Veldhoen + Companyがアクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)のパイオニアであり、イトーキとともに日本でのABW導入の支援をしていることは、これまでのコラムでも紹介してきたとおりです。しかし残念ながら、日本でこのABWの意味を正しく理解されている方はまだ多くありません。本来ABWは働き方やワークプレイスに対する包括的なアプローチを指すものですが、日本ではオフィスの構築手法としてABWの名前が独り歩きしてしまっているのが現状です。
そこで今回のコラムでは、「アクティビティ・ベースド（＝活動をベースとした）」の考え方についてお話をしたいと思います。また、後半では、ABWとの相性の良いハイブリッドワークの日本における最新トレンドについてVeldhoen + Companyのアジア地域の責任者兼シニアコンサルタントがまとめた動画もご紹介いたします。
そもそも、なぜ私たちは「アクティビティ・ベースド」という名の通り、「活動」に焦点を当てるのでしょうか。その重要性を身近な例から知る方法として、自宅での時間の過ごし方を活動の視点から振り返ってみましょう。
そうすると、3つのことが見えてきます。
1つ目は、私たちが自宅で行う活動にはさまざまな種類があるということです。料理をしたり、寝たり、子供と遊んだり、映画を見たり、とそれぞれの生活スタイルに合わせて異なる活動が行われていることに気づきます。
2つ目は、自宅にはそのさまざまな活動をサポートするための空間が複数用意されていることです。料理という活動をするためのキッチン、睡眠を取るための寝室、くつろぐためのリビングなど、です。私たちは各活動を行うのに最適な空間を選びながら生活をしています。つまり、私たちは無意識のうちにアクティビティ・ベースド・リビングを実践しているのです。
そして3つ目は、キッチンや寝室など、それぞれの空間の広さや設備のスペックは、各家庭によって異なることです。料理好きの人の家には広いキッチンスペースに性能の良いオーブンが置いてある可能性が高いですし、スポーツ選手の家なら一般家庭より上質な眠りをサポートするためのベッドがあるかもしれません。つまり、そこで生活する人の目的や好み、活動量に合わせて、家の物理的空間は異なるのです。これがアクティビティ・ベースドに基づいたスペースとなります。
これをもとにこれまでの働き方やオフィスを振り返ると何が見えてくるでしょうか。従来のオフィスでは自分に与えられた個人デスク1つでさまざまな仕事を行う必要があり、自宅で過ごすように各タスクに応じた場所を選ぶということはできませんでした。オフィスの柔軟性を考慮し個人用デスクが与えられることが当然ではなくなりつつある今、「自分が行う活動を意識し、それぞれの活動に適した共有空間を選ぶ」という働き方を支えるオフィスが必要とされています。これが、私たちが活動に焦点を当てることが重要と考える理由であり、ABWが関心を集める要因の1つなのです。
コロナ前は「働く場所＝オフィス」という考え方が一般的で、ABWに基づいた空間もオフィスの中だけで完結することが多くありました。しかし今や自宅が第二のオフィスとなり、オフィス以外でも働く人が増えたことで、自宅で行うべき活動は何かと考える組織も徐々に増えてきました。多くの企業がハイブリッドワークを導入している中、「アクティビティ・ベースド」という働き方をサポートしてくれる場所はどこなのか、自分の活動に合った働く場所を選ぶことが重要です。
それでは、ABWとともに普及が進むハイブリッドワークについて、Veldhoen + Companyはどのように見ているのでしょうか。私たち日本のワークスタイルは、世界と比べて、あるいはアジアの他諸国と比べて、どんな特色があるのか。私たちがこれから目指すべきワークスタイルの未来とはどんなものか。Veldhoen + Companyのシニアコンサルタント兼アジア地域の責任者が語る「ハイブリッドワークが進む日本のワークスタイルの最新トレンド」※の大まかな概要は、以下の通りです。
日本のワーカーは
- リモートワークを希望する割合がアジア太平洋地域の中で最も多い
- 在宅勤務の実現性やメリットを実感している
- 今が組織のワークスタイルを見直す絶好の機会である
動画は3分強と短く、日本語字幕もついています。ぜひ一度ご視聴の上、ABWについて改めて考えるきっかけにしていただければと思います。
