トップに戻る
働き方 ABW TOPICS

ABWは私たちの働き方の習慣や日々の行動をどう変えるのか

ABWは私たちの働き方の習慣や日々の行動をどう変えるのか

ABW(Activity Based Working)は一言でいうと「場所を選んで働く」ということだ、という説明がなされることが多くあります。実際にはそのシンプルな働き方を実現するため多くの取り組みが必要な働き方でもあるのですが(参考記事:「ABWとは?(実践編)~ABWのメリット、デメリット、導入フェーズのご紹介~」)そもそも、ワーカー目線では働く中での行動や習慣がABWでどう変わるのか?と疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こちらの記事では、ABWを実践する中で当社のワーカーに起こったミクロレベルの変化について、具体例をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

スケジュール登録を「事前に」「細かく」行うようになった

ABWを導入して真っ先に直面する変化は、オフィスに来て「どこに座ろうか?」と考える必要が出てくる、ということです。自席、あるいは自部署のエリアが決まっている働き方であれば何の迷いもなく席に着くことができますが、ABWではそうはいきません。オフィスに来て行う活動をあらかじめ計画しておかなければ、働く場所を決めることができないのです。

現在ハイブリッドワークを実践されている方の中には「オフィスに出社する日はこの仕事をする」「テレワークの日はこの仕事をする」と事前に計画を立てていらっしゃる方も多いかと思いますが、同じようなことをより細かな単位で行う必要が出てきます。そのため、社員の中には、自身のスケジュールに会議や外出の予定だけではなく、個人で行う作業やその活動の種類について登録をしている者も多くいます。なかには業務中のリチャージ(休憩)をスケジュール化する人もいるのです。

事前に細かくスケジュールを登録しておくことは、自分自身がスムーズに働く場所を選べること以外にもメリットがあります。同じ部署のメンバーが常に近くで働いているときは周囲の業務の進捗をなんとなく察することができますが、ABWではそういったことが難しくなります。もちろん会議で進捗確認の場を持つこともできますが、その日に取り組む業務を予定表に登録しておき、他の人から見られるようにしておくことでお互いが安心して業務に取り組むことができますし、問題があればすぐに作業スケジュールを話し合うことができるようになります。雰囲気で察するよりも確実な共有方法と言えるのではないかと、ABWの実践を開始してからは考えるようになりました。

チャットでのやりとりがとても増えた

ABWを実践し始めてから、チャットによるコミュニケーションが急増しました。電話はすぐに会話ができる一方、相手の状況やおかれた場を無視して呼び出しをすることになるともいえます。現在当社では高集中エリアに通話禁止というルールを定めていることから、着信があってもそのエリアを出て通話をしなければならないため、結果的にはチャットの方がすぐに返信をもらえることも多くあるのです。

とはいえ全てがチャットで完結できるわけではなく、対面や電話でのコミュニケーションを取りたい場面もあります。その場合もチャットで「今電話できますか?」「カフェで少し話せますか?」など、事前に確認をすることでスムーズに移行することができたり、お互いに都合の良いタイミングで、気持ちよく会話ができたりするのです。中には「チームの合意」でメールやチャット、グループウェア、電話の使い分けについて話し合いで決めているチームもあります。

(「チームの合意」については、「信頼関係を築く『コミュニケーションマネジメント』とは」をご覧ください。)

他のオフィスに行くと働きづらいと感じるようになった

またABWを実践するオフィスで働き始めてから、他のオフィスやカフェ等で仕事をすると不便さを感じるようになりました。その多くの要素を占めるのが、「スペースの機能不足」です。デザイン性も高く一見快適なスペースであっても、例えば騒音や周りの人の目線が気になり集中ができなかったり、会議をする際にも必要なツールが備わっていなかったりすることがとても気になるようになり、そういったスペースには自然と足が向かなくなってしまいました。様々な種類のスペースがあるはずなのに「働きやすい場所を選べない」という感覚に陥ってしまうのです。

以前のオフィスで働いていたときには、同じような環境でも全く違和感を持つことがなかったのに、何故不満を感じるようになってしまうのでしょうか?おそらくほとんどのワーカーは、自分が働いているオフィスをデフォルトとして考えており、与えられるまでそれ以上のニーズがあることに気づかない、ということではないかと思っています。同じようなことは、テレワークなどにも言えるかもしれません。

自分の働き方をコントロールできる感覚が持てるようになった

ABWの実践を初めて、「事前に仕事のスケジュールをイメージし、それに合った場所を選ぶ」「コミュニケーションをとるタイミングを自分で調整する」ことを繰り返すことで、ある程度自分で裁量を持って働けていると感じるようになりました。また「これから行う仕事で最も生産性・創造性が高まる場所はどこか?」と考える機会が増えることで、自らのパフォーマンスについても意識が高まりました。

当社の調査では、働き方の自己裁量度が高いほど生産性実感やワークエンゲージメントが高いという結果が出ています。ABWのような自由度の高い働き方は自律性を生み、仕事への向き合い方も変えるとも言えます。

働き方の自己裁量度別に見る生産性とワークエンゲージメント比較

ABWによる生産性向上の効果は、決してオフィス空間改修の効果だけでなく、こういった仕事への向き合い方や、日々の小さな行動の変化によってもたらされるものだといえるでしょう。

カテゴリー
働き方
タグ
ABW TOPICS

ABW TOPICS

ABWとは、最も生産性が高く働ける場所、時間、相手をワーカー自らが選択する、自由度・柔軟度の高い働き方のこと。ABWについて考え、もっと理解できるトピックスが盛りだくさんです。