イトーキグループは、自然環境から多くの恵みを享受する企業として、持続可能な共創社会の実現を目指し、生物多様性の保全に努めます。
イトーキグループは、その事業活動が自然環境からの恩恵により成り立っており、また自然環境に影響を与えていると考えています。「人も活き活き、地球も生き生き」する持続可能な共創社会の実現を目指し、生物多様性の保全を重要な経営課題のひとつと捉え、以下の取り組みを積極的に行います。
イトーキグループは、森林が木材を生み出すだけでなく、豊かな水や生態系を育み、生物多様性の保持や、CO2固定による温暖化防止など、地球の環境を支える大きな役割を担っていると認識しています。木材を製品化する企業として、地域材や国産材などを活用した製品の開発・提供へ積極的に取り組んでいます。
イトーキは2010年より、日本の豊かな森から生まれる地域材の活用を通じて、森と街を共に「イキイキ」とさせるソリューション「Econifa(エコニファ)」を展開しています。これは国内産の木材を、デザイン性の高い家具や内装として製品化し、オフィスや都市部の空間に取り入れるソリューションです。
森林は適正な伐採や定期的な管理を行うことで活性化し、さまざまな生物の命を育む場となります。Econifa事業の推進は、木材使用によるCO2の固定化をはじめ、森林の生物多様性の保全や、地域経済の活性化まで、地球環境保護と社会的課題の解決に対し、多様な側面で貢献しています。
Econifaが実現する自然の循環
Econifa(エコニファ)は、各自治体と連携し、各産地の木材を使った内装や家具など、地域材の新たな用途を提案しています。
2017年から2019年へと連続して浜松市の補助事業を受託し、市内の森林面積の40%を占めるFM認証林※から産出されるFSC®認証材を活用し、さらに健康増進の付加価値機能を追加したスツールの開発を継続して行いました。それが「Promenera(プロメネーラ)」です。
イトーキでは、カラダとココロの健康増進を促すことを目指す「Workcise(ワークサイズ)」を研究・開発し、企業の健康経営を実現していくプロセスをトータルでサポートしているほか、自然と「ワークサイズ」が起こるオフィスづくりに適した家具の開発を数多く行っています。プロメネーラは、これらのノウハウと、天竜材による地域活性(地域材活用)化を組み合わせて生まれました。
木目の美しさが際立つ座面に、天竜美林を彷彿とさせる脚が伸び、U字とV字を組み合わせたフレームが床面に接地し揺れをつくり出します。規則的な動きが何気ない身体の動きを促し、打ち合わせの雰囲気を良くしたり、カジュアルな会話やアイデアを生み出したりします。腰は左右に揺れながらも頭の位置は動きにくいので、パソコン操作などの机上作業と運動の両立が可能です。従来の椅子のように筋肉が長時間動きにくくなる状態を避け、日々プロメネーラを利用することにより、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防にもつながる可能性のある商品ができました。
こうした地域の企業と研究機関との協働による地域材の活用に、今後も積極的に取り組んでいきます。
Promenera(プロメネーラ)
イトーキは、ウッドデザイン賞運営事務局主催の「ウッドデザイン賞2019」において、ハートフルデザイン部門で「イトーキ新本社オフィス」とライフスタイルデザイン部門でフレームシステム「オクタゴナル」の2つの作品がウッドデザイン賞を受賞し、フレームシステム「オクタゴナル」はオフィスの木質化にデザインの自由度をもたらす商品と評価され「奨励賞(審査委員長賞)」を受賞しました。イトーキは2015年のウッドデザイン賞創設以来、5年連続の受賞となりました。
ライフスタイル部門 奨励賞(審査委員長賞)フレームシステム「オクタゴナル」
ハートフルデザイン部門受賞「イトーキ新本社オフィス」
多摩産材認証制度とは「多摩産材認証協議会」が、多摩地区で生育し、適切に管理された森林から生産された木材の産地を証明する制度です。
イトーキでは、この多摩産材の利用拡大を図るため、東京都が公募した2011年度から多摩産材の利用拡大事業(提案公募型事業)に参画し、現在も積極的に多摩産材を使用した製品づくりや利用促進を行っています。
2016年度には「とうきょう森づくり貢献認証制度」に申請し、Econifaの42製品が認証されました。
この制度は森づくり活動の実施や、多摩産材を利用した企業や都民等の方々に対し、東京の森づくりへの貢献と、二酸化炭素吸収量および二酸化炭素固定量を認証し、森づくり活動への参加と多摩産材の利用をより一層促進させることを目的とした制度です。
多摩産材認証マーク
とうきょう森づくり貢献認証制度 認証書
イトーキは、豊かな森林資源を有し、神奈川県など都市部の水源地でもある山梨県早川町と丹波山村、そして地元の民間団体とともに、水源林の保全に取り組んでいます。木材や地元の資源を活用した魅力ある商品開発のほか、地域活性化につながるイベントの開催や告知活動を展開しています。
