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空間づくり

工場の休憩室レイアウトを改善するには?現場の課題と見直しポイント、導入事例を紹介

工場で働く従業員のストレス軽減やコミュニケーションの向上、さらに人材定着にも深く関わる空間として、いま改めて注目されているのが「休憩室」。工場の休憩室は食事や休憩のためだけでなく、企業によっては打ち合わせや面談などさまざまな用途で活用されるため、実際の使われ方に合ったレイアウトを考えることが重要です。

本コラムでは、休憩室に関する法的要件から現場の課題・改善ポイント、レイアウトの考え方まで、リニューアル事例とともに解説します。

工場の休憩室、整備は義務?まず基本を確認

休憩室のレイアウトを考えるうえでは、まず設置に関する基本的な考え方や押さえておきたい要件を確認しておくことが大切です。

休憩室の設置は「努力義務」

まず、設置が法的に義務とされているかどうかという観点ではあくまで「努力義務」となっており、「設けるように努めなければならない」という規定にとどまります(労働安全衛生規則第613条)。

ただし、労働基準法第34条では、6時間を超える勤務に対して少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えることが義務づけられています。

休憩の時間を設定する義務がある以上、安全に休める場所を確保することは、企業として押さえておきたいポイントといえるでしょう。

参考:「労働安全衛生規則 第613条~第618条」(中央労働災害防止協会)
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-1-3h6-0.htm

参考:「労働基準法に関するQ&A 労働時間・休憩・休日関係」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken02/jikan.html


「休養室」と混同しないよう注意

休憩室と似た言葉に「休養室」がありますが、これは日常的な休憩を目的とする休憩室とは役割が異なります。
休養室は、体調不良時などに労働者が横になって休めるように設けるもので、常時50人以上、または常時女性30人以上の労働者を使用する事業場では、男女別での設置が義務づけられています(労働安全衛生規則第618条)。

厚生労働省の通知では、休養室・休養所について、専用設備として設けなくとも、必要なときに使える機能を確保すれば足りるとしています。休憩室とは目的が異なることを踏まえつつ、横になって休めることに加え、プライバシーや安全面への配慮がされているかも含めて、整備のあり方を考えるとよいでしょう。

参考:「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000860576.pdf

工場の休憩室を整備するメリット

工場では生産設備や工程の改善が優先されがちで、休憩室の整備は後回しになりやすい傾向があります。しかし、従業員が毎日使う場所の快適さは、疲労回復や集中力の維持に直結するだけでなく、人が辞めにくい職場づくりにもつながります。

実際に、製造現場では女性や外国籍の従業員が増え、更衣室・トイレを含めた環境整備が働きやすさを左右する場面も増えています。「ここで長く働きたい」と思える職場は、在籍社員のモチベーション維持にも、求職者へのアピールにもなるでしょう。

人材確保が難しくなっている製造業において、休憩室をはじめとした福利厚生の充実は、働きやすい職場づくりの一環として検討したい取り組みのひとつです。

工場の休憩室でよくある課題

休憩室はあっても、「なんとなく使いづらい」という声は現場でよく耳にします。

ここでは、そうした現場に共通する課題を4つご紹介します。自社の状況と照らし合わせてみてください。

1.老朽化による衛生面・居心地の課題

数十年にわたり手が加えられていない建物や設備は、使う人に衛生面への不安を与えます。

暗さや古さを感じる空間では、体を休めても気分が切り替わりにくく、落ち着いて過ごしにくい休憩室になってしまうことがあります。

2.席数が不足し、ピーク時に混雑する

従業員数に対して面積や席数が不足していると、昼食時間や休憩時間が重なった際に座れない従業員が出てしまいます。廊下や作業場の片隅で過ごすことになれば、十分な休息が取れないまま午後の作業に戻ることになります。

ピーク時の利用人数を十分に想定せずに整備されていると、こうした混雑が慢性化しやすくなります。

3.用途が混在し、どれも使いにくい

食事や休憩、打ち合わせなどが一つの空間に混在すると、それぞれの用途にとって中途半端な場所になりがちです。

現場によっては事務作業や面談にも使われることがあり、「休憩したいのに落ち着かない」「会話や作業の気配が気になる」といった状況につながることもあります。

4.コミュニケーションが生まれにくい空間設計

休憩室の席配置や動線が工夫されていないと、同じ空間にいても自然な会話が生まれにくいことがあります。業務中にやり取りの機会が限られやすい工場では、休憩時間の過ごし方が、職場内のちょっとした交流にも影響します。

また、会話しやすい場所と静かに過ごしたい場所のメリハリがないと、誰にとっても居心地のよい空間になりにくく、結果として休憩室そのものが使われにくくなることもあります。

工場の休憩室を改善するレイアウトのポイント

では実際に、どう改善すればよいのでしょうか。限られた面積でも、レイアウトと家具・内装の組み合わせ方次第で、空間の使いやすさは大きく変わります。

ここでは、現場で実践しやすい4つのポイントを解説します。

使い方に合わせて空間を分ける

食事や休憩などの用途が重なる空間では、使い方に応じて空間をゆるやかに分けることがレイアウト改善の基本です。ひとりで静かに過ごしたい人が落ち着ける場所と、複数人で過ごしやすい場所を分けることで、それぞれに合った使い方がしやすくなります。

