デジタルとアナログが融合した空間。
「きっと何かが見つかる」をテーマに自由な発想と主体的な学びを促す図書館。
名古屋外国語大学・名古屋学芸大学の日進キャンパス内にある中央図書館は、学生の学びの場だけでなく、日進市の生涯学習の場として地域住民にも利用されてきた。
同キャンパス内マルチメディアラーニングセンターの中央図書館への移設を機に1階・2階の全面リニューアルを実施。2021年4月より運用を開始した。
新たな図書館は「きっと何かが見つかる」創造的な空間となった。
外観
外観
日進キャンパス内の名古屋外国語大学と名古屋学芸大学の中央という好立地にある中央図書館。地上5階地下1階の建物で約30万冊の蔵書を所蔵。1階・2階のリニューアルによって図書館全体のさらなる活性化を目指した。
中央図書館 2階
中央図書館 2階
中央図書館2階を東側から見る。写真右から2階カウンター、東西を貫く抜け感のある通路、検索テーブル。奥には半個室ブースや個室が見える。目的に応じた多彩な学びの空間になっている。
2階 自由自在の半個室「陶( toki)」
2階 自由自在の半個室「陶( toki)」
大型ディスプレイを備えた個室は、プレゼンテーションや映像作品の展示、グループワークなど、アイデア次第で自由に使える。各室には地域文化や歴史を表す室名・デザインが施されている。黄色がテーマカラーのこちらの部屋は瀬戸焼きをイメージした「陶( toki)」とネーミング。
個室の周囲には内外の雰囲気を感じながらリラックスできるフリースペースを備えた。
2階 自由自在の半個室「茶(sado)」
2階 自由自在の半個室「茶(sado)」
西尾抹茶のグリーンをテーマとした個室「茶(sado)」。ガラス張りで空間に広がりを与えるだけでなく、学生の活動が空間ににじみ出ることで、新たな発見が生まれる。
2階 学生の様々な活動に応えられる場
2階 学生の様々な活動に応えられる場
窓際にはひとりで学習できるスペース、通路沿いに個人ブースを設置。写真左はふたりで作業ができるスペースとなっている。ひとりやふたりで集中して学習したり、読書に没頭するなど、学生の様々な活動に応えられる場を用意。
2階 閲覧コーナーと学習のための個室「宮(Miya)」
2階 閲覧コーナーと学習のための個室「宮(Miya)」
手前は大型天板デスクを配置した閲覧コーナー、ガラスパーティションの奥はグループ学習のための個室「宮(Miya)」。
1階 学生の自由な活動を支援する場
1階 学生の自由な活動を支援する場
小上がりスペースは、学生の自由な活動を支援する自由席。イベント時には大型ディスプレイを観覧する席としても活用。
1階 キャンパスライフの情報発信基地「N-Base」
1階 キャンパスライフの情報発信基地「N-Base」
キャンプサイトの芝生の上で焚火を囲んで談笑するように、コミュニケーションスペースとしてイベントや授業にも使え、大型マルチディスプレイを活用した情報発信も可能なスペース。
1階 リフレッシュスペース「N-Lounge」
1階 リフレッシュスペース「N-Lounge」
中庭の延長のような心地良い「N-Lounge」は雑誌や新聞架のあるリフレッシュスペース。
1階 リフレッシュスペース「N-Lounge」
1階 リフレッシュスペース「N-Lounge」
これまでの図書館の概念を払拭し、街のブックカフェのようにドリンクを飲みながら新聞や雑誌を閲覧できるビッグテーブル。学生に特に人気の高いスペースとなっている。
遊び心を感じる描画アート
遊び心を感じる描画アート
壁面の所々には、人や動物、景観や日本文化を取り入れた描画アートを採用。1階は、学生が自然と交流する場のイメージに合わせ、野外のイメージを取り入れたアートを展開。2階は、学生に気づきを与える日本文化の要素を取り入れたアートで気づきと学びを演出しています。
自然を感じる描画アート
自然を感じる描画アート
「N-Lounge」は、屋外に開放的な空間と、小鳥のさえずりが聞こえて来るかのような心地よさを取り入れた、鳥のアートで演出。
自然を感じる描画アート
自然を感じる描画アート
エントランスホールから最初に目にする「N-Base」は、火を囲み談笑する雰囲気から望む景観をイメージした木々のアートで演出しています。
自然を感じる描画アート
自然を感じる描画アート
2階は、日本の文化を空間アートに取り入れ、国際色豊かな学生たちが、日本の文化に触れ、自らが調べるそんな気づきを演出しています。
User’s Voice
名古屋外国語大学・名古屋学芸大学図書館
課長
守田正江氏
空間デザインやシステム構築の前に、ワークショップを提案いただき実施したことで、メンバー全員で意見交換ができ、改修の方向性を見定めることができました。プロジェクトを通して「居心地の良い場所」ということは常に意識していました。
現在1階の「N-Base」はイベントや動画配信などに、「N-Lounge」は飲み物可ということで学生に人気です。2階の個室も積極的に活用されています。図書館の可能性を広げるアイデアもいただいたので、今後の取り組みに活かしたいと思っています。
Comment
Designer
下園 拓也
Takuya Shimozono
今回のプロジェクトは、中央図書館の活性化を目的とし、図書館とメディアラーニングセンターを融合させ、学生に利用してもらうにはどうしたらいいか?を考えるところからスタートをしました。
コロナ禍で学生が登校できない時期に、企画検討を進める事となり、実際の利用状況を把握できない事態は想定外でしたが、逆にプロジェクトメンバー全員が、先入観に囚われず、思い切った発想の転換を行い、空間、インテリア、家具、ICTやアートなど総合的にデザインに活かすことが出来ています。
リニューアル後は学生も戻り、思い思いの過ごし方で図書館の利用が促進されています。
Designer
武田 勇
Isamu Takeda