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空間づくり

オフィス防災の課題とは?見落としがちな地震対策をご紹介

地震が多い日本では、従業員の安全を守り被害を最小限に抑えて事業を継続することが、災害時のオフィス運用における重要なテーマとなっています。企業の対策が進む一方で、「オフィス内の備えは本当に万全なのか」と不安を感じている方も少なくありません。

本コラムでは、「転倒・落下・移動」の3つの視点からオフィスで見落とされがちな地震対策を整理し、チェックリストやレイアウトの工夫など、今日から見直せるヒントをわかりやすくご紹介します。

オフィスの安全性を高めたい方、防災を意識したレイアウトに関心がある方はぜひ最後までご覧ください。

オフィスの防災対策の現状と課題

オフィスの安全を守り被害を最小限に抑えるためには、日常的な備えとともに現状の防災対策が本当に機能しているかを定期的に見直すことが重要です。

まずは、イトーキが実施した調査結果をもとに、企業における防災対策の実態と注意すべきポイントをご紹介します。

企業の防災対策の現状

イトーキが実施した「オフィスの防災に関する実態調査(2024年)」によると、約8割の企業が地震対策の必要性を認識している一方で、「十分に対策できている」と回答した企業はわずか22.8%にとどまりました。

とくに、備蓄品の確保や安否確認といったソフト面の対策が進んでいる一方で、レイアウトや什器の固定などのハード面では、対策が十分に行き届いていない傾向もうかがえます。

今後はこうしたギャップを埋めるためにも、ハード面での備えを意識しながら、防災や地震対策の視点を日々のオフィス環境管理にバランスよく組み込んでいくことが大切です。

レイアウト変更・移転時に見落としがちな地震対策とは?

オフィスの移転やレイアウト変更は、本来であればオフィス環境の地震対策を見直す絶好のタイミングです。しかし現実には、「働きやすさの向上」や「デザイン性の刷新」などが優先され、地震対策の視点が後回しにされてしまうことも少なくありません。

たとえば、家具や什器の固定が十分ではなかったり、避難経路の妨げになるような配置になっていたりするなど、安全性に関わるポイントが見逃されてしまうケースも。とくに、オフィスの専門家が関与していない場合は防災の視点が反映されにくくなる傾向があります。

だからこそ、「レイアウトを変えるとき=安全を見直すタイミング」と捉え、地震対策の視点を意識したレイアウト設計や什器の配置を行うことが重要です。

オフィスの地震対策で押さえておきたい3つの視点

オフィスの地震対策は、家具・什器の固定や収納物の整理、避難経路の確保など、対応するべき内容が多く見落としてしまうケースも少なくありません。

なかでも「転倒・落下・移動」の3つは地震時の怪我や避難の妨げとなるリスクにつながります。

そこでここからは、オフィスの地震対策を「転倒防止」「落下防止」「移動防止」の3つの視点に分け、それぞれのリスクと見落としがちなポイントを見ていきましょう。

参考:東京消防庁 家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000010472.pdf

1.転倒防止:家具や什器をしっかり固定する

家具・什器の転倒リスク

地震の揺れによってキャビネットやロッカーなどの大型什器が転倒すると、従業員の怪我や避難経路の遮断といったリスクを引き起こす可能性があります。とくに背の高い什器は、自重と重心の高さにより、想定以上に広い範囲へ倒れ込むことがあるため注意が必要です。

見落としがちなポイント

オフィスの見た目がすっきりしていても、じつは固定されていない家具や、仮固定のまま使用されている什器が意外と多く存在します。

とくに、中置きのキャビネットやローパーティションが固定されずに設置されていたり、背中合わせに置かれているキャビネット同士が未連結だったりすると、地震の際に倒れて避難経路をふさぐ危険性もあります。

