネッセコーポレーションの総務のみなさんです。とてもアートに詳しく、見所やこれまでの背景など、旅の間、多くのことを教えてくださいました。

▲左から、渡辺さん・柏田さん・小野さん
ベネッセコーポレーション様とイトーキは、長年のお付き合いがあり、2021年のオフィスリニューアルプロジェクトでは、今回参加しているイトーキチームで対応をさせてもらいました。
(プロジェクトご紹介記事:https://workstyle.itoki.jp/case-studies/benesse )
そして、ベネッセコーポレーション様を担当するイトーキチーム!

▲左から、プロジェクトマネージャーの佐々木さん・中野さん、営業担当の吉居さん、デザイナーの小林さん・玉田さん、支社長の鷲尾さん
ほかにも、夏会期にも登場した広報の近藤さんとCSR推進の上原が参加しました。
1日目|直島で本格的なアート鑑賞がスタート!
それでは、さっそく初日の様子から。この日は休日だったので、たっぷりと本格的なアート鑑賞を堪能しました。まずは、高松駅の近くでお昼ごはん。香川といえば、やっぱりうどんです。

▲並んでいます!(写真左)
▲うどんを前に、とってもいい笑顔!(写真右)
早速、フェリーに乗り込んで直島に向かいます。なんとも気持ちのいい秋晴れ!

▲
芸術の秋にふさわしい旅の始まりです(写真左)
▲
旅の工程をみんなでおさらい!(写真右)
船内から、すでにアートが始まっていました!「かがわ絵顔プロジェクト2022」NHK高松放送局とMIMOCA(丸亀市猪熊弦一郎美術館)が主催している、 “100年に1度の危機”といわれる現代を生きる人々の想いや心の声を、アートを通じて紡ぎ出すプロジェクト。その一環で、船内では、さまざまな“顔”と“未来に向けたメッセージ”を集めるイベントが開催されていて、私たちも参加しました。

いろいろな方の笑顔の写真やメッセージが刻まれた、こちらの作品は、11月には丸亀市に場所を移し、今年12月までMIMOCAスタジオで新たに展示されるようです。こういった出会いも良き思い出となります。
そうこうしていると、草間彌生さんの「赤かぼちゃ」が見えてきました。直島へ到着です!

▲目的の島の港がどんどん近づいてくる、テンションがあがる瞬間!(写真左)
▲モバイルオフィスカー、直島へ上陸(写真右)
「赤かぼちゃ」へ。空洞になっていて中に入れます。

▲草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑(画像転載不可)

▲草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑(画像転載不可)
かぼちゃのお出迎えのあとは、さっそく直島のアート鑑賞へ。この3日間、福武財団と直島文化村ツアーデスクのガイドさんにアートをご案内いただきました。作品の背景や島のことなどを伺い、より深くアートを鑑賞できました。

▲1日目のガイドをしてくださった福武財団の小松原さん
展示作品の世界に浸るベネッセハウス ミュージアム
最初に訪れたのは、ベネッセハウス ミュージアム。「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに、1992年に開館した安藤忠雄さん設計の美術館とホテルの機能を兼ね備えた施設です。
須田悦弘さんの「雑草」という作品。雑草どこにあるかわかりますか?見ればみるほど本物の葉っぱに見えますが、実は木彫りで作られているそうです。

▲みんなの目線に注目!
続いて、ヤニス・クネリスさん作の「無題」。このひとつひとつの丸めたものは何に見えますか?遠くから見ると、やわらかそうにも見えるのですが、近づいてみると…!

