財務戦略

財務戦略

2021年度にスタートした中期経営計画「RISE ITOKI 2023」の目指す姿は、「ポストコロナの『働く環境』づくりをリードする」「強靭な体質の『高収益企業』になる」の2つです。最終年度の2023年度における営業利益65億円達成に向けて取り組んでいます。

イトーキグループの資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応および財務・非財務データ集については、以下をご覧下さい。

中期経営計画「RISE ITOKI 2023」における財務戦略

1. 営業の改革

2022年度は、新築ビル竣工が少ないなか、リニューアルをはじめとした好調なオフィス需要で増収となった以上に、販売戦略で収益力向上を進め、2021年度に引き続き、営業利益は前期比79%増と大幅増益となり、大きく収益力を向上させることができました。
営業改革に関する取り組みは、良いものを適正な価格で提供するプライシング戦略の徹底、費用面では、物流コストの効率化による負担軽減、および販促費等一般経費の販売効率の改善等の販管費コントロールを実行しました。今後も、DX推進による顧客コンタクト力強化、新規リード獲得による販売拡大、さらなる利益率の良化、営業キャッシュフローの獲得を目指していきます。

2. 生産・供給の改革

生産・供給の取り組みに関しては、新たなアセンブル生産拠点であるAPセンターの構築等、生産体制再編の順次実施により、製販統合以降継続している原価低減をさらに加速させました。今後も、さらなる生産効率の追求と原材料高騰およびエネルギーコスト上昇への対応を踏まえ、コスト削減に努めていきます。
なお、イトーキグループの設備投資の方向性として、主力であるワークプレイス事業における、スマートオフィスコンセプトに基づく商品・サービスの開発や、その推進に必要なDXの高度化、さらに生産効率の向上に向けて、戦略的な投資を進めます。加えて、成長が期待できる設備機器分野の生産能力・生産性の拡充も図り、さらなる利益拡大を目指していきます。

3. 資産の効率化

資産効率化の取り組みは、他の構造改革の取り組みと同様に、ROEおよびROIC向上を強く意識し、総資産の圧縮を進めています。2022年度は、政策保有株式の売却をさらに進めたほか、大阪府寝屋川の工場跡地等の事業収益に大きく貢献しない非事業資産を中心に売却等の効率化を実行しました。
これらにより特別利益を創出し、当期利益を大きく伸ばしました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比+353.9%と過去最高益を更新し、その結果、財務基盤をより強固なものとすることができました。 一方、課題であった海外を中心とする子会社の資産やのれんの償却、本体のERP導入に伴う旧システム資産の除却を思い切って前向きに実行し、来期以降のコスト負担を軽減しました。
その結果、ROEを11.1%と大きく高めることができました。
また、これらによりキャッシュフローも大きく改善し、実質無借金まで財務状況を改善することができました。
資産の効率化により総資産の圧縮を進めていますが、売却した固定資産に対して、売却益が乗った形で現金に滞留しているので、むしろこのタイミングでは総資産は増えて見えます。次のステップとして、そのキャッシュをいかに成長投資や株主還元に活用していくかが本来の目的であると認識しています。
構造改革プロジェクトにより改善を進めた財務基盤をベースに、適正な範囲で中長期的な成長分野やDX推進への投資を実施し、事業ポートフォリオを強化するとともに、株主還元を強化していきます。
なお、政策保有株式の縮減は、コーポレートガバナンスコードが適用された2015年度以降、約半数に縮減できています。今後も、保有の合理性を総合的に判断したうえで縮減を実施し、資本効率の向上と財務体質の改善に努めます。

