新庁舎建設を機につながる働き方へ変革。職員も県民も「つながるBA(場)」を実現したワークプレイス。
九州北西部に位置する人口約134万人の自治体、長崎県。「県民と共に新しい時代を切り拓く庁舎」を基本理念に、約9年間にわたるプロセスを経て、2018年1月に庁舎が運用を開始。約60年ぶりに生まれ変わった新庁舎は、長崎港に面して建ち、低層化することで周囲の景観と調和。そして大規模災害時の防災拠点施設として機能を確保した、環境にやさしい庁舎だ。新庁舎ではハード面の整備のみならず、働き方の変革にも取り組んだ。目指したのは、組織の総力をあげた『つながる働き方』だ。

長崎県庁舎外観
長崎県庁舎外観
長崎港に面して丘のように建つ低層の長崎県庁舎外観。

1階エントランス
1階エントランス
行政棟1階から4階までの大規模な吹抜けは「シティーホール」と呼ばれ、来庁者と県職員がさまざまな活動を視覚的に認識できる「つながるBA(場)」の象徴的な空間。庁内には天井や壁などの内装材に県産の木材や石材、磁器タイル等がふんだんに使用されている。

1階エントランス
1階エントランス
大規模なイベント利用が可能で、これまで県産茶の試飲販売や各種物販、展示会などを開催。また、災害時には一時避難にも利用可能。

1階協働エリア
1階協働エリア
エントランスと一体となった1階協働エリアには、ライブラリー機能やワークショップスペースを整備。

スクラム型ワークエリア
スクラム型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
秘匿性の高い相談やこもって集中した討議ができる。

フレキシブル型ワークエリア
フレキシブル型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
執務席の周辺に設け、瞬時かつ気軽にさまざまな人数での議論ができる。

プロジェクト型ワークエリア
プロジェクト型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
モニターやプロジェクター、スクリーンを設置し、大人数での利用が可能。

スタンディング型ワークエリア
スタンディング型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
中間キャビネットの天板を利用し、即座に集まりコミュニケーションが可能。

集中作業ブース型ワークエリア
集中作業ブース型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
一定時間一人でこもって集中し、高品質なアウトプットを狙う。

マグネット型ワークエリア
マグネット型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
複合機や消耗品などを集約し、日常的なコミュニケーションを誘発する。

図書閲覧(情報検索)型ワークエリア
図書閲覧(情報検索)型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
共用図書エリアは開放的な窓面に設置。

窓面カウンター型ワークエリア
窓面カウンター型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
気分を変えての作業や1対1の対話ができる。

リフレッシュ型ワークエリア
リフレッシュ型ワークエリア
「選択可能な10のワークエリア」
レストルームや給湯エリアに隣接し、飲食などが可能。

オープンフロアの執務エリア
オープンフロアの執務エリア
物理的・心理的な壁を取り払ったオープンフロアの執務エリア。遮るものがなく見通しがよく、窓面からは外光が入り、自然とアクティビティを誘発しやすい環境。

窓口
窓口
窓口はカウンターへ職員が来庁者のもとに出向くスタイルでおもてなしの向上を図る。

8階展望テラス
8階展望テラス
8階展望テラスは来庁者に人気の空間で、生涯学習コンサートなどのイベントも行なわれる。また、地域材活用ソリューションEconifa(エコニファ)で長崎県産材による家具を設置し、地場の木材産業の活性化を訴求する。

「つながるBA(場)」を実践するフロア
「つながるBA(場)」を実践するフロア
「つながるBA(場)」を実践するフロア
全体が見渡せる執務スペース。
User’s Voice
長崎県
企画振興部
政策企画課
地方創生・連携推進班
係長
大内田基教氏
2009年から約9年にわたる本プロジェクトのなかで、ワークプレイス計画では「つながるBA(場)」というコンセプトの共有・浸透を図るため、職員を巻き込んだ検討を数多く実施しました。2015年夏から移転までのワークプレイス実施設計・移転計画では、イトーキの協力のもと、全課ヒアリングやガイドライン策定、各種ワークショップなどを実施しました。旧庁舎から大きく働き方が変わるため、これらのプロセスはスムーズな移転、運用に向けて重要なプロセスでした。
Comment
イトーキは約9年に亘る新庁舎建設プロジェクトの最終コーナーとなる最後の3か年を移転PMとして担いました。統括責任者として特に大切にしたことは「つながる働き方」をプロジェクトのあらゆる場面において具現化していくこと、例えば職員参加型ワークショップの企画運営や職員自らが選択して働く10のワークエリアの具体化、意識変革を促していく為のガイドラインの策定など大規模プロジェクトを円滑に進めることは勿論、職員の働き方改革を実現することに腐心しました。
結果として日経ニューオフィス推進賞受賞(兼九州経済産業局長賞)や日本ファシリティマネジメント大賞奨励賞受賞の喜びを長崎県庁様と分かち合えたことは大変光栄に思います。地域社会との協働を促進する支援機能整備なども含め新時代に相応しい先進的な県庁舎ワークプレイスが実現出来ました。

Designer
北田 雄樹
Yuki Kitada
長崎県庁新庁舎建設課様とイトーキがプロジェクトチームを組み、一般の職員様を巻き込みながら、新しい働き方を実現する庁舎を目指した先進的な物件。新県庁舎のワークプレイスコンセプトは『つながるBA』。職員や県民が利用するこの施設では、つながるための工夫や協働しやすいスペース配置など、利用者のことを考え細部にわたり計画しました。
Director
横溝 信彦
Nobuhiko Yokomizo