▲流木や着古した着物などが・・・
ヤニス・クネリス「無題」1996年
なんと、鉛板でいろんなモノが巻かれています。モノの価値とは何かを問いかけてくるような、不思議な感覚になりました。
他にも、アーティストたちがこの場所のために制作したサイトスぺシフィック・ワークや多くの作品が展示されています。ぜひ、たっぷりの時間をとって鑑賞してもらいたいミュージアムでした。
入口までの道のりも美しい地中美術館
次に訪れたのが、地中美術館。館内は撮影ができないので、入口までの様子をお届けします。

▲地中美術館の入口
地中美術館は、その名の通り、瀬戸内海の美しい風景を損なわないよう、建物の大半が地下に埋まっています。
チケットセンターから美術館に向かうまでの道沿いに、睡蓮をはじめ、柳やアイリスなど約300種類の草木や樹木から構成される「地中の庭」という美しい庭園があらわれます。

▲もしかして…!
この庭、既視感がありませんか?そうです、クロード・モネが晩年に描いた作品「睡蓮」の世界観を表現している庭園で、池への光の射し方など脳裏に焼き付けてから美術館内に展示されている絵画「睡蓮」を鑑賞、より深く作品を感じることができました。
作品は、自然光の下で鑑賞する設計になっていて、太陽の動きによって光が刻一刻と変化するため、訪れる時間帯や季節によって、見え方が変わってくるそうです。他の季節にも訪れてみたくなりました。

▲鑑賞後に見えた夕焼け。刻々と移り変わる景色に、思わず見とれてしまいました
最後にベネッセハウス パークへ
夜ご飯を食べたあと、2泊3日、お世話になるホテル、ベネッセハウス パークへ。

▲美術館の中に泊まっているような感覚でした!
こちらも安藤忠雄さん建築で、数少ない木造建築になっています。館内にはいくつものアート作品が展示されていて、歩くスピードも自然とゆっくりに。
部屋の中にもアートが展示されていて、テレビがありません。自然とデジタルデトックスができてしまう環境でした。一緒に泊まる方とのおしゃべりを楽しんだり、外をぼーっと眺めたり。普段、忙しく働いている現代人には、大切な時間の過ごし方だなと感じました。
アートを満喫した1日目も終わり。2日目は、犬島と豊島を巡ります。
2日目|犬島と豊島で、さらにアートに魅せられていく
2日目も朝から気持ちの良いお天気。昨晩からひそかに楽しみにしていたテラスからの朝の眺めです。海の奥には、四国の山々が。時間とともに移り変わる景色も見どころです。

▲6:30頃の朝焼け、8:00頃には、すっかり青空に
朝の「南瓜」に会いたくなり、朝さんぽへ出発。

▲
イトーキの社員にもばったり!
草間彌生「南瓜」2022年 ©
YAYOI
KUSAMA(画像転載不可)
海辺を歩いていると、元気よくラジオ体操をしている男性二人を発見!近づいてみると、こちらもイトーキの社員でした。こんなに気持ちの良い場所でのラジオ体操。最高な1日の始まりです。

▲ 左脇がしっかりのびていますね!
ベネッセハウス前の芝生には、アート作品たちが点在しています。

▲
元気をもらえる原色カラーのかわいいオブジェたち
ニキ・ド・サンファール「らくだ」1991年(写真左)
ニキ・ド・サンファール「腰掛」1989年(写真右)
朝ごはんを終えて本村港へ向かうと、雲のような、アート作品のような物が現れました。この雲の正体は、建築ユニットSANAAが設計した直島港ターミナル。(中には待合室やトイレ、駐輪スペースが設けられていました)夜はライトアップされて、また違った雰囲気に。

▲ 海の上からも見つけやすく、港のランドマークになっているそう
ここからは、小型旅客船に乗り込みます!

▲みんなで犬島へ!


▲2日目のガイドを担当くださった福武財団の金廣さん(写真右側)
犬島は、かつて、銅の製錬業や採石業が盛んだった頃は6,000名あまりの人が暮らしていたそうですが、現在は50人ほどで、ほとんどの島民が高齢者の方々。「アート作品の制作などをきっかけに大学生などが島を訪れることで少しずつ関係人口が増え、島の活性化につながってほしい」と金廣さん。
金廣さんは案内中も島のおじいちゃんと楽しくお話をされていて、普段からの関係性が垣間見えました。島の中でアートプロジェクトを続けていくには、そこで住まわれている島民の方々の理解を得ることが何より大切で大事にされていると感じました。