イトーキは、国産材利用の普及啓発を目的とする、林野庁の「木づかい運動」に参加しています。イトーキ東京イノベーションセンターSYNQAをはじめ、木材利用の普及啓発につながる展示・講演会を行っています。
地域材利用の意義を広め、実需の拡大につなげるため、国産材利用に関する普及啓発活動の強化を図る趣旨のもと、イトーキは林野庁が推進する「木づかい運動」に参加しています。
「木づかい運動」で受章した感謝状
宮城県木づかい表彰感謝状受賞式
また、東京都港区は、国産木材をたくさん使うことが地球温暖防止につながるとして、全国に先駆けて2012年10月に「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を開始しました。これは建物や家具への国産木材の使用を促し、その使用量に応じたCO2固定量を港区が認証する制度です。2013年には、テナント向け制度も施行されました。イトーキは、認証木材を使った製品等を提供できる登録事業者として、このイニシアチブに参画しています。
「間伐材マーク」は、間伐や間伐材利用の重要性の啓発、および間伐材への関心を喚起する目的で、全国森林組合連合会が認定を行っているマークです。イトーキは、各地域の間伐材の利用促進を積極的に行っており、当マークの認定を取得しています。
イトーキグループは、自らが調達する木材が、その生産地である森林や地域社会に影響を及ぼす可能性があることを認識し、イトーキグループ木材調達基準を定め、生物多様性だけでなく社会的な側面にも配慮した、持続可能な木材の調達を推進しています。
その一環として、サプライヤーとの協力体制のもと、イトーキの製品に使用されている木材の樹種、形状、取扱量、原産国(地域)などの把握や、調達基準にのっとった調達に努め、その調査の範囲をさらに拡大しています。イトーキグループが2019年度に使用した木材は、把握している範囲において、パーチクルボードが42%、繊維合板が11%、天然木(突板・合板・集成材・無垢材)が47%でした。今後も引き続き、木材使用量・原産国(地域)の把握および原産国(地域)まで遡った木材・木製品の合法性・持続可能性の把握に努めます。
樹種名 | 材・形状 | 利用量(m3) | 伐採国・地域 |
---|---|---|---|
アガチス | 合板 | 5.1 | 中国 |
アフリカンチェリー | 合板 | 16.9 | 中国 |
アルダー | 集成材、無垢材 | 449.0 | アメリカ |
イエローポプラ | 無垢材 | 6.7 | アメリカ |
ウォールナット | 突板 | 7.7 | アメリカ、カナダ、ヨーロッパ |
オーク | 合板、突板、無垢材 | 4.1 | アメリカ、カナダ |
カバ | 合板、集成材、突板 | 396.9 | ヨーロッパ、中国、日本 |
カプール | 合板、無垢材 | 61.0 | インドネシア、マレーシア |
キリ | 集成材 | 187.3 | 中国 |
クリ | 無垢材 | 10.0 | 日本 |
ゴム | 集成材 | 91.6 | タイ、ベトナム、日本 |
シナ | 合板 | 7.4 | 中国、日本 |
スギ | 合板、集成材、無垢材 | 74.6 | 日本 |
ドリアン | 無垢材 | 4.4 | フィリピン |
ナラ | 合板、集成材、突板、無垢材 | 16.5 | 中国、日本、ロシア |
ニヤト | 合板、無垢材 | 2.2 | インドネシア |
バーチ | 突板 | 3.9 | カナダ |
ハードメープル | 突板 | 2.4 | カナダ |
ビーチ | 合板、突板、無垢材 | 94.0 | クロアチア、スロベニア、タイ、デンマーク、ドイツ、西アジア、フランス、ルーマニア、ヨーロッパ、 |
ヒノキ | 集成材、無垢材 | 56.0 | 日本 |
ファルカタ | 合板 | 39.0 | インドネシア、中国 |
ブナ | 合板、無垢材 | 9.5 | ドイツ |
ポプラ | 合板、集成材 | 6.7 | 中国 |
ホワイトアッシュ | 突板、無垢材 | 3.0 | アメリカ、中国 |
ホワイトオーク | 合板、突板、無垢材 | 14.8 | アフリカ、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、ロシア |
ホワイトポプラ | 無垢材 | 15.5 | アメリカ |
メランチ | 合板 | 36.6 | インドネシア |
ヤナギ | 合板 | 78.0 | 中国 |
ユーカリ | 合板、無垢材 | 79.1 | 中国 |
ヨーロピアンビーチ | 合板 | 159.5 | スロベニア |
ラバーウッド | 合板、集成材、突板、無垢材 | 40.2 | インドネシア、タイ |
ラワン | 合板、集成材、突板 | 4,276.5 | アメリカ、インドネシア、カナダ、日本、マレーシア |
