新しいことを考えよう。平均27.7歳の若手がゼロから挑んだチェア開発

「新しいことを考えよう」平均27.7歳の若手が挑んだ“ゼロからのモノづくり”【SHIGA開発の裏側・後編】

プロダクトデザイナーの柴田文江さんがデザインを手掛け、ミニマムな美しさと家具としての現代的なデザインを兼ね備えた、新しい時代の働き方に呼応するワークチェア「SHIGA」。
前編では、「SHIGA」の特徴や、細部に込められたこだわりを設計メンバーにお話ししてもらいました。


開発に取り組んだ設計チームの平均年齢は27.7歳と若いチームでありながらも、プロジェクト期間中は年次を問わずにフラットな議論が交わされていたのだそう。「全部位をゼロから設計する」という難題に対してどう取り組み、どのように成長したのか。7名の設計メンバーにお話を聞きました。

横山 剛士(開発リーダー/技術士(機械部門:機械設計))

生産本部 第1開発設計統括部 第1開発設計部 チェア第2開発設計室

横山 剛士(開発リーダー/技術士(機械部門:機械設計))

野沢 ゆり子(座 設計)

生産本部 第1開発設計統括部 第1開発設計部 チェア第2開発設計室

野沢 ゆり子(座 設計)

山岡 蒼(脚 設計)

生産本部 第1開発設計統括部 第1開発設計部 チェア第2開発設計室

山岡 蒼(脚 設計)

網浦 愛理子(背 設計)

生産本部 第1開発設計統括部 第1開発設計部 チェア第1開発設計室

網浦 愛理子(背 設計)

奥村 夏帆(肘 設計)

商品開発本部 プロダクト開発統括部 デザイン部 プロダクトデザイン室

奥村 夏帆(肘 設計)

木村 翔(メカ 設計)

生産本部 第1開発設計統括部 第1開発設計部 チェア第2開発設計室

木村 翔(メカ 設計)

伴 裕介(メカ 設計)

生産本部 第1開発設計統括部 第1開発設計部 チェア第1開発設計室

伴 裕介(メカ 設計)

  • 2026年5月時点
  • 所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。

前例のない“ゼロ”からの設計。「不安」が「ワクワク」に変わるまで

−−−皆さんが「SHIGA」製作のプロジェクトへ参加が決まった当時の、率直な感想を教えてください。

野沢(座 設計):すごくワクワクしました!注目される製品になるだろうなという確信があって。

山岡(脚 設計):私もワクワクしましたね。みんなで集まって、デザインモデルを見たときに、「これは絶対に形にしたい」と強く思ったのを覚えています。

伴(メカ 設計):私は当時入社2年目でチーム内でも最年少だったこともあり、最初はすごく不安でした。でも、やっているうちに楽しくなってきて、最終的には同じメカ設計担当の木村さんと、毎日ホワイトボードにアイデアを書きながら夢中になって議論をするようになりました。

木村(メカ 設計):あの時間は楽しかったですよね。私は「メカをやりたい」と上司に伝えていたタイミングだったので、13年ぶりの新しいメカを作る設計担当として任命してもらえたのが嬉しかったです。プレッシャーはありましたが、今自分がやりたいことをやらせてもらえる環境がありがたかったです。

横山(リーダー):「SHIGA」のミニマルなデザインや機能を実現するには、それぞれの部位をゼロから設計することが必要不可欠でした。メカを過去製品と共通にし、背もたれと座面だけ新しく設計するようなケースはよくありますが、今回のように全部位をゼロから設計するのは2012年以来、約13年ぶりのことでした。

そこで、ひとりが1部位に集中できるようにチームを組んだ結果、7名の若手メンバーで構成されたチームになりました。誰にどの部分を担当してもらうかは、それぞれのバックグラウンドや将来のキャリアプランを踏まえて決めました。

「新しいことを考えよう」。先輩や上司が見せてくれた、柔軟なアイデアの出し方

−−−若手中心の環境の中で、忖度なく話し合いができるように意識していたことはありますか?

横山(リーダー):意見交換が活発になるよう、設計検討会の回数をとにかく増やしました。通常は月に1〜2回のペースですが、このプロジェクトでは週2〜3回、後半は毎日2時間ほどメンバーと一緒に意見交換する場を設けました。また、統括部長や部長が直接「どうだ?」と声をかけてくれたり、作業を見守ってくださったりする場面も多くありました。

伴(メカ 設計):自分から積極的に話しかけるようにしていました。アイデアを否定されることは一回もなく、それが自分のやる気と最終的な製品の完成度にもつながったと感じています。

野沢(座 設計):実は座面の取り付け方法について、はじめは過去の製品から流用することを考えていました。でも、検討会で部長から「せっかく新しい製品を作るなら、新しいことを考えてみよう」と言っていただいて。

過去のセオリーにとらわれていたところを、もっと自由に考えていいんだと思えるようになりました。さまざまなアイデアを出しましたが、上司や先輩が否定せずに受け入れてくれるので意見が言いやすかったです。

