2026年2月17日
人気製品を進化させた「torteU」チェア開発チームがこだわった“美しさ”とは
今回紹介するのは滋賀工場で製造され、2022年に発売した「torteU(トルテユー)」。長年親しまれてきた「torteR(トルテアール)」の機能を引き継ぎつつ、時代に合わせアップデートしたこだわりや美しさを追求して開発されました。
生産本部 開発設計統括部 第1開発設計部 チェア開発設計室
藤井 達也(開発)
生産本部 関西工場滋賀第2製造部 生産技術課
川口 哲史(技術)
生産本部 関西工場滋賀第2製造部 製造課
川嵜 靖之(製造)
品質保証本部 品質保証統括部 品質企画部 新製品品質保証課
村田 敏彰(品質保証)
生産本部 関西工場滋賀第2製造部 工務課
磯田 美香(インタビュー)
※所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。
「torteR」から「torteU」へ。継承された機能と時代が求めた変化
磯田−−−「torteR」から「torteU」へ進化させる中で、どのような場面に皆さんが携わったか教えてください。
藤井(開発):働き方の変化により、カジュアルなオフィスも増えてきました。その中で、求められるチェアの形も変化していると感じていました。
長年、滋賀工場発のオフィスチェアとして親しまれてきた「torteR」でしたが、つくり手の目線では、より良くできるポイントも見えていました。
そこで「torteR」の機能性を受け継ぎながら、“組み立てやすさ”と“新しいデザイン”を両立させた後継モデル「torteU」を開発しました。
「torteR」では19点あったメカパーツを13点に削減。複雑だった座クッション下のパーツがすっきりし、組み立てやすくリニューアルしました。
機械による自動化可能な組立範囲が拡大。
川口(技術):私は「torteU」のプラスチック部分全般を担当しました。
「torteR」の廃版が決まっていたため、後継製品である「torteU」を発売日に間に合わせることが絶対条件でした。
デッドラインが決まっていたからこそ、企画・開発・技術・品質保証・製造の連携に磨きがかかり、短期間でも多くの挑戦ができたと思います。
また、自部門だけでなく全体のスケジュール進捗が一覧で分かるタスク管理表があったおかげで、前後工程の影響を確認しながら作業を進められたことも大きかったです。
村田(品質保証):私の役割は、試験を通して修正が必要な部分を確認し、最終的に品質が基準を満たしているかを確認して出荷可否を判断することです。
スケジュールが厳しい中で「ここを直してください」とお願いするのは本当に心苦しかったのですが、品質のための変更の積み重ねで「torteU」は、JIS※
S1043:2016
レベル2に準拠した試験すべてに合格しています。
- JIS(日本産業規格):日本の製品やサービスの品質や性能を維持するため、国全体で基準を定めるもの。
川嵜(製造):私の役割は、開発・技術・品質保証の皆さんが工場で生産できる形に設計したものを、現場で量産していくことです。主にプラスチックの成型担当をしています。
実際に手を動かしてみて、「torteU」は「torteR」と比べて、よりスマートなデザインになり、組み立てもしやすくなったと感じています。たとえば、背・座部分の取り付けは「torteR」では熟練でないと難しい作業でしたが、「torteU」では改善されています。
他にも、座クッション下の肘をつけるパーツもスリムになりました。
肘をつけるために必要なパーツをオプションにしたことでスマートな見た目に。
磯田−−−「torteR」製造の現場の声と、時代のニーズ両方からアップグレードした新製品が「torteU」なんですね!
美しさを引き出すための挑戦と、徹底した“こだわり”
磯田−−−「torteU」はアップグレードされた美しいデザインが印象的ですが、その背景にはどのような挑戦があったのでしょうか?
