女性活躍を“企業の力”に。自主性と成長を引き出すコミュニティ「SPLi」とは

女性活躍を“企業の力”に。自主性と成長を引き出すコミュニティ「SPLi」とは

イトーキは、リーダーシップをもった女性の活躍推進を通じて、さらなる多様性の巻き込みと、オープン・フリー・フラットな企業文化の醸成を目指すという変革を進めています。その象徴的な取り組みとして、リーダーシップを発揮するための知識・スキルの習得や、継続的なキャリアデベロップメントをサポートするコミュニティ「SPLi」を発足させました。

本記事では、SPLiの取り組みと、その中心メンバーである5名の初代リーダーが語る立ち上げの背景、活動を通じて見えてきた変化、そして今後の展望をご紹介します。

八木 佳子

常務執行役員

ソリューション事業開発本部 本部長

八木 佳子

1998 年入社。家具の研究開発に従事。2012 年からパフォーマンスや健康状態を向上する働き方とオフィスの研究開発を担当、2023 年執行役員ソリューション開発統括部長としてデータを活用したソリューションの開発を担当。2026年から現職。

一階 裕美子

営業本部 金融営業統括部 金融第1支店 支店長

一階 裕美子

2007 年入社。オフィス事業の営業として民間企業を担当。2016 年営業戦略統括部で営業教育、営業推進、SFA 構築等を行い、2020 年に大手デベロッパー、設計事務所の営業を経て2021年より人事企画室長として人事制度改革を実施。2025年より現職。

鈴木 恵里子

コーポレートガバナンス本部 ガバナンス部 部長

鈴木 恵里子

1994年入社。マーケティング部門を経て2000年にEC事業立ち上げに参画。
D2Cビジネスの基盤を作る。2016年より経営企画部門にて新規事業を経験したのちEC販売部長を経て2025 年よりガバナンス部長就任。

香山 幸子

執行役員
ワークスタイルデザイン本部 本部長

香山 幸子

1999年入社。デザイナーとして首都圏案件をメインで担当。2018年からスタートしたITOKI TOKYO XORK※(現ITOKI DESIGN HOUSE TOKYO)の構築におけるデザインを担当し、ABWの大規模導入を実現。2019年よりデザインセンター長就任。全国のプロジェクトを統括。

  • ITOKI TOKYO XORK:ITOKI DESIGN HOUSE TOKYOの前身となるイトーキの本社オフィスの名称。

川島 紗恵子

執行役員
コーポレートコミュニケーション本部 本部長

川島 紗恵子

大手クレジットカード、マーケティングリサーチ会社を経て、2019年イトーキ入社。広報、IRなどコーポレートコミュニケーション領域を広く担当。さまざまな角度からステークホルダーとの関係構築に取り組んでいる。

※所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。

自分らしさを活かし、キャリアを切り拓く:イトーキの女性活躍推進コミュニティ「SPLi(サプリ)」の挑戦

私たちが目指すリーダーシップ≠管理職になること

2022年4月に発足した女性活躍推進コミュニティ「SPLi」は自分らしさや多様な個性を活かしながら、リーダーシップを発揮するために必要な知識・スキルの習得や、継続的なキャリアデベロップメントをサポートするコミュニティとして活動しています。

「SPLi(サプリ)」という愛称には、⽬的に応じてさまざまな種類があるサプリメントのように、⼀⼈⼀⼈の⽬的や悩みに“効く”活動によって、⾃分だけのオリジナルなリーダーシップを⾒つけよう、という意思と、もっと輝きながら(Shine)、前向きに(Positive)、リーダーシップ(Leadership)を積極的に発揮しよう(Lean in)という思いが込められています。


SPLi

リーダーたちの正直な葛藤の姿

2022年の発足時にリーダーに任命された5名。実は、最初から全員が前向きだったわけではありません。記事では語られないことの多い、リーダーたちの「リアルな戸惑い」がそこにありました。

