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働き方

ファシリティマネジメントとは?意味、実践手法、導入するメリットと具体例をわかりやすく解説

働き方が多様化し、人材獲得競争が激化する現在、企業の「施設と環境」を戦略的に企画・管理する「ファシリティマネジメント」に注目が集まっています。人事、ICT、財務と並ぶ第4の経営基盤として、その重要性が広く認識されるようになりました。

本コラムでは、ファシリティマネジメントの基本から導入のメリット、実践方法まで、具体例を挙げてわかりやすく解説します。

ファシリティマネジメントとは

まず、ファシリティマネジメントの基本的な考え方と、対象となる範囲について確認しましょう。

ファシリティマネジメントの概要

ファシリティマネジメントとは、企業が持つオフィスや工場などの施設を最大限に活用し、従業員の生産性や企業価値を向上させるための戦略的な経営アプローチです。

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)では、「ファシリティマネジメントは、企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」と定義しています。

ファシリティマネジメントはコスト削減や生産性向上に直結するため、経営に大きな影響を与えるものですが、日本ではまだ十分に浸透しているとはいえません。今後、ファシリティマネジメントを人事、ICT、財務に並ぶ第4の経営基盤として位置付け、戦略的に推進していくことが求められています。

出典:公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会 ホームページ

https://www.jfma.or.jp/whatsFM/

ファシリティの範囲

ファシリティマネジメントの「ファシリティ」は、企業や団体が活動に利用する「施設とその環境」全般のことです。
具体的には次のようなものが挙げられます。

【ファシリティの具体例】

分類

要素

物理的要素

土地、建物、設備・機器、家具、備品など

環境要素

執務環境、周辺環境、ITネットワーク環境など

ファシリティマネジメントは、建物や設備などのハード面に加え、ホスピタリティサービスといったソフト面も含めて、働く人の活動環境を総合的に管理します。

ファシリティマネジメントが必要とされる理由

現代の日本企業は人手不足や経営効率化といった深刻な課題に直面しています。その解決策として、ファシリティマネジメントが注目を集めています。なぜ今必要なのか、具体的な理由を見ていきましょう。

施設関係費の見直しが求められている

これまで多くの日本企業は、厳しい経営環境で変革を迫られると、真っ先に人件費の削減に着手してきました。人件費は経営費用の大部分を占める固定費であり、削減効果がわかりやすいからです。

一方で、施設関係費については十分な対策が取られていませんでした。しかし、オフィス賃料、光熱費、設備の維持管理費などを合計すると、人件費に次いで大きな金額になります。

ビジネス環境が急速に変化する今、企業がこれまで後回しにしていた施設関係費について、戦略的な見直しが求められているのです。

働きやすい職場環境づくりが必要とされている

現在、日本企業は働き方の多様化と深刻な人材不足という二つの大きな変化に直面しており、このような環境下で優秀な人材を確保・定着させるには、単純な給与引き上げだけでは限界があります。

そんな中、従業員が日々働くオフィスをはじめとした職場環境は、生産性やエンゲージメントに直接影響するため、働きやすい環境づくりが人材戦略の重要な要素となっているのです。

ファシリティマネジメントによって快適な職場環境を整備することで、従業員のモチベーション向上やイノベーション創出が期待できるでしょう。

環境負荷軽減の取り組みとして

現代の施設運営において、環境対策や省エネルギー化は避けて通れない重要課題です。

LED照明の導入や高効率な空調設備の採用、断熱性能の高い建物づくりなど、企業はさまざまな工夫を重ねています。加えて、資源循環を意識し、廃棄物削減やリサイクルの取り組みも徐々に広がりつつあります。

これらの努力はSDGs(持続可能な開発目標)の実現につながるだけでなく、企業の持続的な成長や地域社会、自然環境への社会的責任を果たすうえでも大きな意味を持っています。

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施設設備の老朽化と経営リスク

多くの場合、企業の経営基盤はオフィスや工場などの施設を中心に成り立っています。

しかし実際には、古い設備や非効率なレイアウト、高額な維持管理コストなどが原因で、施設が経営の足かせとなってしまっているケースが見られます。光熱費の高騰や老朽化による修繕費の増加、働きにくい環境による生産性の低下といった問題が、企業の収益に大きな影響を与えているのが現状です。

こうした課題に対して、ファシリティマネジメントは効果的な解決策となります。施設や設備の適切な管理と、安全で快適な職場環境の実現は、事業継続性の向上にも貢献する重要なアプローチといえるでしょう。