ランバーコア | 合板 | 2.9 | |
レッドオーク | 合板、集成材、突板、無垢材 | 28.7 | アメリカ、中国 |
その他 | 合板、集成材、突板、無垢材 | 41.9 | アメリカ、インドネシア、東南アジア、中国、ドイツ、西アジア、日本、フィンランド、ヨーロッパ、ロシア |
天然木 小計 | 6,329.9 | ||
スギ | 繊維合板 | 5.92 | 日本 |
ネルソンパイン | 繊維合板 | 5.2 | ニュージーランド |
パイン | 繊維合板 | 59.1 | アメリカ、ニュージーランド |
ホワイトオーク | 繊維合板 | 7.7 | アメリカ、カナダ |
マツ/スギ | 繊維合板 | 2.8 | 日本 |
メランチ | 繊維合板 | 14.5 | インドネシア |
ユーカリ | 繊維合板 | 3.4 | タイ |
ヨーロピアンビーチ | 繊維合板 | 3.0 | ヨーロッパ |
ラジアタパイン | 繊維合板 | 199.2 | ニュージーランド |
ラワン | 繊維合板 | 27.0 | 中国 |
MLH(雑木) | 繊維合板 | 395.1 | インドネシア、マレーシア |
その他 | 繊維合板 | 724.485 | インドネシア、オーストラリア、カナダ、中国、日本、南アフリカ、ブラジル、ベトナム |
繊維合板 小計 | 1,447.6 | ||
スギ | パーティクルボード | 862.18 | 日本 |
ヒノキ | パーティクルボード | 343.71 | 日本 |
マツ | パーティクルボード | 948.1 | アメリカ、日本、ロシア |
(空白) | パーティクルボード | 3,483.42 | インドネシア、カナダ、日本、ベトナム |
パーティクルボード 小計 | 5,637 | ||
使用木材 合計 | 13,414.9 |
イトーキはFSC® ・COC認証を取得し、FSC認証製品を販売しています。また、2015年9月には、別の国際的な森林認証ラベルであるPEFC・COC認証を取得しました。
FSC(Forest Stewardship Council® 森林管理協議会)とは、国際的な森林認証制度を行う第三者機関のひとつで、森林環境を適切に保全し、地域の社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を推進することを目的としています。
また、COC認証は、Chain-of-Custodyの略で、加工・流通過程の管理の認証です。
森林認証製品は、適切に管理された森の木を使い、家具の材料の調達~製造~販売の木材のトレーサビリティが確保されている製品です。
イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(東京都中央区)の1Fフロアは、RC(鉄筋コンクリート構造)建築物のオフィスとしては日本で初めてFSC®プロジェクト認証・全体認証を取得しています。1F内装で使用しているすべての木材(置き家具を除く)が、FSC®認証材または管理された木材として持続可能な森から産出されたものです。また、伐採、製材、加工、流通、施工まですべての工程で、徹底して適切に木材が取り扱われていたことが証明されています。
イトーキは、2006年のグリーン購入法改訂に伴いJOIFA(日本オフィス家具協会)の「合法性・持続可能性の証明に係る事業者認定」を取得しています。これに基づいて、合法性、持続可能性が証明された木材、木材製品の使用・販売を推進するため、木材の流通・加工ルートの確認や社内体制の見直しなど、サプライヤー様のご協力を得ながらグリーン購入法適合商品のスパイラルアップを図っています。
イトーキは、地域材の活用をテーマにセミナー・講演会・展示会への出展などの活動を実施しています。
2013 年より、イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(東京都中央区)で「SYNQA 木のシンポジウム」を開催するなど、イベントの開催と講演を通じて、木材活用による環境保全について普及啓発を行っています。
また、社外主催の講演会での講師や、子ども向けや一般の方向けのイベントなどにも製品やパネル展示などで参加し、幅広く森林保全のための木材利用の大切さ、生物多様性の保全・維持を呼びかけています。
イベント名称 | 場所 | 開催日 | 主催 |
---|---|---|---|
間伐・間伐材コンクール表彰式 | イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA | 2019/1/11 | 間伐・間伐材利用推進ネットワーク |
Woodコレクション2019(モクコレ) | 東京ビッグサイト | 2019/1/29~30 | WOODコレクション(モクコレ)実行委員会 |
徳島県プレゼンツ プレミアムトークイベントin 東京 木で創る2030 |
イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA | 2019/1/31、2/1 | 徳島県 徳島県木材協同組合連合会 |
ティンバライズ T-1グランプリ受賞記念セミナー Vol.6 | イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA | 2019/3/11 | NPO法人team Timberize |
こどもエコクラブ 全国フェスティバル 2019 |
国立オリンピック記念青少年総合センター | 2019/3/24 | (公財)日本環境協会 |
耐震補強技術T-FoRest Wall 技術セミナー | イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA | 2019/5/17 | 株式会社 竹中工務店 |
自治体総合フェア 2019 | 東京ビッグサイト | 2019/5/22~24 | (一社)日本経営協会 |
イトーキ 家族見学会 | ITOKI TOKYO XORK | 2019/8/4 | (株)イトーキ |
霞ヶ関こどもデー | 経済産業省 講堂 | 2019/8/7~8 | 経済産業省 |
Mt.Fujiイノベーションキャンプ2019 | やまなしプラザ | 2019/9/13~15 | Mt.Fujiイノベーションキャンプ実行委員会、山梨県 |
みなとモデル木材製品展示会 | 港区立エコプラザ | 2019/9/18 | 東京都 港区 |
子どもとためす環境まつり | 東京都中央区立小学校 | 2019/9/28 | 中央区環境保全ネットワーク |
東京拘置所矯正展 | 東京拘置所 | 2019/9/28 | 東京拘置所 |
川崎駅前優しい木の広場 | 川崎駅北口通路 | 2019/10/5 | 神奈川県 川崎市 |
なかのエコフェア2019 | 中野四季の森公園イベントエリア | 2019/11/16 | 東京都 中野区 |
多摩産材利用拡大フェア2019 | 新宿NSビルイベントホール | 2019/11/19~20 | (公財)東京都農林水産振興財団 |
材料・空間の感性・快適性評価に関する産学連携セミナー | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所 | 2019/11/27 | (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 |
防災不燃木材講演会 | イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA | 2019/12/9 | 防災不燃木材連絡協議会 |
やまなし水源地ブランド推進協議会合同シンポジウム | イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA | 2019/12/10 | やまなし水源地ブランド推進協議会 一般社団法人山梨県森林協会 宮崎県木材協同組合連合会 |
Woodコレクション令和元年(モクコレ) | 東京ビッグサイト | 2019/12/10~11 | WOODコレクション(モクコレ)実行委員会 |
徳島県プレゼンツプレミアムトークイベントin 東京 木で創る2030
自治体総合フェア2019
なかのエコフェア2019
2019年は、大阪府高槻市の台風21号の影響により「イトーキの森」が立入禁止区域となり、間伐が行えませんでしたが、⼭林道周辺の雑林の間伐、整備に、51名の社員が参加し作業を行いました。
間伐活動(5月)の様子
間伐活動(10月)の様子
2019年度も継続して、Econifa(地域材活用ソリューション)の活動による適切に管理された国産材の利用促進、FSC®認証材の積極的な活用などを通じて、生物多様性に配慮した製品の開発を実施しています。その取り組みが評価され、1製品、1施設でウッドデザイン賞を昨年に引き続き受賞しました。
また、生物多様性に配慮した木材原料の調達、特に違法に伐採された木材や絶滅危惧種の使用の防止についても、引き続き推進しています。2014年度から取り組んでいる、イトーキの製品に使用している木材の樹種、材形状、取扱量、原産国・地域等の把握については、対象とする製品の範囲を拡大。調査に協力いただいている取引先は、昨年より2社増えて合計44社となりました。今後は伐採にあたり、原木の生産された国または地域における森林に関する法令に照らして、手続が適切であるかの確認作業を推進していきます。
新入社員研修や中途入社社員研修、社員参加の間伐ツアーを通して、環境教育を実施しました。引続きこれらの活動を通じて生物多様性の保全の意義を広めていきます。
これからも、イトーキグループの強みと事業特性を踏まえながら、事業を通して生物多様性への取り組みを進めていきます。