パーティションや家具の配置、視線の抜け方を工夫し、それぞれの場所の役割がわかりやすくなると、休憩室全体の使いやすさも高まるでしょう。現場によっては、打ち合わせや面談などにも使いやすいよう、少し仕切られた空間や落ち着いて話せる場所を設ける考え方もあります。

コミュニケーションを生む動線とレイアウト

大がかりな改修でなくても、テーブルやチェアの配置を見直すだけで、会話が生まれやすい空間はつくれます。たとえば、電子レンジや給茶機のまわりに人が立ち寄りやすい配置をつくったり、短時間でも使いやすいカウンター席を設けたりすると、自然な声かけや会話が生まれやすくなります。

業務時間中は緊張感を持って作業に向き合う場面が多い工場において、休憩中のやりとりやコミュニケーションは心身のリラックスや安心感、リフレッシュなどにとっても重要な意味を持ちます。休憩時間の過ごしやすさを改善することは、直接的な交流促進という面だけでなくさまざまな面での効果につながるといえるでしょう。

フレキシブルに使える家具選び

キャスター付きのテーブルや、組み替えしやすい什器などを取り入れると、人数や利用シーンに応じてその場でレイアウトを変えやすくなります。少人数での休憩にも、複数人での打ち合わせにも対応しやすく、限られたスペースを有効に使える点がメリットです。

固定的な使い方を前提にしすぎず、状況に応じて柔軟に使える家具を選ぶことで、休憩室の用途の幅も広がります。結果として、混雑の緩和や使い勝手の向上にもつながりやすくなります。

作業エリアとのメリハリをつくる空間デザイン

工場の作業エリアとは印象を変え、休憩室に入ったときに気持ちを切り替えられるようにすることも大切です。木目調の家具やグリーン、やわらかい照明などを取り入れることで、無機質になりがちな空間にも落ち着きやあたたかさを持たせやすくなります。

見た目の印象が変わるだけでも、休憩時間の過ごしやすさは大きく変わります。食事や休憩のために立ち寄りたくなる雰囲気をつくることは、居心地のよさだけでなく、働きやすい職場づくりの一歩にもなるでしょう。

工場の休憩室リニューアル事例資料をご紹介

ここからは、イトーキが手がけた休憩室・食堂棟のリニューアル事例資料をご紹介します。
リニューアルの背景や空間づくりのポイント、導入後の変化を詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

株式会社アイシン 詰所・休憩所 リニューアル事例

自動車部品のグローバルサプライヤーである株式会社アイシン様。安城第2工場では、新製品ラインの立ち上げを機に、従業員が日常的に利用する詰所・休憩所のあり方を見直し、リニューアルを実施しました。

「ENERGY CHARGE HILLS(エナジーチャージヒルズ)」をコンセプトに、コミュニケーションが自然と生まれる空間や、集中・相談がしやすい環境、用途や人数に応じて使い分けられる席などを整備。働く人が日常的に過ごす場所を見直すことで、従業員満足度や職場内のコミュニケーションにも前向きな変化が生まれています。

資料では、リニューアルに至った背景や空間づくりのポイント、リニューアル後の変化を、豊富な写真とともにわかりやすくまとめています。

株式会社アイシン 詰所・休憩所 リニューアル事例資料はこちら

イトーキ関東第2工場 食堂棟 改修事例

イトーキ関東第2工場では、老朽化が進んでいた食堂棟を全面改修しました。背景には、衛生面への不安やコミュニケーション不足に加え、女性も働きやすい環境づくりといった課題がありました。

「楽しい・美味しい・誇らしい」をコンセプトに、食堂・研修室・更衣室を含めた空間を刷新。川の流れのような動線を取り入れたレイアウトや、食事以外にも使える多機能なスペース、明るく居心地のよい雰囲気づくりにより、従業員が日常的に使いやすく、自然と人が集まる場所へと生まれ変わりました。

資料では、食堂棟の改修に至った経緯や空間づくりのポイント、従業員アンケートから見えた改修後の変化をわかりやすくまとめています。

イトーキ関東第2工場 食堂棟 改修事例資料はこちら

工場の休憩室レイアウトは、イトーキにご相談ください

毎日使う場所が変わると、そこで働く人の意識も変わります。休憩室の整備はその入口であり、ライン外の労働環境全体を見直すきっかけにもなるでしょう。

イトーキは、工場の休憩室・食堂棟・詰所など、ライン外の労働環境整備を幅広くサポートしています。家具・内装の選定から空間設計、フリーアドレスの導入支援まで、現場特有のニーズに合わせてトータルでご提案します。

イトーキ自身の工場でも環境改善に取り組んでおり、自社実践で培った知見から万全なご支援が可能です。「どこから手をつければいいかわからない」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。

イトーキ関西工場「ITOKI DESIGN HOUSE SHIGA」、および関東工場は、ショールームとして法人のお客様の見学を受け付けています。働く環境、現場の工夫や社員が働く姿を実際にご覧いただけますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

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