ファシリティマネジメントの実践手法

ファシリティマネジメントを成功させるためには、段階的なアプローチが重要です。ここからは、具体的な手法と重要な構成要素について説明していきます。

ファシリティマネジメントの3つのレベル

ファシリティマネジメントは、大きく分けて3つのレベルに分類されます。

  1. 戦略・計画
    経営全体の視点から、中長期実行計画や単年度計画を策定し、企業の将来像に合わせたファシリティ戦略を立案します。すべてのファシリティに対し、統括的で最適なあり方を追求します。
  2. 業務管理
    定められた方向性に基づき、ファシリティを最適な状態へ改善していきます。具体的なプロジェクトの管理や、実務レベルでの運営維持活動の計画・実施・管理を行います。
  3. 実務担当
    日常の運営維持を行います。施設の維持保全や運用・サービスといった具体的な業務を担当します。

これらの役割分担を明確にし、戦略的な視点から現場の実務まで、一貫した方針で進めていく必要があります。

統括マネジメントの役割

ファシリティマネジメントの実践においては、3つのレベルを統括的に管理する仕組みが必要です。この役割を担うのが「統括マネジメント」業務です。

統括マネジメントは、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を通じて各段階の連携を調整し、全体を効果的に機能させる業務です。各レベルの業務を管理するだけでなく、組織全体の視点からファシリティマネジメントの方向性を定め、継続的な改善を推進する司令塔としての機能を果たします。

PDCAサイクルを継続することで段階的な改善が進み、重要な課題が見つかった際には、それを経営戦略全体に活かすことができます。

ファシリティマネジメント導入のメリットと具体例

ファシリティマネジメントを導入すると、企業はどのような効果を得られるのでしょうか。主要なメリットを具体例とともにご紹介します。

コストの削減

建物は建設時だけでなく、その後数十年にわたって維持費用が発生します。そのため、建物の生涯コストを考慮した計画が重要です。

長期的な視点で点検や修繕の時期、費用について計画する長期修繕計画を策定すれば、修理の時期・内容・費用を事前に把握できます。突発的な故障による高額出費をある程度避けられるため、資金繰りが安定するでしょう。定期的な予防メンテナンスにより、設備の急な故障による業務停止を防げることもメリットの一つです。

その結果、修理にかかる時間と費用を最小限に抑えられます。

生産性の向上

ファシリティマネジメントにより働きやすく魅力的なオフィス環境を実現することは、従業員の心に直接作用し、モチベーション向上や新しいアイデアの創出につながります。

たとえば、古くなったオフィスチェアを座り心地の良いものに変えるだけで、従業員の働きやすさが変わり、集中力と作業効率が向上します。照明や空調を見直して適正に設定すれば、消費電力を最適化しながら従業員にとっても快適な環境を実現できるでしょう。

フリーアドレス化など、多様な働き方にも対応できる柔軟なオフィス環境へ整備すれば、生産性を維持しながら働き方改革の推進にも寄与します。

安全性・事業継続性の確保

ファシリティマネジメントは、リスク管理の観点からも重要な役割を担います。

エレベーター、空調システム、非常用設備などの重要設備は、故障時の影響が大きいため、定期点検とメンテナンスの徹底が不可欠です。パンデミックなどの危機的状況でも、清掃・設備管理・警備の各業者が連携することで、オフィスビル全体の機能を維持できます。

柔軟な施設運営

さらに、ファシリティマネジメントは現状維持だけでなく、「より良い環境」を目指すものです。

オフィス改修では、古い部分の修繕だけでなく、より価値の高い設備への更新や従業員の要望を取り入れた改善を同時に進めるのが理想的です。たとえば、空調設備の更新時に内装リニューアルや什器の配置変更も同時に実施すれば、業務への影響と費用を効率的に抑えられます。

◇ ◇ ◇

ファシリティマネジメント業務は、「戦略総務」とも密接に関連しています。総務部門と施設管理部門の連携により、従業員の生産性向上と快適な職場環境の両立を実現できるでしょう。戦略総務については、以下のコラムでくわしく解説しています。

ファシリティマネジメントのお悩みはイトーキにご相談ください

ファシリティマネジメントにお悩みの際は、豊富な実績と専門知識を持つイトーキにご相談ください。貴社のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

  • セキュリティ&セーフティ
    地震や火災などの災害から従業員を守り、事業継続を支える安全な職場環境の構築をサポートします。重要設備の定期点検体制の整備から、不審者侵入防止や機密情報の保護まで、総合的なリスク管理をご提案いたします。
  • オフィスの移転・リニューアル
    企業の成長や働き方の変化に応じたオフィス環境の最適化を支援します。移転先の選定から設計・工事・引越しまで、従業員の生産性向上と快適性を両立する空間づくりをワンストップで実現します。

コスト削減をはじめ、生産性向上、安全性確保、柔軟な施設運営に至るまで、ファシリティマネジメントで実現できる効果は多岐にわたります。小さなご相談から大規模なプロジェクトまで、どのようなことでも構いません。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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