八木佳子さん(常務執行役員/ソリューション事業開発本部 本部長)は、自身がイトーキで働いてきた中で、女性が活躍していないとは感じていなかったため、「コミュニティ立ち上げの時には、なぜいまさらというのが正直な感想でした」と振り返ります。しかし、社長との会話の中で「イトーキは女性がもっと活躍できるような会社になれば、さらに良くなるんだ」という話を聞くうちに、自分の認識が少し甘かったのだと気づかされたといいます。

一階裕美子さん(営業本部 金融営業統括部 金融第1支店 支店長)も同様に「いまさら?」という思いがありました。当時、人事部で女性活躍を担当していた経験から、やる気のある女性には機会が与えられていると考えていたからです。実際、イトーキの女性管理職比率は製造業の平均を上回っています。職種によっては男性が多い領域もあれば、反対に女性が中心となる領域もあります。

しかし、グローバルに見ると、日本のジェンダーギャップは依然として大きいのも事実です。そうなると、キャリアを歩むうえで女性の方が不利な煽りを受ける可能性が高い国なのではないか、自分たちの会社はどうなのか――。“コミュニティ立ち上げを通じて、このギャップ解消に何が必要か”を考え続けてきました。

また、鈴木恵里子さん(コーポレートガバナンス本部 ガバナンス部 部長)は、立ち上げ時のリーダーとしてのスタートに「正直戸惑いました」と明かします。「推進的な役割はお手本となるべき人であり、それが私に務まるのかというのが戸惑いの理由です」。しかし、準備を進める中で、「必ずしもそうではなく、参加者に気づきを与えるきっかけとして私なりのキャリアや経験が役に立つこともあるのでは」と、自身の役割を捉え直していきました。

現場で見えた「活躍したいけど動けない」現実

一方で、現場のリアルな課題感を持っていたリーダーもいます。

香山幸子さん(執行役員/ワークスタイルデザイン本部 本部長)が率いる部署は女性社員が6割を占め、活躍できるシーンが多い環境です。そのため「女性は結構活躍できている」という認識を持っていました。しかし、SPLiが始まり改めて全体を見渡すと、「活躍したいけれどそのシーンを見つけられない人や、気持ちはあるけれど動けない人が結構いることを実感した」といいます。

また、リーダー唯一の中途入社である川島紗恵子さん(執行役員/コーポレートコミュニケーション本部 本部長)は、入社時からある“違和感”を持っていました。現場レベルでは活躍している女性がいる一方で、部長職の少なさや、最終的な重要意思決定の場に女性がいないことに対してです。

「イトーキは多様性やダイバーシティという観点において、まだ改善の余地がある」。そう感じていた川島さんにとって、企業が体裁を保つためではなく、真の意味で女性自身が自分のキャリアを自主・自律的に考える機会を提供する、組織に紐づかない組織としてSPLiを立ち上げることは、非常に意義のあることでした。

「SPLi」とは何か? ― 薬ではなく、必要な栄養を選ぶ場所

SPLiという名称には、独自の思想が込められています。一階さんはそのコンセプトについて、社外の方から言われた印象的な言葉を紹介しています。

「SPLiという名前をつけた後に『病気を治す薬ではなくてサプリメント』というのがいいよねと言っていただいたのですが、これがこの活動の根本だと思います」

人によってビタミンやカルシウムなど必要な栄養素が違うように、全員に同じものを強制するのではなく、「自分に合ったもの、自分が参加したいものに参加する」。この自主性がSPLiの最大の特徴です。

そうして、SPLiが発足した際に定めた3つの役割は「気づき」「交流」「学び」です。「自分のキャリアをどう作っていくか」といった悩みに対し、「こういう考え方もあるんだ」という気づきを提供することが第一歩。

交流し、気づきを得たことで将来のキャリアイメージが湧き、これからどのような知識やスキルが必要なのか、という疑問が出てきます。疑問に対しての学びの場としても知識やスキルのインプットができる企画をSPLiでは実施しています。

SPLiが担いたい、イトーキで働く女性たちのための3つの役割。01:自分らしさや強みを知り成長の第一歩となる「気づき」を与える。02:社内外の交流を通じてキャリアモデルを見つけデザインする機会を与える。03:リーダーシップを自然と発揮できるよう、必要な知識やスキルの習得をバックアップする。

