2026年9月24日
「難しい仕事ほど面白い」挑み続ける設計のプロが、若手に伝えたいこと
前例のない仕事や難題に直面したとき、どう向き合えばいいのでしょうか。
1989年の入社以来、一貫してスペシャルオーダー品※の基本設計・手配を担当し、新製品から廃版品まで幅広い製品知識を培ってきた文沢昭人さん。営業から届く「PDF1枚」のイメージからコンセプトを読み取り、前例のない依頼にも「面白そう!」と向き合ってきました。
「難しい仕事ほど、自分の考えや想いを乗せられる」と語る文沢さん。専門性を磨き続けてきた仕事への向き合い方と、その面白さを若手へ伝える姿から、難しい仕事を楽しむためのヒントを探ります。
- スペシャルオーダー品:既製品ではなく、お客様の特別な要望に合わせて、既存の製品をカスタムしたり、世界に一つだけのオリジナル品を制作したりする特別な受注サービスの事。
生産本部 商品統括部 オフィス商品部 展開設計課 展開設計チーム
文沢 昭人
1989年に入社してから一貫してスペシャルオーダー品の基本設計・手配を担当。新製品から廃版になった製品まで幅広く熟知し、前例のないオーダーに取り組んできた。
※本文中の所属部署・役職・制度等は取材当時の情報です。
PDF1枚の相談から、コンセプトを読み取る
「まずはやってみたい」。何に対しても思います。私の仕事は営業から相談されたスペシャルオーダー品の依頼に対し、できるか・できないかの判断を下し、図面※と見積書を用意することです。
カタログにある製品の部分的な変更の場合もあれば、前例のないオーダーの場合もあります。
- 図面:寸法や構造、形などを平面上に表した設計図のこと。
たとえば、営業がお客様から「こんなものが作りたい」と伺った要望を、PDF1枚のイメージにまとめて相談してくることがあります。それをそのまま図面に起こし、並行して見積書を作成することもできますが、私はまず「何を求めているのか」を考え、コンセプトを理解するようにしています。
そうすると、「ここを変えた方がもっと見た目が美しくなるのではないか」「このパーツを動かせるようにした方が便利なのではないか」と、よりよい製品にするためのアイデアが見えてくるんです。
その後、見積書を作成し、必要に応じて協力会社や製造部門とも連携しながら設計を進めます。実際に作ってみなければ分からない部分もあるため、製造の皆さんと相談しながら調整を重ね、形にしていきます。
お客様が求めているものを理解したうえで、よりよい形を考え、実現していく。それが私の役目だと思っています。
やるか・やらないかの二択。自分で考えたことが血肉になる
前例のない図面に挑戦する姿勢は、入社当初お世話になった係長から学びました。「どんな案件でも全部持ってこい」と何でも屋のように仕事を引き受け、豊富な知識で打ち返す。
当時十八歳の若手だった私はとても憧れた一方で「いつか絶対に自分が設計で一番になってやる」と情熱を燃やしました。当然、右も左も分からなかったため、係長をはじめとした先輩方に質問を繰り返しましたが、その前に、まずは自分でできる限り考え抜くことを続けました。
聞いて学んだことに比べて、自分で考えて答えを導き出したことの方が、自分の血肉になります。スペシャルオーダー品の世界には廃版となった部材の取り付けや、そもそもイトーキでは生産していない部品の取り付けなど要望はさまざまです。気づけば分厚い製品カタログに掲載されている多くの製品知識が頭に入りました。
そして、知識・技術が増えて気が付いたことは、できないことはほとんどないということです。結局は「やるか、やらないかの二択」だと思っています。
困難な仕事ほど“自分の想い”を乗せられることを伝えたい
製品カタログの知識を掛け合わせて、実現できるかを判断する仕事も当然大切ですが、若手には前例のない困難な仕事にも果敢に挑戦してほしいと思っています。
前例のない難しい仕事は、決まっていることが少ない分、自分で考える余地があります。だからこそ、自分の考えや想いを乗せて図面を引くことができる。そこに、難しい仕事ならではの面白さがあると思っています。
若手にもその面白さを感じてもらいたいからこそ、普段から新規の設計を積極的に任せています。ただ任せるだけではなく、私自身も図面を引き、どちらがより良いものをつくれるか競い合うようにしながら指導しています。
たとえば、ある昇降デスクの設計では、私が大まかな設計と図面の書き起こしを担当し、細かな設計の多くを若手に任せました。若手も自らの意見を出しながら、機能性と美しさの両立を目指して設計を進めました。
今では、私が難しい仕事をしていると多くの後輩が「なんで僕にもやらせてくれないんですか!」と声をかけてくれるようになったことは、とても嬉しいですね。
これからも、難しい仕事の中にある面白さを後輩たちに伝えていきたいです。
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前例のない仕事には、決まった正解がありません。だからこそ、自分で考え、自分なりの工夫や想いを乗せられる余地があります。
難しい仕事を「大変そう」と避けるのではなく、「自分で考えられる仕事」と捉えてみる。文沢さんのように、まずは自分なりの答えを考えてみることが、仕事の面白さを見つけるきっかけになるかもしれません。
- 本文中の所属部署・役職・制度等は取材当時の情報です。





