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働き方 ハピネスの種

スウェーデン流の働き方!世界第10位の労働生産性で残業ナシ?休暇中に起業?【現地に移住したITコンサルタント・経営者に聞く】

スウェーデン流の働き方!世界第10位の労働生産性で残業ナシ?休暇中に起業?【現地に移住したITコンサルタント・経営者に聞く】

私たちの生活にすっかり溶け込んでいる、北欧の家具や雑貨たち。中でもスウェーデンは、あのIKEA創業の国でもあります。そんなスウェーデンは、生産性の高い働き方を実現している国の一つであり、労働生産性が世界第10位!ちなみに日本は23位です(※)。

今回は、そんなスウェーデンのストックホルムに移住し、YouTuberとしてスウェーデン暮らしを発信しているヨウコさんとマホさんにインタビュー!リアルな働き方やライフスタイルを前編・後編に分けてお届けします。

今回インタビューを受けていただいたマホさん、ヨウコさん

▲今回インタビューを受けていただいたマホさん(写真左)ヨウコさん(写真右)

成果主義で、結果を出せばOK!

――スウェーデンに移住されて、ヨウコさんは16年目、マホさんは4年目ですよね。「憧れの北欧ライフ」を送っているお二人に興味津々です!さっそくですが、1日の過ごし方を教えてください。

マホさん 今は第一子の育休中なのですが、ITコンサルタントとして働いているときは毎日こんな感じでしたね。

◇◇◇◇◇◇
6:00 / 起床、朝ラン or ヨガ、シャワー、家の片づけ
8:00-16:00 / 在宅ワーク
18:00 / 夕食
19:00 / 趣味の時間
21:00 / 就寝
◇◇◇◇◇◇

ヨウコさん 私は北欧雑貨の輸出卸会社を経営しているのですが、17:00には仕事を終えています。21:00に子どもが寝たあとは、テレビを見たり、本を読んだり、ウクレレ、編み物などをしてのんびり過ごします。夕食後に散歩、水泳、ジムなどで週に数回は運動をするのが理想ですが、現実は…笑。

◇◇◇◇◇◇
6:30 / 起床
7:30 / 子どもを学校に送る
8:30-17:00 / 在宅またはシェアオフィスで仕事(※週2-3回お迎えの日は15時まで)
17:30 / 夕食
22:00 / 就寝
◇◇◇◇◇◇

――仕事と家庭の両立、運動もして趣味なども楽しんで…理想的なワーク・ライフ・バランスですね!

マホさん スウェーデンに来て、ワーク・ライフ・バランスが重視されているなあと感じます。会社員の働く時間も短くて、17:00にはオフィスに誰もいなくなるぐらい。みんな、なるべく早く帰りたくて頑張るので、自然に効率が良くなっていくようです。
私はスウェーデンに来てからITコンサルタントとして6社で働きましたが、残業している人は、「仕事ができない人」「オーバーワークするほど仕事が多く、マネージャーとうまくコミュニケーションが取れていない人」と捉えられているように思います。

――スウェーデンは、労働生産性が高い国としても有名ですよね。

マホさん 成果主義なので、結果を出せばOK。上司に細かく管理されることもなく信用してもらえている実感があるし、これだけ休みをもらえているから頑張らなくちゃ!とモチベーションが高い人が多い気がしますね。
フラットな社会なので意見を言いやすく、不効率だと思ったことは止める傾向にあります。大切なことは前に進みますが、逆に優先順位が低いことは後回しになって、ずっと進まないことも笑。

ヨウコさん たしかに、上司や先生といった目上の人もファーストネームで呼ぶ平等さを感じます。あとは、自分の意見を持つことが評価されますね。だから、打ち合わせに参加しても発言をしないということは、いないと同じなので、次回から呼ばれないことも。

インタビューの様子

長期休暇の引き継ぎは一大イベント!?

――ところで、バカンスが4〜8週間ぐらいあるというのは本当ですか?

ヨウコさん・マホさん 本当です!

――すごいですね!いろいろと支障はないのでしょうか…笑

マホさん 会社員は年間30日まで有給をもらえる企業が多く、3-4週間まとめて取るのが一般的です。昔はみんなで夏の同じ期間に4週間休みをとって、すべてストップしてしまうということもあったようです笑。今はグローバル化されてきて、取得時期をずらして交代で休みを取っています。

ヨウコさん 大人だけじゃなくて、子どもの休みも長いですね。夏休みは8週間あって、その間は宿題も出ません。学校側のメッセージとしては、「勉強をするのではなく脳を休めること。普段はできない、いろいろな経験をしてほしい」ということ。
こうして小さいころから「休むことの大切さ」を教えられてきているので、社会人になっても、休むことへの罪悪感はないし、むしろ「休んだほうが、効率も上がるよね」という考え方の人が多いように思います。

――ところで仕事の引き継ぎは…!

マホさん とっても大事です。社員同士で休暇予定を確認して、「誰がここをカバーする?」「どういうプランがある?」といった話し合いを、毎年一大イベントとしてやっています。
自分も休んで、相手も休んで、お互いにハッピー。自分がしっかり休みたいので、きっちり引き継ぎますね。もともとチームワークを重視した働き方をしているので、休暇や育休で長期間抜けても特に問題はなく、チーム内で業務やスキルの引き継ぎ、育成もスムーズに行われています。

スウェーデンでの生活風景

▲夏休みは親子で電車に乗る風景をみかけることが多くなるそう(写真左)
▲ストックホルムの風景(写真右)

子ども時代からチームワークの大切さを学ぶ

――成果主義と聞くと、個人プレーをイメージしてしまいがちですが、違うのですね。

ヨウコさん そうですね。スウェーデンでは、チームワークを重視しています。小学校でもそう。ペアまたはグループで課題に取り組ませて、対立する意見をどのように民主的にまとめて、チームとして最善の結果を出すかを子どもたちに学ばせています。そういう教育を受けて社会人になっているので。