また、什器の高い場所に重いものを収納していると、転倒リスクを高めることにもつながります。収納物の量や位置も含めて定期的に点検・見直しを行うことが大切です。

2.落下防止:収納方法や機器の配置を見直す

収納物・機器落下のリスク

地震の揺れによって棚の上に置かれた荷物が落下したり、収納の扉が開いて中身が飛び出したりすることで、従業員の怪我や設備の破損につながるリスクがあります。

とくにOA機器やサーバーなどが落下した場合、ネットワークの遮断や大切なデータの損失につながり、業務継続に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。

見落としがちなポイント

棚の上に仮置きされたプリンターやWi-Fiルーター、机上のパソコン、モニターなど、固定されていないOA機器は地震時に落下しやすく、怪我や業務中断の原因となります。

また、ロック機能のない収納棚や扉のないラックを使用していると、収納物が飛び出すリスクもあるので注意しましょう。「高所に重い物を置かない」「滑り止めを使う」「収納のロックを徹底する」など、日常的な整理と備えがポイントです。

3.移動防止:避難経路の確保と什器の位置調整を行う

家具・什器の移動によるリスク

地震の揺れによって家具や什器、パーテーションなどが移動し、避難経路をふさいだり転倒による二次被害を引き起こしたりするリスクがあります。とくに出入口や非常口付近では、人の集中が想定されるため、安全な動線を確保しておくことが大切です。

見落としがちなポイント

オフィスでは、パーテーションやキャスター付きの什器が床に固定されないまま使用されているケースも少なくありません。また、キャスターがロックされていなかったり、移動の可能性がある家具を出入口付近に配置していると、避難時に危険を伴う可能性があります。

家具や什器の配置は見た目や業務効率だけでなく、非常時の動線確保の視点でも定期的に確認・調整していくことが大切です。

見直しに役立つ!オフィスの地震対策チェックリスト

オフィスの地震対策は、一度実施して終わりではなく日々の業務の中で定期的に見直していくことが大切です。

とくに固定具のゆるみや破損などは見逃されやすいため、設置当初の状態を保てているかどうかも確認しましょう。

ここでは、転倒防止・落下防止・移動防止の3つの視点から、地震対策の見直しに役立つチェックポイントをご紹介します。

分類

チェック項目

転倒防止

大型家具や什器は適切に固定されているか

背の高い什器がオフィス中央やデスク周りに配置されていないか

ローパーティションは連結・固定されているか

出入口や避難経路付近に倒れる可能性のある什器を置いていないか

什器の高い位置に重い物を入れていないか

落下防止

棚の上に物を置いていないか 

壁付けや天井吊り下げの機器の固定具にゆるみはないか

固定席のパソコンやモニターは転倒防止グッズで固定されているか

ノートパソコンや小型機器(ルーター、プリンターなど)が落下しにくい状態になっているか

セーフティロックやラッチ機能が付いた収納、デスクを導入しているか

ガラスを使用した家具や什器には、飛散防止フィルムや強化ガラスが採用されているか

移動防止

キャスター付き什器はロックされているか

コピー機、複合機などの大型機器は床などに固定されているか

パーテーションは適切に固定されているか

出入口や非常口付近に移動の可能性がある什器を置いていないか

中置の什器は背面で連結し、動かないように設置しているか

離席の時は椅子を中に入れる習慣がついているか

参考:一般社団法人日本オフィス家具協会「地震に備えた安全なオフィスづくり オフィスの地震対策」
https://www.joifa.or.jp/useful/earthquake.html