SPLiは会社からの義務ではなく、あくまで自主参加。結果として、初年度から女性従業員の12%が参加するという高い関心を集めました。

変化を生む「主体性」と「交流」

「自主性」を重んじるSPLiの運営方針は、企画メンバー自身にも大きな変化をもたらしました。

香山さんは、1年間の活動で最も印象的だったこととして、企画メンバーが主体となってイベントを実行したことを挙げます。「自らが主体的に企画して動くということを初めて経験したメンバーがたくさんいましたが、やりきることがそれぞれの自信につながったのを見て取ることができました」。

もちろん、最初から順風満帆だったわけではありません。鈴木さんは「途中悩んでまた戻って、といったことを繰り返しながら自分達だけで最後までやりきった」と語ります。そのプロセスを経たからこそ、メンバーはその後の業務でもポジティブに、自信を持って取り組めるようになったのです。

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SPLi 1周年記念イベント「メンバー交流企画&社外取締役 坂東眞理子さんご講演」。総勢70名強が参加し、「発酵食」についての理解を深め、毎日の食への意識も変化。女性活躍推進にまつわる変遷や世界各国と比較した日本のレベル感など、改めて課題を認識すると共に今後への期待と覚悟を抱かせてもらう時間となりました。

活動で見えた「生の声」―堂々と参加できる空気作り

活動を通じて、リーダーたちは社内の「生の声」にも直面しました。
一階さんは「想像しているだけではダメだなということを改めて実感しました」と語ります。想定以上のメンバーが集まったこと、そして「もっと頑張りたい、何かしたい」と悩んでいる女性が想像以上に多かったことは、直接声を聞かなければ分からないことでした。

鈴木さんは「多くの女性が近くにロールモデルがいないため今後のキャリアが描けず、またそれを共有しあう機会もなかったため漠然とした不安を抱いているということを改めて感じました。周囲の参加していないメンバーへSPLiでの活動や経験を伝え、自分ごととして捉え、自発的に参加したいと言ってもらえるのが理想です」と自身の気づきを語ります。

また、川島さんは立ち上げ段階で深く印象に残っている声として、「コミュニティ自体を部門に紐づけて義務(職制)としてくれないと参加しづらい」という意見があったことを明かします。
これは、職場における「心理的安全性」の課題を浮き彫りにしました。だからこそ、活動を社内外に公開し、全社的な認知を進めることで、女性たちが堂々と参加できる空気を作ることが重要だと考えています。

企業価値向上へ ― “明日の「働く」を、デザインする。”ために

SPLiの活動は、女性活躍のためだけにとどまりません。リーダーたちは、この活動がイトーキの未来を創る力になると確信しています。

声を上げにくかった人が自然と声を届けられ、多様な社員が率直に意見を交わしながら、より良い働き方や価値創出に挑戦できる——そんな“オープン・フリー・フラット”な企業文化を育むための取り組みです。

多様な価値観・経験・専門性を持つ人材の視点を活かすことで、企業として事業の広がりや社会への還元につながります。

また、データやテクノロジーを活用した新たな働き方の提案など、働く環境を進化させる挑戦がこれまで以上に求められています。そのためには、部署を越えた連携や、これまでにない発想を共有できる風土が欠かせません。

社員一人ひとりが前向きな気持ちで活躍できる組織となり、社会に提供する価値をさらに高める−−それぞれが自分らしいキャリアを築き、その経験を持ち寄ることが、組織の力になります。SPLiは、そのきっかけを生む場として、これからも活動を続けていきます。

新リーダーがバトンを受け継ぎ活躍

2026年1月からは、SPLiの取り組みを次の世代へとつなぐ新たなリーダーたちが活動を引き継いでいます。初代リーダーたちが育んできた主体性やつながりを土台に、それぞれの視点や経験を重ねながら、SPLiは今も進化を続けています。

今後は、新たにバトンを受け取ったリーダーたちが、どのような想いでSPLiと向き合い、どんな広がりを生み出していくのか。その活動や挑戦についても、あらためてご紹介していく予定です。

※所属部署・役職・制度は取材当時のものとなります。現時点の情報と異なる場合があります。

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