マホさん 企業の採用においても、能力の高さはもちろん大事だけれど、チームにフィットするかで判断するケースも多いですね。実は私も、次の転職先が決まったのは、一緒に仕事をした人からのスカウトがきっかけでした。

――チームワークを育むためには、コミュニケーションも大切ですよね。

マホさん そうですね。スウェーデンの企業では夜の飲み会がないのですが、会社ではFIKA(フィーカ)という、コーヒータイムをとても大事にしています。オフィスにもソファが置いてあって、飲み物や季節のフルーツを楽しみながらくつろげるスペースがありますよ。

FIKA(フィーカ)の様子

副業OK、趣味の延長から起業する人も

――ヨウコさんはスウェーデンで起業されていますが、同じように起業にチャレンジする人は多いのでしょうか?

ヨウコさん 多いと思います。終身雇用ではなくジョブ型雇用で中途入社のチャンスが多いことや、何歳からでも学び直せる社会であるというのが大きいかもしれないです。うまくいかなかったら別のことをやってみようと気軽に思えるのかもしれません。会社員は最大1年の休職制度があったり、育児休暇も長かったりするので、その間に起業にチャレンジする人も。趣味の延長からの起業はよく聞きますね。

マホさん 副業OKな企業が多いですよね。会社の自己紹介で、ITコンサルタントなのに「コーヒーの会社を経営していて」と楽しそうに話し出す人も笑。私もヨウコさんとYouTuberをしていますけどね!

シェアオフィスで働くヨウコさん

▲シェアオフィスで働くヨウコさん

――本当ですね!スウェーデンでビジネスをする面白さはなんでしょうか?

ヨウコさん スウェーデンは人口が少ないので、初めからグローバルなターゲットを視野に入れているのが面白いですね。北欧だけでなく、ドイツ・イギリスなどヨーロッパを含めて考えます。
あとは、人間関係が大事で、コネクションから新しい仕事が生まれることも。積極的に幅広い業種の人とコミュニケーションをとったほうがいいです。私はシェアオフィスを利用しているのですが、異業種交流会などが積極的に企画されるので参加しています!

――ちなみに、これはちょっと大変、ということはありますか?

マホさん 労働時間が短く、長期休暇が長すぎるので、ミーティングを設定するのが大変ですね笑。

ヨウコさん 雇用主側としてですが、非正規雇用ができないので一時的なアルバイトを雇いにくく、小規模事業を拡大するハードルが高いですね。これは、働く人側からすると安心な仕組みだとは思います。

共働き文化が定着、家事は手抜きで良い!

――スウェーデンでは、お二人のように働く女性が多いのでしょうか?

ヨウコさん そうですね。女性の労働力が必要という社会的合意があるので、女性が働くために男性も協力するし、社会としても保育園を整備したり制度を充実させたりなどベースを整えている。それが、「世界一女性が働きやすい」と言われる根底にあるように思います。 結局、女性が働きやすいというのは、家庭内で二人が協力しないとできないこと。食事の準備や家事も、女性に多くを求められすぎると働けないですよね。だから、「洗濯は週末だけでOK」だったり、「食事は1品料理でもOK」だったり。本当にスウェーデンの食卓はシンプルで、食事を用意する時間は1日平均約38分(※)と言われていて、家事に時間をつかいません。これも、夫婦で合意していることです。子どものお迎えにも男性がたくさん来ていますよ。

マホさん 男女ともに子育てや家事をする環境で育った人たちが今の働く世代なので、それが当たり前になっているように思います。男性社員も、会社の業務用カレンダーに「15:00お迎え」とブロックしてあったりします。

――意識改革と国による施策の両方が大切なんですね。スウェーデンではいつ頃から始まったのでしょうか?

ヨウコさん 1970年代からですね。女性が働けば家庭の収入が増えるし、税金も払われて社会が豊かになる。そういった意識のもと社会づくりが行われて50年になります。女性が経済的に自立していて、意見もはっきり言う傾向があります。

マホさん 共働き文化が定着しているので、主要な役職についている女性のロールモデルも多いです。私のマネージャーは、これまでほとんどが女性でした。女性ならではの悩みを相談しやすかったり、マネージャーとして活躍するイメージが持ちやすかったりしますね。

スウェーデン流の働き方に迫った前編、いかがでしたか。後編では、オフィスや在宅ワーク事情、北欧家具や雑貨の取り入れ方をお届けします。お楽しみに!

ヨウコさんとマホさんが運営しているYouTubeチャンネル
Nord-Labo 北欧研究室

PROFILE

ヨウコさん
ヨウコさん

東京都出身。高校時代の1年間のアメリカ留学の経験から異文化や海外生活に興味を持つ。明治学院大学英文科卒業後、家具店営業、広告代理店営業などを経て古美術商に。仕事の傍ら取得した日本語教師の資格を使ったボランティア活動の場でスウェーデン人(現在の夫)と出会う。2006年結婚を機にスウェーデンに移住。2007年北欧雑貨の輸出卸会社を起業、現在に至る。現在小1、小6(7歳、12歳)の2児の母。

マホさん
マホさん

千葉県出身。父親の仕事の関係で5歳〜10歳までタイのバンコクで過ごす。タイでテニスを始めて日本帰国後もテニス漬けの青春を送り、アメリカのジョージア大学にテニス留学。大学院卒業後、IT系の企業に就職しアメリカ研修中に出会ったスウェーデン人と結婚、2018年にスウェーデンに移住。2022年に第一子を出産、育休中に転職活動を行い2023年3月からITコンサルタント(プロジェクトマネジャー職)として仕事復帰予定。

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