奥村(肘 設計):設計検討会には部長や室長をはじめ、他のチームリーダーも参加していたので、最初は緊張感がありました。でも、ベテランの方が率先して「これはどう?」と一見ありえないようなアイデアを出すことがあって、それが心理的安全性につながりましたね。最初からできないと思い込んでアイデアを出さないのはもったいないと思い、思い切って意見が言えるようになりました。

網浦(背 設計):チェアを製造するITOKI DESIGN HOUSE SHIGAは、設計と製造・技術が同じ場所にいるという環境も大きいですね。正直、製造サイドにしてみれば難しい課題がたくさんあったと思うのですが、みんなが「製品を良くしよう」という共通意識があるので言いやすかったです。

山岡(脚 設計):私はパイプ脚の設計で試作品が壊れたときに、統括部長や部長が話に入ってきてくださったのが印象的でした。右も左もわからない自分に対して、解決策を見出すための視点やプロセスを教えていただいたおかげで、プロジェクトを通じて主体的に取り組むことが楽しくなりました。

妥協するといいものは作れない。プレッシャーを成長に変えて

−−−プロジェクトを通じて、自分が成長したと思うポイントを教えてください。

木村(メカ 設計):製造側に納得してもらうための交渉する力が身についたと思います。設計側と製造側の最適なバランスを探る中で、「安全だから」「コストを抑えた作り方ができるから」と、根拠を持って話せるようになりました。今後も長い付き合いになる中で、良い関係性を築けたことが次のプロジェクトでも活きると感じています。

伴(メカ 設計):部長への説明や社長への製品紹介、取引先との打ち合わせなど、人前で話す機会が多くありました。プレッシャーへの耐性も含め、ビジネスマンとして成長できた実感があります。

山岡(脚 設計):試験が失敗すると焦りが生まれてしまいますが、事前にリカバリー案を考えておけば次の手がすんなり打てることを学びました。先輩方が「よくあることだから大丈夫」と言ってくれたことがとても助けになりました。

網浦(背 設計):設計していく中で、ここは妥協しようか…という考えが頭をよぎることもありましたが、チームメンバーがアイデアを出しながら妥協せずに進めていく姿を見て、「妥協するといいものは作れない」ということを改めて強く認識しました。

奥村(肘 設計):責任感とメンタルが一番鍛えられたと感じています。各部位に担当者が一人なので、「私がやらないと未完成品になってしまう」というプレッシャーとつねに戦っていました。

野沢(座 設計):「こうでなければいけない」という思い込みを、「もっと自由でいいんだ」という発想に切り替えることを学びました。また、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちがいる中で、自分の感覚的な発想をどう言語化して伝えるか、メンバーがうまく報告している場面を見て学ぶことも多かったです。

横山(リーダー):事業への影響も大きい製品でもあったため、絶対に期日までに完成させなければならないというプレッシャーを重く感じていました。でも、後半はそれだけ期待されているということだと、ポジティブに捉えられるようになりました。今では、プレッシャーがある仕事のほうがやりがいがあると思えるようになったほどです。

「あったらいいよね」を形にできる。若手が思う、イトーキで働く面白さ

−−−最後に、イトーキで働くことの面白さを教えてください。

横山(リーダー):本当の意味で一気通貫で製品開発できるところだと思います。ファーストデザインが出る前から企画の人と話を始め、デザイナーや企画との設計上のすり合わせをしつつ、自分たちのこだわりも入れて、量産準備では現場の人とやりとりし、発売後の初期不具合への対応まで関われる。

また、このプロジェクトでは、自分がやりたいという気持ちで手を挙げて参加しました。会社や部門として、いろんなことをやらせてみようという方針があるのだと思います。

伴(メカ 設計):私は24歳でこの規模のプロジェクトに携われるとは思ってもみなかったので、若手が活躍できる環境があるのが一番の面白さですね。

木村(メカ 設計):設計・製造・生産技術など、いろんな部署が横一列になってプロジェクトを進めるので、実際にものを作って一緒に検討できるという環境があります。自分が設計したものが形になっていくのが見えるというのは、設計者として嬉しいですね。

山岡(脚 設計):自分が一番やりたいことだった、「人に身近な製品」を作ることをやれているという感覚があります。オールラウンダーとして、ものづくり全体を担えるのがすごく面白いです。

網浦(背 設計):設計側から提案したことが実際の製品になることもありますし、誰でも「こんなものがあったらいいよね」と言えて、それを形にする流れを作るという社風が好きです。

奥村(肘 設計):アイデアが出たときに、形にするスピードがとても速いと感じています。まずは作って動きを確認する。それができるのもイトーキならではだと感じますね。

野沢(座 設計):頭で着実に考える人もいれば、とりあえず1回作ってみる人もいる中で、それぞれのスタイルで強みを活かしてひとつの製品を作れます。自分の意思を表明する場があるので、働いていて面白いです。

年次を問わずにさまざまなアイデアを出し合い、試行錯誤しながら開発に取り組む。新しい挑戦の連続の中で、時に大きな壁にぶつかりながらも、楽しんでものづくりをしている様子が伝わってきました。そんなメンバーのこだわりが詰まったワークチェア「SHIGA」を皆さんもぜひご体感ください。

  • 所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。

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