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ウィズコロナの今も、地震の脅威から逃れることはできない。ならば、できる限りの「減災」を。~働く場を守る、イトーキの挑戦~
南海トラフ地震や首都直下地震を始めとした大地震が、今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字で予想されている中、ウィズコロナで迎える防災の日。新型コロナウイルスで経験した、"日頃からの備え"の重要性を再認識した人も多いと思います。
今回は、働く場を守る、減災建材シリーズを開発したチームのストーリーをお届けします。

オフィス家具のイトーキが、なぜ地震対策の製品を?
大地震に向き合い、挑み続けた製品開発
内田
当社は業界で唯一振動試験室を保有していることから、大地震を想定した振動試験を実施しやすい環境下にあります。日々開発しているプロダクトにおいても、地震に対する品質確認を入念に実施しておりましたが、東日本大震災をきっかけに、"想定"を超える大地震にも耐えるパーティションの必要性を強く感じ、減災建材シリーズの開発に着手しました。
まずは震度7クラスの大地震にも耐える「高耐震間仕切G」、続いて天井の崩落を防ぐ「制震間仕切X」を開発しました。その後、当社はオフィス総合メーカーなので、パーティションの枠組みに捉われず、これまでのノウハウを地震時に最も被害を受けている収納庫に応用したいと考え、転倒防止ユニット「L-FORCE」の製品化に挑みました。これらの減災建材シリーズは、いずれもメンバーの減災に対する飽くなき探求が生んだ製品で、それに誇りを持っています。

建材事業本部 関東工場 開発課 課長 内田隆博
減災建材のはじまり~大地震でも倒れないパーティション

松山
私は、減災建材シリーズの走りとなる「高耐震間仕切G」の開発を担当しました。東日本大震災の直後、建物内部のパーティションが倒壊したという報告を受けた時の衝撃は、今でも鮮明に記憶しています。
内田の話にもあった通り、想定"外"の地震にも耐える製品開発の必要性を強く感じ、まず設計面ではこれまでの延長線上ではなくゼロベースで検討し、大地震の揺れを吸収する新機構の設計からパネルを引っかけるフックの長さまで抜本的に見直しました。
また品質面では向き合うべき基準は何なのか、当時お付き合いをしていた某設計事務所様と議論を重ね、今後の大地震に立ち向かう上で避けることはできない、層間変位1/40(※)という非常に厳しい基準を設定し、幾度となく振動試験を繰り返し、製品化に成功しました。
製品化した際は、単純にモノができた喜びもありましたが、これが広く普及して一人でも多くのワーカーの安心安全を確保したいという思いが勝りましたね。
今は減災建材シリーズの担当からは外れ、新しいガラスパーティションの開発を中心に担当していますが、地震に向き合う姿勢はその時の経験から不変のものとなっています。
※パーティションの通常の層間変位基準は1/100

建材事業本部 関東工場 開発課 開発設計1チーム チームリーダー 松山仙治
パーティションで天井の崩落を塞ぐ新たな挑戦

川井
私は、第2弾となる「制震間仕切X」の開発を担当しました。この製品は古い建物(在来工法による吊り天井)に入居されておられるお客様向けの製品です。建物自体の耐震性能は長足の進歩を遂げており、首都圏の大規模再開発などの進行に伴い、安全な建物が増えています。それに追従するかたちで非構造部材の耐震化も必要との考えで、松山が開発したのが「高耐震間仕切G」なわけですが、その一方でそういったビルに入居されておらず耐震対策にお悩みのお客様の声も多くいただいていました。
古い建物に多く採用されている在来工法による吊り天井は地震時に揺れやすいという特徴に加え、耐震補強が十分ではなく大地震の際には崩落する危険性が極めて高いことが課題でした。
その課題に天井下に立てるパーティションでアプローチできないかと考え、製品化したのが制震間仕切Xです。パーティションの内部に、ブレースとダンパーを内蔵することにより天井の崩落リスクを低減する独自技術を生み出すことに成功しました。またこの製品では構造計画研究所と構造解析を行い、広範囲で性能を発揮することが確認できました。減災建材シリーズに"選択肢"を増やし、あらゆるシーンに対応可能になったことで提案の厚みが増したと自負しています。
建材事業本部 関東工場 開発課 開発設計2チーム チームリーダー 川井達樹治

これまでのノウハウを生かし、収納庫の転倒防止へ着手

田中
第3弾となる収納庫の転倒を防止する「L-FORCE」の開発を川井と共に担当しました。 当時入社間もない頃で、パーティションの設計部門に配属されて、まさか収納庫の設計に関与するとは夢にも思いませんでしたね。
減災建材シリーズはいずれも業界屈指の耐震性能を有しておりますが、その性能を発揮するために、壁面に収納庫を固定できないという課題がありました。また、東京消防庁のガイドラインなどにはパーティションにL型固定金具で収納庫を固定すると天井や壁を巻き込み倒壊する危険性が示唆されていたこともあり、当社のプロダクト上の課題と現状対策の危険性を回避する転倒防止対策の開発に乗り出したわけです。
そういったバックボーンから商品化された「L-FORCE」は、床への固定が一切不要で、壁面下部の巾木という箇所にわずか6本のビスを固定するだけで、熊本地震を教訓に設定した震度7クラスの大地震が連続2回来ても収納庫が転倒しないという品質目標をクリアした製品です。
パーティションという枠組みに捉われず、オフィス空間の安心安全に寄与することは何でも取り組む姿勢に刺激を感じました。今では先輩方に負けない新たなプロダクトの開発に挑戦しています。

建材事業本部 関東工場 開発課 開発設計2チーム 田中雅典
イトーキは、近い将来に再び起こり得る大地震に備え「地震に強い」空間づくりを考えました。たどり着いた答えが、ポイントを見極め、その場所をしっかりと護る「減災」という考え方です。
これからもイトーキは減災のパイオニアとして、これからも走り続けます。

関連製品
高耐震間仕切G」製品ページ:https://www.itoki.jp/products/zoning/partition_g/
「L-FORCE」製品ページ:https://www.itoki.jp/products/zoning/l-force/
報道関係者
お問い合わせ先
株式会社イトーキ
コーポレートコミュニケーション部
TEL:03-6910-3910
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