GOOD DESIGN AWARD 2012


「2012年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)において、イトーキが開発した計9製品が「GOOD DESIGN AWARD」および「GOOD DESIGN BEST 100」を受賞いたしました。
GOOD DESIGN BEST 100 受賞
GOOD DESIGN AWARD 受賞
事務用品・機器
Cacomi(カコミ)

オフィスの新しいコミュニケーションの形を実現するファニチャーシステム。3種類の背を持つソファと、フレームとの組み合わせにより、チームのメンバーが気軽に集う事のできるオープンミーティングから、こもってじっくり話をまとめていく個室感のあるクローズドミーティングまで、様々な設えを実現。クローズドミーティングの設えでも、着座時の目線をコントロールしながら、上下に適度なスキマを設ける事で「Cacomi(カコミ)」の中で行われている活発なコミュニケーションの雰囲気を周囲に何気なく伝える事ができ、情報共有や他メンバーへの刺激を与える効果もある。
審査委員評価コメント
オフィスのあり方に対して様々な提案がなされるなか、この製品の一番の評価ポイントは「パブリック感とプライベート感」のバランスにあると思う。公の場であるオフィスであっても、そこで交わされるのは生身の人間同士の関わりなのだから、適度な距離を保ちながらもリラックスした時間を作ることがこの手のオフィス家具の理想ではないだろうか。中に入ると旅のはじまりのようなワクワクした気分になり、それが家具のカタチから誘発されているものだと感じた。背面はファブリックで覆われているので、互いの声が反響しない。音の響き方が外部と違うので中は一体感を感じることができる。適度な開放感があり、周りとの穏やかな連続感を持ちながら空調も考慮されている。細部まで丁寧に作り込まれていて、他のオフィスシステム家具とは一線を画した仕上がりになっているところも評価が高かった。円滑で創造的なコミュニケーションが生まれる予感のするデザインである。
Instate(インステート)

日本の企業競争力を高めるために経済産業省が提唱している「クリエイティブオフィス推進運動」の中で、近年個人席以外で思考のモードチェンジを行うことのできる場が重要とされています。ルーチンワークさえも創造的に行うことが必要となり、どんな職種でも生産性向上のためにクリエイティブに働くことが求められる中、「パーソナルデスク」「大型天板」「ミーティングテーブル」の3アイテムを駆使することでモードチェンジの場を提供することのできるワークステーションとして統一されたデザインコンセプトの元で開発しました。
審査委員評価コメント
それぞれのアイテムの要素のレベルをあわせているので、レイアウト変更がしやすい。配線孔のサイズや形状の使い勝手に気配りを感じる。非常に合理的で緻密に考えられているところを評価した。
Move(モーブ)

個人席以外のフリーアドレスオフィスやコラボレーションスペースといった新しいワークスペースを実現するマルチパーパスチェアです。新しいワークスペースでは思考モードの変換を促すインテリアが多く計画され、デザインを優先してロッキング機構のないチェアが採用されてきました。Move(モーブ)は背座一体で一見動かないように見えるデザインですが、背と座が連動してロッキングするので、新しいワークスペースにあうデザインを有しながら、長時間快適な座り心地を実現しています。
審査委員評価コメント
オフィスチェアとしての機能性を担保しながら、機構部分の仕上げややさしく家具的な雰囲気が感じられるところが魅力のデザイン。可動部の処理も丁寧で好感がもてる。
Systema Key Unit II(システマキーユニットⅡ)

携帯電話やデジタルカメラ等、今までの鍵管理装置では管理対象にならなかった物品はケースタイプで管理、今まで通りの鍵やUSBメモリ等はキータイプで管理、それぞれの目的に応じてケースタイプとキータイプを組み合わせ、一元管理が可能。また、ケースタイプとキータイプを同じ寸法モデュールで構成することにより、横連結または縦連結を可能とし、寸法的にも組み合せしやすくしています。
審査委員評価コメント
携帯電話やデジタルカメラ等、新たなセキュリティケース需要に対して鍵管理装置で養ったノウハウを活用しながら、管理者だけでなく個人ユーザーが使いやすいよう考慮されている。セキュリティケースに求められる、堅牢性から来る安心感と設置空間と調和するノイズの少ない仕上げの両立を、精度の高い板金の仕上げ、安心感のあるインターフェース、清潔感のあるグラフィックで実現している。
広告、宣伝、ブランド構築、CSR活動
Econifa(エコニファ)

Econifa(エコニファ)は日本全国の木材産地及び樹種に対応し、産地と都市をつなぐソリューションです。日本は国土の7割が森林です。そのうち4割は人工林で、多く針葉樹が伐採適齢期を迎えています。しかし外材の値下がりや林業の後継者不足等により従来のしくみだけでは多くの木材が資源として活用されていません。私達は資源の循環活用のために、針葉樹材の可能性を最大限に引き出すデザインテンプレートを開発し、針葉樹の欠点を克服し、 耐久消費財としての品質の確保に成功しました。新しい木材利用のモデル開発により、炭素固定化をキーにした森の循環、地場産業の育成による経済の 循環を確立し、サステナブルな社会の実現に寄与しています。
審査委員評価コメント
本来スチールと比べて扱いづらい木材ではあるが、日本国内における利用可能な森林資源の活用に、経験ある事務機器メーカーが取り組み、新たなサステナブル・デザインを具体的に提案している。国産の木材を使うというコンセプトの中で、針葉樹の欠点を克服しながら、耐久消費財としての品質を高く確保するためのデザインテンプレートを開発している点が評価できる。日本全国にある人工林、その木材産地(やま)と、家具の消費地である都市(まち)とを、木をつかった家具というメディアでつなげることで、環境への寄与だけにとどまらず、木材の生産・流通・消費に、新たな経済循環のモデルを提案している。
公共領域のための機器・設備
Alant(アーラント)

