「変革と挑戦」の伝承 世紀を超えて続くオフィスのRe-Novation
~生命保険会社として近視眼的にならず、世代をつなぐ長いスパンで、建物という社会資産を使い続ける責任と価値を、経済合理性を踏まえ最良のバランスで追求~
戦後GHQ(連合国軍総司令部)の本部が置かれ、日本国憲法草案が起草されるなど、日本の変革の中心となった第一生命館を起源とするDNタワー21を、共同持分の資産取得・働き方改革や事業効率の更なる向上への要請等を背景に、大規模にリノベーション。「つながるWell-beingオフィス」をコンセプトに掲げ、人々に安心を与える生命保険事業の使命を体現した石造りの重厚な建物を、マッカーサー記念室に代表される歴史的価値を残しながらも、低層部の一体化、高層部のテナント貸し、入居テナントを含む交流カフェテリア(LOFFT)の設置等多彩な取組みを展開。新たに「第一生命日比谷ファースト」として生まれ変わる。リノベーションを選択したことに伴うCO2排出量の大幅抑制(森林約10万ha分の年間吸収量相当)などの環境貢献に加え、国内金融機関として初のWELL認証プラチナを取得するなど働く人にとっても快適なオフィス空間を実現。オフィス構築にあたっては、2019年より従業員サーベイや延べ100名を超える若手が参加するワークショップ等を通じ、これからの時代に相応しい新たな働き方やオフィスのあり方を議論し「アイデアは交差点から生まれる」というテーマを具体化。2023年8月の全面稼働以降も入居テナントを交えた定例検討会等によりPDCAを継続。これらの取組みが評価され、第37回日経ニューオフィス賞「ニューオフィス推進賞」と第19回ファシリティマネジメント大賞「優秀FM賞」をW受賞。

来客受付・待合ロビー
来客受付・待合ロビー
現在では希少となっている稲田石やオパールガラスといった戦前からの建材を有効活用することで、保険事業を展開する企業イメージに相応しい空間を演出。

交流サードプレイス(LOFFT)
交流サードプレイス(LOFFT)
温室をイメージし、リアルな植栽を贅沢に取り入れることで空間デザインに留まらず、利用者の心身のリフレッシュも促進するポタニカルガーデン。

交流サードプレイス(LOFFT)
交流サードプレイス(LOFFT)
植栽を多用したデザイン性の高い交流サードプレイスの存在が大きな魅力となり入居を決めて頂いたテナントも生まれるほど、ビルの資産価値向上へも寄与。

交流サードプレイス(LOFFT)
交流サードプレイス(LOFFT)
眼前の皇居や日比谷公園とあたかも一体化したような空間が利用者を惹き付けることで、多用な働き方の支援に加え、利用者同士の交流促進のきっかけにも繋がっている。

執務フロア(Street Area)
執務フロア(Street Area)
多用な活動サポート機能を配置することでエリアアドレスの枠を超えて、他部署との出会いや行きかう人同士のコミュニケーションが自然と育まれるStreet。

執務フロア(Street Area)
執務フロア(Street Area)
囲まれ感のある造作ソファ。落ち着いてコミュニケーションを取りながらも、通りがかった上司や同僚が会話に参加することも出来る程よい高さを設定。

執務フロア(Street Area)
執務フロア(Street Area)
Streetには、周囲の雰囲気を感じながら働ける共有のビッグテーブルも配置。出張者も気軽に利用出来、通りがかった仲間との自然なコミュニケーションが生まれる。

執務フロア(Street Area)
執務フロア(Street Area)
旧館と新館を繋ぐ象徴でもある”Street”には、ライブラリー機能も配置することで知識や情報の結節点としての役割も担う。

執務フロア(Street Area)
執務フロア(Street Area)
オープンミーティングスペースにも常設モニターを整備することでスピーディな情報共有やワイガヤ支援に加え、ふと通りがかった仲間の飛び入り参加も促進。

執務エリア(Lounge Area)
執務エリア(Lounge Area)
複数フロアを貫く吹抜けのトップライトから自然光がふんだんに入り、屋外公園のような雰囲気を感じながら執務や休憩ができるLounge。

執務フロア(Active Area)
執務フロア(Active Area)
エリアアドレスの一部には台形のキャスター付テーブルも採用。必要に応じて自由自在に動かすことも可能な仕様とすることでアクティブな活動を支援。
User’s Voice
第一生命保険株式会社
総務部 鎌田
仁
弊社は、1902年に日本初の相互会社として創業し、2007年のベトナム進出を皮切りに海外展開を加速、2010年には大手生命保険会社初の株式会社化・上場を果たすなど、変革と挑戦を続けてきました。また、日比谷オフィスは、創業者・矢野恒太の想いを受け、軟弱な地盤を克服し、日本一堅牢で安全なビルとして1938年に竣工した第一生命館を起源とします。その後も時代に応じた機能を追求し、1993年には「世紀を超えて続くオフィスビル」として再構築。歴史的価値を守りながらも変革と挑戦を重ねてきました。今回のリノベーションは、単なる什器の入れ替えではなく、2030年の在るべき姿の実現を後押しする基盤づくりとして、トップダウンとボトムアップの両輪で徹底的に議論を重ね推進しています。
Comment
本プロジェクトは、「建物という社会資産をリノベーションという手段を用い世代を超えてつなぐ」という大きなテーマに加え、「これからの時代に向けた第一生命保険様に相応しい働き方及び働く環境を具現化する」という、正に「変革と挑戦」を体現されたプロジェクトであったと感じます。
特にプロジェクト開始時点となる2019年に各部門より選ばれた若手中堅社員が半年に亘って喧々諤々の協議を重ね、最終的に経営陣に提言を行ったことはその象徴的な取組みでもあり、その後に発生したコロナ禍という社会環境の大きな変化も乗り越え、見事に具現化されました。更に、リノベーションが完了してからが真のスタートであることも理解し、日比谷ファーストに入居する各テナント代表者様とも協議を重ねながらPDCAを回し続けている取組み姿勢は他企業・団体においても大いに学びがあると考えます。
こうした一連の取組みが日経ニューオフィス賞、ファシリティマネジメント大賞のダブル受賞にも繋がっており、コンサルタントとして本プロジェクトに関与出来たことを大変光栄に思います。
Consultant
横溝 信彦
Nobuhiko Yokomizo