改修によるZEBオフィスを実現。既存中小オフィスビルに向けたZEB化改修のモデルケースとして。
「最良の作品を世に遺し、社会貢献する」を経営理念とし、「未来のサステナブル社会」へつなぐ活動を展開する株式会社竹中工務店。半世紀前から「環境」との調和を大切にしたまちや建築創造の活動を続けてきた。1992年には地球環境憲章を制定、2004年にはサステナブル・ワークスという概念を打ち出し、2010年には「人と自然をつなぐ」という環境メッセージの基、2050年に向けた環境コンセプトを策定している。こういった流れの中、2003年竣工の同社東関東支店をネット・ゼロエネルギービルへ改修を計画。既存オフィスを稼働しながら改修工事を実施し、2016年5月から運用を開始した。
外観
外観
自動制御外ブラインドを備えたダブルスキン化など、外装も最先端技術を駆使した改修を行った。
オフィススペース
オフィススペース
オフィス全景。中央のメイン動線を挟み右がコミュニケーションエリア、左がデスクワークエリア、最奥部がファイリングエリアとなる。自動制御のブラインドから自然光を最適な状態で取り込み、オフィスに明るい雰囲気をもたらす。
コミュニケーションエリア
コミュニケーションエリア
手前は見通しがよくオープンで集まりやすい大型モニタ付のディシジョンテーブル。奥は執務やミーティングに利用できるフリーアドレステーブル。
コミュニケーションエリア
コミュニケーションエリア
コラボワークやミーティングなど多目的に利用できる半円多目的テーブル。奥のハイテーブルではスタンディングでミーティングや執務もできる。
デスクワークエリア
デスクワークエリア
デスクは既存品を利用。海を表現した側板や天板を追加することで新しいイメージを与えた。
オフィスラウンジ
オフィスラウンジ
執務もインフォーマルコミュニケーションにも利用できるエントランスに隣接したスペース。上部はトップライトで、自然光が降り注ぐ。他拠点社員のタッチダウンデスクとしても活用。
パーソナル気流ユニット
パーソナル気流ユニット
個人の好みにあわせた気流を各自のパソコンから調整することができる。自ら選ぶことができることがポイントだ。
User’s Voice
株式会社竹中工務店
ワークプレイスプロデュース本部副部長
岡田
明浩氏
ZEB化達成は働き方を変えることが大きな役割を担っています。生産性を意識すると同時にエネルギー消費について意識できるよう、自律的な行動を促す環境づくりを行っています。それは目的ごとのエリア、照明や空調を自ら選べるようになったことがポイントです。ZEBという明確な目標があり、それを見える化することで、社員自ら考えて行動し、ZEBを達成しています。働き方を見直し意識変革することは、エネルギー削減にも大きな影響があることが見えたプロジェクトでした。
Comment
ZEB化に伴うオフィスリニューアル、執務されながら改修を行う特徴的な案件でした。オフィスでの働き方を見直したいという想いを伺い、どういった働き方を目指すべきか、どのような空間が求められるのかを一緒に探りました。個人(モチベーション、パフォーマンス、思考・知的創造)、組織(コミュニケーション・健康)、什器(ECOを意識した既存什器活用)の3つを意識しました。また、新しいオフィスを特徴づけるアイディアとして、立地の自然環境を意識した「海」をデザインモチーフとしました。グラフィック、内装、什器カラーや素材などで表現しています。
改修後のオフィスはイメージも一新され、見学者も多く訪れています。場を選んで働くことで生産性も向上しているとのこと、まさに新しい働き方が実現された注目のZEBオフィスです。
Designer
岩松 里紗
Risa Iwamatsu