従来空港で使用されるロビーチェアは「安全面」「強度面」「メンテナンス面」が重視され金属類を主材とする傾向があった。但し近年の低迷した時代を背景に、公共空間にも「やすらぎ」が求められる現状がある。
羽田空港もリニューアルに伴い、美しい日本の原風景や自然と共に生きる心を世界中の人々に伝えようとのコンセプトから「庭園」を設置し木々が植栽することとなった。イトーキとして、空港向けロビーチェアとしての基本スペックは抑えながらも、国産材を用いることで、優しさ・温もり・おもてなしの心を表現したデザインを提案したところ、グランドコンセプトと合致し、羽田空港インテリアの一部として空間を彩ることとなった。
審査委員評価コメント
とかく無機質になりがちな空港ロビーの中にあって、ロビーチェアは重要な役割を持つ。このロビーチェア「Alant(アーラント)」は国産材を用い、合板成形による曲げ加工によって緩やかな曲線と適度の弾性が生まれ、全体を温もりあるデザインにまとめられている。欠航などで長時間の滞在を強いられた旅行者やビジネスマンの疲れた体をいたわり、一時の安らぎを与えてくれるだろう。平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が後押ししたことも見逃せない事実である。
Smart Style I(スマートスタイルⅠ)

ミニマムに構成された線と面が生み出す、本の装丁や図書館空間の演出を阻害しない、シンプルなデザイン。ハニカム構造と機能性の追及から生まれた削ぎ落としたデザインとは対照的に、多くのファンクションを兼ね備え、図書館空間と書物が持つ豊かさを最大限に活かすことができる書架システム、 それが「Smart Style I(スマートスタイルⅠ)」です。
審査委員評価コメント
図書館は年々増える書籍の保管が最大の課題と言えます。この書架「Smart Style I(スマートスタイルⅠ)」はペーパーハニカムの採用によって軽量化と高強度が両立し、主要構成材を極限まで薄く実現している。基本構成は側板と背板のみで構造体を維持し、棚板は簡単に角度が変更できることで多様な収納と展示が可能となっている。また、棚板の奥側に十分な隙間を取ることで空気の対流が生まれ、書籍の湿気防止と埃の溜まりを防ぐ効果がある。図書館は棚に並ぶ書籍が主役であるということを充分に理解した製品と評価した。
研究・教育・医療のための機器・設備
Medi Work Cart(メディワークカート)

医療現場のICT化が進む中、ノートPCやタブレットを携帯して患者さんのベッドサイドでのデータ入力やバーコードによる与薬や注射のチェックなど医療スタイルは日々変化しています。必要なツールをカートに載せて病室やスタッフステーションでスピーディーにアクティブに多様な作業をしっかりと支えます。その様な看護活動をサポートするMedi Work Cart(メディワークカート)です。
審査委員評価コメント
近年、医療現場でもICTの導入が進み、看護活動の際のPCやタブレット端末などの使用や、病室でのデータ入力、バーコードチェックなどの場面が増えている。そんな際に、重装備となった看護師をサポートするためにデザインされたのが、このキャスター付きワゴンである。清掃性の高い形状や構造、耐薬品性を考慮した材料選択、特有の使い方に対応したオプションパーツ類の整備、多少の段差でも問題の無い走行性など、医療環境での不可避な課題を一つ一つ解決するとともに、ICT対策で実績あるオフィス家具のノウハウを活かした医療家具デザインの代表策といえる。
流通・販売のための機器・設備
エクタル

新タスク&アンビエント照明システムは現代のワークプレイスにおける環境性能と快適性の両立を目指し、オフィス家具モデュールに合わせてセッティングが簡易に行える照明システムとしてデザインを行いました。机上面の明るさ(照度、輝度)による設計だけではなく、目に見える光の量による照明設計で、光の物理量(測光量)のみによる評価ではなく、相対的な光の感じ方(感覚量)を加味した評価を実現しました。照明設計には新しい理論で構築されたアプリケーションを用い、完成後の明るさを見える化し、ワークプレイスの空間構成から照明環境までをシステム化しました。
審査委員評価コメント
オフィスにおける照明のありかたを、機器と空間構成からシステムとして捉えたところを評価した。これまでの単純な照度設計を見直し、使う人の感じ方を中心に考え抜かれた『感じるあかるさ』という視点も好感が持てる。実績として60%省電力化を実現しており説得力がある。
グッドデザイン賞の詳細についてはグッドデザイン賞公式サイトをご覧ください。