地震に強いオフィスレイアウト 8つのポイント

地震対策を強化するうえでは、家具や什器の固定だけでなく、オフィス全体のつくりである「オフィスレイアウト」にも目を向けることが重要です。

とくに、避難動線の確保や重量物の配置は、日常業務と防災を両立させるうえで欠かせない視点です。

ここでは、イトーキが現場で培ってきた知見をもとに整理した、オフィスの安全性を高める地震に強いレイアウトを8つのポイントに整理してご紹介します。

  1. キャビネットは人に向かって倒れたり、導線をふさがないよう一か所に集中させる
  2. メインの導線は1.6m、通路は1.2m以上を確保する
  3. サーバールームは転倒防止や防火・防水対策を万全にし、情報を保護する
  4. コピー機や複合機は囲われたスペースに配置する
  5. 避難経路などに設置するパーテーションは、高耐震のものを選定
  6. 最新の災害情報を確認・共有できる、テレビやホワイトボードなどの設備を準備する
  7. 備蓄品を保管する場所を確保する
  8. 災害時に対策室として使用できるスペースと設備を準備する

これらのポイントは、地震発生時のリスクを最小限に抑えるために、レイアウト設計の段階から意識しておきたい重要な視点です。安全性と業務のしやすさを両立するためにも、専門家に相談しながら設計を進めることが理想的です。

オフィスの地震対策に取り入れたいおすすめ製品 5選

イトーキでは、独自の地震研究を行うため、業界で唯一自社工場内に振動試験室を設置し防災の視点を取り入れた間仕切りやキャビネットの開発・設計を行っています。

ここでは、その中でもとくに地震対策において効果的な製品を5つご紹介します

転倒防止ユニット L-FORCE(エルフォース)

壁に接していないキャビネットにも設置可能な転倒防止ユニットL-FORCE(エルフォース)。非構造壁やOA床など、これまで対策が難しかった場所にも対応し、震度6強を2回加えても倒れない耐震性能を実現。工事の制約が少なく、柔軟な導入が可能です。

シンラインキャビネット

複数の引き出しを同時に開けられないセーフティロック機構や、扉・引き出しの飛び出しを防ぐラッチ機構を備えた「シンラインキャビネット」。転倒や収納物の落下による被害を防ぎ、日常の安心と地震対策の両立を実現します。

eSキャビネット(エスキャビネット)

耐震性とセキュリティ性を兼ね備えた収納「eSキャビネット」。ラッチ機構により、地震時の扉や引き出しの飛び出しを防ぎ収納物の落下リスクを低減します。さらにオフィスの情報セキュリティ対策として、鍵付き仕様やIC錠対応など、管理レベルに応じた選択が可能。安全性と機密保持を両立させたオフィスづくりをサポートします。

Feels(フィールス)

耐震性能に加え、不燃性にも優れたパーティションシリーズ「Feels(フィールス)」。万が一の火災時にも燃え広がりにくい不燃材を採用し、安心・安全な空間づくりを支えます。天然木の質感を生かしたデザインで、快適で居心地のよいオフィスづくりを実現します。

hako(ハコ)

蓄電機能を備えたワークブース「hako(ハコ)」は、地震などの災害時における非常用電源としても活用可能。停電時にも一定時間はパソコン作業や照明を確保できるため、業務の継続性を高める備えとしても注目されています。
平常時は固定電源に縛られない働き方を実現し、柔軟なオフィス運用をサポートします。

【詳しくはこちら】

hako(ハコ) │ITOKI Product Catalog

オフィス環境の防災対策はイトーキにお任せください

地震対策を進めるうえでは、個別の対応だけでなく、オフィス全体をひとつの空間として見直す視点が欠かせません。

イトーキは、1978年の宮城県沖地震から今日に至るまで、継続してオフィスの地震対策の試験研究に取り組み、安心・安全のオフィスづくりを提案してまいりました。多くの尊い命を奪い甚大な被害をもたらした2011年3月の東日本大震災では、首都圏でも多くのオフィスが被災し、その後の事業活動に多大な影響を及ぼしました。
イトーキではこの被害を踏まえ、改めて地震に対する研究や製品開発をさらに強化してきました。現在は、多くの自社試験や現場で得た知見をもとに、防災と快適性を両立するオフィスづくりをご支援しています。

「本当に安心できるオフィスにしたい」「地震対策を環境から見直したい」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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