ガバナンス対談

ガバナンス対談

イトーキグループは、コンプライアンスの徹底と経営の透明性、公正性向上、積極的な情報開示によるコーポレートガバナンスの強化によって信頼を高め、企業価値の向上に取り組んでいます。今回は、社外取締役の似内氏、坂東氏、常勤監査役の船原氏、森谷氏に、昨年起きたコンプライアンス事案を契機にした対応策、女性活躍をはじめとするサステナビリティ推進に関連した取り組みについて、お話しいただきました。

2事案を真摯に受け止め、進むコンプライアンスの強化

船原2024年は、シンガポールのターカス社に関する競争法違反の通知と、日本国内の物流業者に対する公正取引委員会の調査という、性質の異なる2件の重大なコンプライアンス事案が発生しました。ターカス社の事案では通知を受けたとき、海外ということもあり、何よりもまず、迅速かつ正確な事実確認が重要と考え、社外監査役と連携し、独立性及び専門性を備えた現地専門家中心の調査委員会の早期立ち上げと監査役会との連携体制構築を図りました。

一方、日本の事案では、調査開始段階から体制整備を行い、進捗を逐次監査し、再発防止策の策定まで関与しました。

 これらの対応を通じ、現状のコンプライアンス体制の強化を図っておりますが、現場が懸念を気軽に相談できる風土をつくり、内部通報制度をさらに活用していくことがコンプライアンス基盤強化に不可欠です。同時に、社会的規範の変化に対する感度を高めることも重要です。教育・研修の一環として継続して取り組むべきだと考えています。

森谷2024年に起きた二つの事案を通じ、グループガバナンスの重要性が改めて浮き彫りとなりました。イトーキ本体では、「コーポレートガバナンス本部」の新設と人材強化により体制整備が進んでいますが、グループ全体でも今回の反省を踏まえて改善していきます。現在の課題は、グループ会社からの情報収集が万全とは言えず、状況の正確かつ迅速な把握によるリスクの早期発見や対応に改善余地があるのではないかということです。これに対し、本社からの支援やグループ会社の監査役との連携、本体監査役による直接往査を通じて対応を強化しています。今後は、本社の知見を活かし、「3ラインモデル」に基づく統制体制をグループ全体に展開し、すべてのステークホルダーを守る仕組みの確立を目指します。

会社の業績が目覚ましく改善し伸展している状況であるからこそ、内部監査部門や社外取締役とよく連携して、「攻めのガバナンス」と「守りのガバナンス」をバランス良く充実させていきたいと思います。

成果が見え始めた女性活躍推進
今後は、個人の能力や適性を尊重した取り組みを

坂東お二人は、コンプライアンスへの対応を中心にお話しされましたので、私は、サステナビリティに関連する重要なテーマである女性活躍についてお話ししたいと思います。

現在、イトーキでは、女性活躍推進に向けた経営陣の強い意志のもと、女性管理職比率が上昇するなど成果が徐々に現れ始めています。とはいえ、女性の管理職を産み出すための本格的なパイプラインの確立にはもう一歩であり、現場レベルでの意識浸透も道半ばです。女性活躍のための課題は、管理職直前層への「期待・鍛え・機会」の三要素をいかに提供できるかにかかっています。今後は、単なる数値目標ではなく、個々の能力や適性を尊重した登用が求められます。男性だけでなく、女性自身のアンコンシャスバイアスにも目を向け、全社的に自信と挑戦を後押しする風土づくりを後押ししていきます。

サステナビリティに関する先進的取り組みを広く展開し、持続的価値を創出する企業に

似内サステナビリティ・ESG全般について申し上げると、イトーキは、統合報告書に対し日経のアワードの高評価に象徴されるように、サステナビリティへの理解と実践において、先進的かつ本質的な取り組みが進んでいると思います。特に『明日の「働く」を、デザインする。』という目線から、ワークプレイスづくりに真摯にかつ野心的に取り組んでおり、人的資本を最大化するオフィスを、自社のみならず、顧客である日本の企業へと提供しようとする姿勢は、ESGのS課題解決そのものと言えます。健康で快適で生産性の高い働き方は「for People」の観点からも高く評価されうるものと思います。これはまさに課題解決とビジネスの両立と言ってよいでしょう。同時に、環境負荷低減や循環型社会への転換といった課題解決「for Planet」も着々と進んでいます。 今後の課題は、こうした理念や先進的な取り組みをグループ全体やパートナー企業にも浸透させることです。「ITOKI DESIGN HOUSE」の実践知を活かし、環境と人の両面から持続可能な価値を創出する企業として、さらに進化してほしいと期待しています。

メッセージ

Yasuyuki Kawasaki
川嵜 靖之
社外取締役

資本コスト・効率を意識した経営で
さらなる企業価値向上を

私は今年3月当社取締役会に参加しましたが、当社株価は茲許中長期的には、業績改善を受け上昇基調にあります。尤も、オフィス2.0や3.0等の成長戦略と共に資本効率をより意識しバランスを取ることで一段の企業価値向上の余地もあるように思います。取締役として微力ながら貢献して参りたいと考えています。

Toshie Tanaka
田中 俊恵
社外取締役

社会からの信頼はビジネスの土台

社会的信頼なくしてビジネスの成長はありません。昨年の事案を受けた再発防止策を着実に実施することはもちろん、今後は、法令や社会の意識の変化にも照らして、不断に業務のあり方を点検し、コンプライアンス事案の絶無を期すことが求められます。

CONTACT

各種お問い合わせはこちらから。