川嵜(製造):「torteU」を語る上でナチュラルカラーの採用は外せません。「torteR」はベースの色が2色でしたが、今回は6色に増えました。金型に色のついた樹脂を流し込んで成型を行うため、色を替える際は金型に残っている色をその都度リセットしなければなりません。清掃に倍以上の時間を掛けてでも、時代のニーズにマッチした色を作ることはやりがいを感じています。
色替えには毎回30分以上のインターバルが必要。
川口(技術):色が増えただけでなく、キャスターなどの部品までワントーンに統一されたカラーも「torteU」ならではの挑戦です。あらゆる部品の色を揃えるため、調整の繰り返しでした。
特に、肘はなかなか思った通りの色が再現できず、グリーンのはずがなぜかグレーになる失敗も。
原因は樹脂の温度が高すぎたことでした。しかし、温度を下げると製品を頑丈にするために混ぜているガラスが浮かんでしまい、美しい見た目にならない。樹脂メーカーさんに相談し、二つの添加剤を加え、やっと求めていた色を再現することができました。肘、クッション、キャスター含め、ワントーンに統一したからこそ、チェアとしての美しさが数段上がったと感じています。
黒のみだったキャスター(Before)が、ワントーンカラーキャスターに(After)。車輪部分もグレーにし、スマートなオフィスにマッチ。
村田(品質保証):色以外にも多くの調整、挑戦がありました。たとえば、金型が完成し、成型してみたところ樹脂とクッションの間に隙間を発見。覗き込まないと気が付かない程度でしたが、妥協せずに金型修正を行い、すべての隙間がなくなるまでメンバーと協力しました。初期段階と比べると美しさは歴然です!
金型を修正し、最適な形にする。隙間のない美しい見た目は試行錯誤の賜物。
藤井(開発):気づかれにくい場所にも、こだわりがあります。たとえば、脚の部分。オフィスで利用することを想定し、コンパクトさと頑丈さのバランスを追求したこだわりの塊です。よく見ると、丸みを帯びていることが特長です。
他にもキャスターは、従来の物より一回り小さいサイズにし、また、金属部分が露出しないよう調整しました。このような変更の積み重ねが「torteU」のコンパクトでスマートな美しい見た目につながっています。
普段はあまり注目されることのないキャスター上部。よく見ると従来の製品では構造上金属部分が露出している状態。「torteU」では改良され美しく変身。
磯田−−−どこを指差しても“こだわりPOINT”が出てきますね!
滋賀工場、期待の星「torteU」。優秀すぎるその“素顔”
磯田−−−つくり手側だからこそ注目してほしい、「torteU」の自慢のポイントはどこでしょうか。
村田(品質保証):強度面の試験でほとんど不合格にならなかったことが自慢のポイントです。金型ができる前の試作品の段階で行う基礎試験があるのですが、当時から開発メンバーが「どうすれば強靭さを維持できるか」を試行錯誤して作り込んでくれたことが大きかったです。
川嵜(製造):「torteU」での新しい試みとして、波打つような背もたれを作成しました。このようなデザインは今まで見たことがなく、一目見た時から惚れ込んでいますね。また、背もたれに砕いたマイカ(雲母)※が浮かび上がっていることにも注目してほしいです。
今までは、このような模様が現れると製造現場としては「異物が混じった」と大騒ぎになったのですが、「torteU」はランダムに現れる星空のような模様をデザインとして活かしています。非常に斬新だと感じる点なので、後ろ側からも「torteU」を見つめてほしいですね。
- マイカ(雲母):電気絶縁性・耐熱性のある鉱物。光を反射してパールのような光沢感が特徴。
波打つ背もたれに飛び散る星空のようなマイカ。
川口(技術):私は肘のパーツが左右同じ形状であることが、注目してほしいポイントです。デザインとしての美しさだけでなく、組み立てやすさや納品先での組み間違いも防げます。
左右対称の美しい、スリムな肘。どちらも同じパーツにすることで組み間違いを防ぎます。
藤井(開発):軽量化やパーツ点数の削減に取り組むことで、環境への配慮と扱いやすさの両立を実現できました。作業者の負担も軽減され、現場でもよりスムーズに扱える製品になっています。実際に使われるオフィスでも、製造する現場でも愛される製品に「torteU」はどんどん成長していくと思います!
スリムで美しく、時代のニーズにマッチした「torteU」を、ぜひ体感してみてください。
- 本記事は、社内報(2022年11月掲載)の内容を、2025年12月に再編集し公開しています。
- 所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。


