2025年11月18日
600通りの組み合わせで“オフィスに自由”を。空間の可能性を広げる「common furniture / partition」開発秘話
オフィス空間に求められる価値観が大きく変化した2020年に始動し、成瀬・猪熊建築設計事務所とともに2022年にイトーキが立ち上げたブランド「common furniture(コモンファニチャー)」。やがてオフィスは生産性高く自由に働ける居場所に変化し、多様なニーズに応える「common furniture / partition(コモンファニチャーパーティション)」としてさらに進化した製品の開発秘話とは。
商品企画担当
田中 啓介
プロダクトデザイン担当
加藤 幸佳
商品企画担当
河村 匡人
ワークスタイルデザイン担当
井澤 沙綾
開発設計担当
田中 雅典
開発設計担当
江口 諒
展開システム担当
三川 孝行
普遍であること。
自由であること。
「common
furniture
/
partition」
600通り以上空間が実現できるパーティション。多様なフレームスタイル・パネルパターン・カラーを自由に組み合わせることで、自分たちらしい空間を作ることができるパーティションです。
1. 多彩なグリッドフレーム
自由に組めるグリッドフレームとパネル素材の可能性は無限大です。多彩な空間の表現に応えます。
2. 高い意匠性を持つパネル素材
ガラス・スチールパネルの他、エキスバンドメタルやパンチングメタルなどの意匠性のある素材が用意されています。
3. 豊富なカラーリング
13種類のソリッドカラーと3種類のメタルカラーで自分たちらしい環境を実現します。
選択肢の幅が自由につながる、
新しいオフィス空間を創り出すパーティション
自由で創造的な空間を実現するブランド、common furniture。オフィスや工場、研究施設で長年使われてきたプロダクトを再編集し、必要な機能と強度を具現化しました。自由に空間を構築できる多彩なオプションやカラーリングで、自分たちらしい環境を実現します。
空間をイメージし、求められる“形”を逆算
「これまで白い壁で仕上げられた画一的なオフィスが主流でしたが、現在は様々な働き方に合わせ“イノベーションを生み出す場所”や“共創空間”としてのオフィスが求められるようになりました」と田中さん(企画担当)は語ります。
働き方に合わせた個性的なオフィスが次第に増え始め、決まりきった形ではなく“自由に構築できること”が重要視されるようになりました。オフィスや工場、研究施設で長年使われてきたイトーキ製品には、組み合わせ次第で自由な広がりを見せる力があり、「多様化する働き方の選択肢を増やすことができる」自信がありました。
加藤さん(プロダクトデザイン担当)、田中(啓)さん(商品企画担当)は「新規性のあるテーマだからこそ、新たなパートナーが必要でした」と振り返ります。イトーキの長年の知見を生かしつつ、より幅広い視点を取り入れながら開発を進める必要がありました。多くの人へ共感してもらうために、かつてワークショップで交流があり、共創空間としてのオフィスづくりの先駆者でもある成瀬・猪熊建築設計事務所への監修依頼を経て、新ブランドcommon furniture(コモンファニチャー)は立ち上がりました。
家具との一貫性が自由な組み合わせにつながる
初めはオフィス家具として進められたブランドでしたが、家具を囲む間仕切りがなければ空間は完成しません。そこで家具の意匠とマッチし、商品の自由度の高いグリッド構造と、多様な素材を組み合わせられるパーティションをラインアップすることが決まりました。
イノベーションを促進させるようなパーティションを生み出すため、今の働き方とそれに合ったオフィス空間のトレンドをリサーチしました。さらに、そこへ井澤さん(空間デザイン担当)も加わることで空間からニーズを捉える俯瞰的な視点が新たに加わるようになります。集中力が求められるクリエイティブな空間と共創を目指すオフィス空間とでは、間仕切りとして求められる仕様が異なるため、実際に使いやすい商品の実現に向けて試行錯誤をしました。
common furnitureは単なるパーティションではありません。家具との一貫性が備えているからこそ、空間全体を自由にデザインできるのが特徴です。お客様の理想の空間を実現するためにかかせないのは“自由度”。パネルのサイズや格子状のデザインに加え、エキスパンドメタルやパンチングメタルなど多彩な面材を用意しつつ、家具との一貫性を保つことで世界観を崩さずに表現できます。
ミリ単位の調整で多彩な組み合わせに応える。
「さまざまな組み合わせに対応できる設計が求められます」と田中(雅)さん(開発設計担当)は振り返ります。 大小異なるパネルやガラスを取り付けるために、どのような組み合わせが求められるか相談を繰り返し、アルミフレームへ10ミリ間隔で複数穴を開ける設計によって、幅広いサイズに応えられる設計になりました。
また、エキスパンドメタルやパンチングメタルといった素材は、図面上では強度まで正確には導けず、何度も試作を繰り返しました。試作では面材として強度が足りず、広い面積で使用すると手で押した際に大きくたわんでしまうことがありました。
「そのため、他の面材ならば1200ミリという最大ワイド寸法を900ミリにして設計しました」
自由度を保ちながら品質の期待にも応えられる、わずかな範囲。それを探し出すために、最善を探り続けます。
江口さん(開発設計担当)は、格子状の枠にスチールパネルをはめ込む取り付け部分の設計を担当。従来の製品ならば、上から落とし込む方法でパネルをはめ込むことが可能ですが、設計上どうしても四隅が枠で囲まれてしまう格子状では、押し込みではめ込むしか術がありませんでした。また、パネルには地震など不測の事態が起きても、決して剥がれ落ちない強度も求められます。そうした課題に江口さんは約1年の歳月を費やし試作の数も100を超えたそうです。「最後は夢の中で解決策を閃いたんです」と振り返ります。
「common furniture / partition」が持つ自由の裏には、開発設計の考え尽くされた想いが隠れています。
自由で複雑だからこそ、わかりやすく伝える。
「正直、『common
furniture
/
partition』を初めて見た時は、本当にパーティションなのかと新鮮でした」と振り返るのは、三川さん(展開システム担当)。
図面や展開図を通して、お客様や取引先に誤解なく伝えられるように落とし込み、システ
ムを組むのが役割でした。
通常はパターンごとの情報が登録されており、製品の出荷も滞りなく進んでいきます。ただし、それはある程度パターンが決まっている製品だからこその特徴です。複雑で多種多様な製品である「common
furniture
/
partition」は自由度が高く、ガラス、スチールパネル、エキスパンドメタル、パンチングメタルの組み合わせ方で印象はガラリと変わります。
従来は1/100サイズで表していた図を1/50へ調整し、"伝わること”を徹底したしました。
「制限することはいくらでもできますが、自由度を失わせたくなかったんです」と加藤さん(プロダクトデザイン担当)は語ります。その想いが、メンバー全員に通じたからこそ、最後まで挑戦を続けることができました。
パーティションが新しい働き方を生み出す。
イノベーションが求められる時代だからこそ、多様な組み合わせを生み出せる「common furniture / partition」が誕生しました。既存製品の「Creapart (クレアパート)」にも連結可能で、発売以来、共創空間としてのオフィスを求めるお客様からたくさん導入いただいています。専門性の高い職種から、幅広い職場のニーズまで応えられるので、もっと多くの人に届いてほしいと願っています。
「『common
furniture』の世界観はパーティションで終わりではない」。働く人々の新たなマインド醸成の一助につながると信じて、多様な働き方に応えていきたいです」と田中(啓)さん(商品企画)は語ります。
働き方に合わせ、寄り添う製品から、「新しい働き方を生み出すイトーキ製品」という新たなステップがスタートします。
※所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。