▲ 犬島へ到着
「INUJIMA」のサインが映えている犬島チケットセンターでは、おみやげの販売やカフェも併設されています。

▲ 犬島チケットセンター
環境にやさしい犬島精練所美術館
最初に向かったのは、犬島精練所美術館です。

▲犬島に残る銅精錬所の残像物を保存・再生した美術館
「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもとに作られた美術館は、自然エネルギーを利用した環境に負荷を与えない三分一博志さんの建築。電気を使わずに、カラミ煉瓦(銅などの鉱物を精製するときに生じる廃棄物を固めた煉瓦)や煙突の特徴を活用し、年中快適に過ごせる館内を保っているそうです。ついつい便利な世の中で、スイッチひとつで暖かくも涼しくも調整ができますが、あらためて自然の力の凄さを感じる学びの多い美術館でした。

▲カラミ煉瓦は、熱を持つと冷めにくく、一度冷えると冷めにくいという特徴が

▲発電所跡の前で並んで、鑑賞タイム。
その後、島の集落の中に作品を展開する家プロジェクトを案内していただき、お昼は、犬島チケットセンターカフェで、瀬戸内産の鯛めしをいただきました。
犬島では昔、婚礼などおめでたい時に鯛が食べられていたそうです。

▲鯛の香りと旨味がご飯にたっぷり詰まっていました!

▲アート鑑賞の合間に電話やメールチェックも
豊島エスポワールパークで一休み
午後からは豊島へ移動。ベネッセコーポレーションさんのお知り合いの方が運営をされている、「豊島エスポワールパーク」に寄り道。豊島レモンアイスクリームなどをいただき一休み。こちらの施設は、宿泊や研修のためのセミナールームがあり、個人だけではなく団体でも使えるので、豊島でワーケーションをされる際は候補にしてみてはいかがでしょうか。


▲おすすめの豊島レモンアイスクリーム(写真左)
▲すべての客室から海が眺められる素敵な施設(写真右)
ゆっくりと時を刻む豊島美術館
瀬戸内海を望む豊島唐櫃(からと)の小高い丘に建設されるアーティスト・内藤礼さんと建築家・西沢立衛さんによる豊島美術館。休耕田となっていた棚田を地元住民とともに再生させ、その広大な敷地の一角に、水滴のような形をした建物が据えられました。靴を脱いで、柱が1本もない壮大な空間に一歩足を踏み入れた瞬間の、空気が変わる感覚は忘れられません。

▲芝生に小さなテーブルと藁の座布団があり景色を楽しみながらのんびり!

▲この道を抜けて豊島美術館へ!
美術館の前に広がる棚田もとても美しかったです。この棚田は、一時は、1/10まで耕作面積が減っていたようです。そんな中、2009年の瀬戸内国際芸術祭の開催を契機にかつての食の豊かさを守ろうと、豊島の人々と行政が一緒になって「棚田プロジェクト」として整備をされて、この美しい風景が保たれているとのことでした。

▲青空のもと広がる棚田

▲ホテルに戻り、夕飯までの間は仕事タイム
3日目|直島で最後のアート鑑賞、モバイルオフィスカーも活躍!
モバイルオフィスカーやベネッセハウスにてワーク
3日目の朝。ホテルの各部屋のテラスからの眺めは、本当に美しい風景のよう。こんな非日常的な場での仕事は、思考もいつもより冴えているような気がします。

▲テラスで

▲ホテルの前の芝生にあるベンチで
そして、モバイルオフィスカーの登場です。

▲海が見える素敵な場所に停車
モバイルオフィスカーは、いろんな場所に移動しながら働ける環境が整えられるので、チームでワーケーションをするときにはすごく便利だなとあらためて実感しました。

▲車の中から見える景色。秋風も気持ちがいいのでドアも全開!