過去4年間のネットキャッシュの推移

株主への還元を強化

これまでの高い株主還元

株主のみなさまへの還元については、経営の重点施策として継続的かつ安定的に配当することを基本方針としております。加えて、連結業績を考慮し、配当性向30%超を目処とした配当政策を実施しています。
2022年度は、1株当たり配当金を、普通配当は15円から2円増配の17円にするとともに、特別配当20円を加え、合計37円とし、配当性向は31.6%となりました。
さらに、2023年度は、1株当たり配当金予想を、普通配当17円から8円増配の25円、配当性向30.6%としています。
当社は近年、当期利益が厳しい中においても普通配当を減配することなく、安定的な配当を実施してまいりました。引き続き、上記方針に則すとともに、収益性の強化および財務状況等を総合的に勘案し、中長期的な企業価値に資する自己株式取得等の資本政策を含め、株主のみなさまに資する株主還元を実施していきます。

配当性向(%)
2018 34.3
2019 N.A.
2020 N.A.
2021 58.1
2022 31.6
  • 2019および2020は当期純損失のため算出不可(配当金は各年度1株当たり13円を維持)

資本コストを意識した経営

イトーキグループは、2023年度を最終年度とする中期経営計画を推進するなか、各種の構造改革を実践し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、邁進しています。そのようななか、東京証券取引所におけるPBR改善要請と歩調を合わせ、この中期経営計画の実践の中で、収益力のさらなる強化を図るとともに、ESGを含む情報の適時・適切な開示や資本政策を含む資本コストの改善策を着実に実行し、エクイティスプレッド(ROE-資本コスト)を改善することによりPBRを向上させていきます。
具体的には、成長戦略の実行による利益創出能力の強化により収益性を向上させ、財務政策および資本政策の強化により総資産を圧縮していきます。また、理論PBRにおいて、ROEと乗ずるPERについても、エクイティストーリーの発信強化に努めるなど積極的なIR活動を実践していきます。

財務戦略(資本コストを意識した経営)

収益力のさらなる強化を図るとともに、ESGを含む情報の適時・適切な開示や資本政策を含む資本コストの改善策を着実に実行し、エクイティスプレッド(ROE-資本コスト)を改善することによりPBRを向上させていきます。

財務戦略(資本コストを意識した経営)

1. 利益創出能力の強化

1-1 Tech × Designで実現する持続的な成長戦略の実行

  • 基幹事業の事業領域のシフト・拡大による再成長軌道の確保
    • Smart Office Conceptに基づく次世代のオフィスの提案による市場拡大
    • 営業リソースの拡充やDXを活用した新たな販売活動の推進による収益力強化
  • 第2の柱となる事業分野の早期育成
    • 研究施設および物流施設機器分野等の有望事業の強化による事業拡大

1-2 さらなる高収益企業への進化に向けた体質強化

  • 新製造拠点(APセンター)を起点としたサプライチェーン改革によるコスト最適化
  • 基幹システムの刷新に伴う業務プロセス改革およびデジタル化の促進による経営効率化
さらなる高収益企業への進化に向けた体質強化

2. 財務・資本戦略の強化

  • 非事業用資産の売却等整理を含む資産の効率化および有効活用の推進
  • 政策保有株式の縮減
  • 安定的な配当および配当性向30%超を目処とした株主還元の遂行
  • マーケット、株価状況、当社の業績状況およびキャッシュポジション等を総合的に勘案したうえでの自社株買い等の資本政策の検討
  • 人財の強化を価値創出の源泉と捉えた人的資本投資の強化

3. 積極的なIR活動

  • 情報開示の拡充・高度化による投資家との情報非対称性の解消 
  • 能動的な投資家面談の実施によるエクイティストーリーの発信強化
  • ESG説明会やホームページ開示を通じた、人的資本投資やサステナビリティビジネスモデルの発信強化
  • 英文開示を含む四半期開示およびIRマテリアルの充実
  • ホームページおよびIRサイトの刷新および英文対応
  • デジタルツール等も取り入れた外部発信力の向上
  • IR活動の社内還流による投資家期待値ギャップの解消

取締役 常務執行役員
管理本部長
森谷 仁昭

CONTACT

各種お問い合わせはこちらから。