ごあいさつ

明日の「働く」をデザインする。その実現に向けて

明日の「働く」をデザインする。――「働く」のパラダイムが激変している今、イノベーションの歴史を持つイトーキだからこそ言える、既成概念にとらわれない未来への決意を込めたミッションステートメントです。

当社は祖業のオフィス家具メーカーとしての実績に加え、上流のオフィス設計や構築、さらにはITの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、新たな働き方やオフィス空間を世の中に提供しています。その領域への知見と経験を持つ私が加わったことで、リアルとバーチャルをうまく掛け合わせて、ミッションステートメントが示す未来への前向きな広がりをさらに出せると考えています。

一般的に企業のミッションは耳ざわりのいい言葉が並びがちですが、難しいのはミッションを達成するために具体的なアクションをどう取るか。当社の根幹には開拓精神のDNAと、先見性に基づくIT企業にも負けない最先端テクノロジーがあります。これを社内プロセスに組み込んでいるのが当社の強みの一つです。

開拓精神とイノベーションのDNA

イトーキのDNAである開拓精神は、1890年に伊藤喜商店としてスタートした長い歴史に根づくものです。当社はこれまで、数多くの面白い製品を世に出してきました。

例えば、1903年に日本で初めてホチキスの輸入販売を始めました。製品名は英語の「Stapler」とはせず、製造元の社名から取りました。ほかにも「Fountain Pens」を万年筆として流行らせたり、魔法瓶もそうです。そうした製品を手にした人々は、「あの会社は誰も見たことのない面白いものを出す。次は何だろう」と期待を膨らませます。これは今で言う、マーケティングやブランディングに該当しますが、そうした期待に応えてきた会社なのです。

開拓精神とイノベーションのDNA

私は営業で訪問したお客様に必ず「イトーキのチェアには部品がいくつ使われていると思いますか?」という質問をします。回答の大半が20~30個、多くても100個ですが、例えば当社のフリップフラップチェアの場合、344個もの部品を使用しています。

チェアは高性能になればなるほど非常に多くの機能・部品で構成されており、特に姿勢や体の動きに追従させるため、あらゆる場所に回転機構を備えています。回転機構が増えるとそれ以上に部品点数が増えるのが普通ですが、フリップフラップチェアは独自の技術により、大幅な部品点数の削減に成功しています。結果、特殊な構造・素材を用いることで、10カ所の回転機構をたった1つの部品で実現しています。

また、2006年度にゼロエミッションを達成した関西工場(滋賀県近江八幡市)では、製造プロセスごとに品質を担保しています。例えば、ロボットによる部品の溶着作業では、360°カメラが溶着後の部品を撮影し、AIを使って画像を認識・解析し、見本と照合します。不合格の場合は部品が溶着工程に戻されます。ここには高度な画像認識技術と自働化の仕組みがあります。

他にも、産学官の連携によるさまざまな実証実験を積極的に行っています。例えば大手音響メーカーや大学と共同で、テクノロジーを活用し、音声コントロールやAIによる音声分析を用いた創造的な議論につなげることを目的とした仕組みの研究などに取り組んでいます。

夢は「世界のイトーキ」になること

時代の変化とともに企業や事業の形は変わります。現在はオフィス1.0から2.0へ、さらには3.0の実現に取り組んでいます。

夢は「世界のイトーキ」になること

オフィス1.0の世界は、オフィス家具の製造・販売が主です。競合との差別化要因は品揃えや価格となり、価格競争に陥りがちな事業形態です。そこでオフィス2.0の世界では、もう少し上流工程のオフィス設計やオフィス構築、働き方のコンサルティングを手掛けることで付加価値を上げています。そして、オフィス3.0の世界は、ITやDX推進による働き方改革です。働き方改革は社員のパフォーマンスやエンゲージメントを高めるもので、どう魅力あるオフィスにしていくのか、生産性の高いオフィスにするのかをITやDXを活用して考えていきます。ここで重要なのは、「イトーキしか出せないデータ、イトーキしか持っていないデータは何か」を考え抜いた「データドリブン経営」によって、当社しか出せないデータを価値として磨いていくことです。

これは1.0、2.0、3.0のどれに特化した事業をやるという話ではありません。3つの掛け算で『明日の「働く」を、デザインする。』ことが当社の強みとなり、イトーキの価値をさらに向上できると考えています。

私の夢は「世界のイトーキ」になることです。そのために日本でオフィス3.0を実現し、それをもとに世界を目指します。すでにバーチャルの世界では国境はありません。より広いフィールドで『明日の「働く」を、デザインする。』を実践していくことで、日本も、世界も、そして地球も元気にできると考えています。

代表取締役社長
湊 宏司

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