▲撮影のために運転席へ(もちろん車は停止しています)(写真左)
▲モバイルオフィスカーは、仕事中も移動中も大活躍(写真右)
車内はワーク仕様ですが、雰囲気的にキャンピングカーにも見えますね。キャンプと組み合わせるワーケーションも良さそうです。今後も、いろいろな活用方法を試せればと思います。
ガイドさん おすすめのANDO MUSEUM
続いて、上本さんが直島でガイドをされている中で、一番のおすすめといっても過言ではないというANDO MUSEUMをご紹介。

▲直島文化村ツアーデスクの上本さん
安藤忠雄さんの設計による打ち放しコンクリートの空間が、本村地区に残る築約100年の木造民家の中に新しい命を吹き込んでいます。過去と現在、木とコンクリート、光と闇。対立した要素が重なり合います。

▲中に入ると小さいながらも安藤忠雄さんの建築要素が凝縮された空間が広がります
上本さん曰く、建築の見所は美しいコンクリートにあると。とても難易度の高い工法で、ベネッセハウスや地中美術館などでの施工経験の集大成がこのANDO MUSEUM!とても見ごたえのある美術館でした。他にも、ヴァレーギャラリーや直島の家プロジェクトなど、時間ギリギリまでアート鑑賞を満喫。旅の最後のご飯は、瀬戸内海のお魚がいただける食事処へ。

▲「島食Doみやんだ」さん(写真左)
▲
特に直島産のオリーブハマチが最高に美味しかったです!(写真右)
美味しい食事を終え、あっという間に、帰路の時間。淋しい気持ちと、これだけチャージした分、これからさらに頑張ろう!という気持ちがわいてきました。

▲お世話になったみなさんにもお別れです
さいごに
今回のワーケーションに参加した、イトーキメンバーの感想をご紹介!ワーケーション体験は、気持ちにプラスの影響があり、それが仕事にもつながるのですね。
「東京のどこかせかせかした環境から、自然が身近にある穏やかな環境に変わっただけで、いつもより前向きな気持ちで仕事に向き合えた感じがします」
「働く場所・環境が変わることで心身のリフレッシュができることで普段とは違った考え方・発想ができました。今後も様々な場所でワーケーションをしたいと思いました」
「自然とアートに溢れる瀬戸内の環境では、東京のコンクリートジャングルの中とは違う気持ちで働けると感じました。時間もゆっくり流れていくような感覚で、穏やかで落ち着いた状態を保てるように思いました」
「本格的なアート鑑賞は初めてでした!普段の生活や仕事ではあまり使わない部分が刺激されているような感覚。作品と向き合って考えを巡らす中で、知らぬ間に自分と対話しているような、そんな不思議な気持ちがわいてきました。年に数回こんな時間をもてるようにしたいなと感じさせられた旅でした」
「誰と行くか。どこに行くか。が大事」
改めて実感したのは、ワーケーションの目的に応じて、どんな体験をデザインするかが、とても大事だということ。今回の瀬戸内という“アート×自然”がある場所でのワーケーションが、クリエイティブな思考を生まれやすくさせるのかもしれません。このあたりは、引き続き検証していきます!
主にパソコンやタブレットを使って働いている様子をお届けしましたが、移動中もスマホでの連絡対応やWEB会議への参加、参加したメンバー同士は対面でじっくりと仕事の打合せも。遠隔地でできる仕事が多い一方、事前準備は工夫の必要があると感じたので、今後のワーケーションに活かしていきたいです。

▲瀬戸内国際芸術祭で春会期より大活躍だったモバイルオフィスカーとは、しばしお別れ
これからもイトーキは、新たな働き方をどんどん試しながら、リアルな体験からの気づきをお伝えしていきます!
次回は、春・夏・秋会期、全体を通してのまとめで「瀬戸内国際芸術祭2022」レポート最後になる予定です。こちらもお楽しみに!
【ご紹介】モバイルオフィスカーMOOW
瀬戸内国際芸術祭に貸出ししている仕様とは異なりますが、4月に日産自動車様と協業し製作したモバイルオフィスカーMOOW(ムーウ)が今年度中に日産自動車様の販売店で販売予定です。