ニュースルーム

株式会社イトーキ（本社：東京都中央区、社長：湊 宏司）は、トヨタ自動車株式会社（本社：愛知県豊田市、代表取締役社長兼CEO：佐藤恒治）が展開する「TOYOTA UPCYCLE」と連携し、両社の製造工程で発生する廃棄素材の再活用に取り組む家具開発を推進しています。今回その一環として、両社の廃棄プラスチックを用いてアートテーブルとアートスツールを製作しました。実験的に製作されたこれらの家具は、まずはトヨタ自動車本社に設置しています。

自動車、オフィス家具を製造する過程では多種多様で多くの量の廃棄物が生まれます。いわゆる「製品になれなかった素材」は様々な方法でリサイクルを試みられ、別のかたちで製品になれるものもありますが、どうしてもリサイクルが難しくそのまま廃棄されるものが一定数存在しているのが現状です。
今回アップサイクルの対象としたのは、両社のプラスチック成形工程で発生するパージ材。強度が非常に高いものやカラフルで美しい外観を持っているものなど様々な性能・魅力を持っているにも関わらず、製造工程上そのポテンシャルが活かされないまま廃棄されているプラスチックです。
廃棄物ゼロの未来を目指して、アップサイクルの手法でこれらの素材に新たな価値を与えることにチャレンジしました。

燃料電池自動車MIRAI（ミライ）などに搭載される水素タンクの製造プロセスで発生するナイロンパージ材を削り出してサイドテーブルとスツールに生まれ変わらせました。宝石のカットのような平面的な面取りを施すことで偶発的な模様や光の反射が生まれ、素材が持っている大理石のような表情を引き出しました。あえて切削しない面を一部残すことで、元のパージ材が持つ力強さを残しつつ、この家具が生まれた背景にも思いを巡らせる仕掛けとしました。
・廃材排出：トヨタ下山工場　水素タンクナイロン樹脂成型工程
・プロダクトデザイン：イトーキ商品開発本部　プロダクトデザイン部　渡邉有花子・上田雄翔
・設計、組立：イトーキ生産本部　技術開発室　澤田浩一、チェア第1開発設計室　南星治
・切削加工：トヨタ下山工場　水素開発製造部

イトーキでは今回の共同プロジェクトとは別に、自社工場から排出される廃材を活用した家具の開発にも取り組んでいます。タスクチェアの樹脂成型品を製造するプロセスで発生するカラフルなポリプロピレンパージダンゴを集め、溶かしながらプレスしボード化することで、絵具を混ぜ合わせたような表情が生まれました。この抽象絵画的な特徴的な模様が主役になるよう、シンプルなフォルムのスツールをデザインしました。板材にスリットを入れパーツ同士を差し込みあう構成にすることで、ネジや接着剤の使用量を抑えながらも十分な強度を確保しています。
本製品は、今回の取組の一環でトヨタ自動車本社オフィスへの試用設置を行っています。
・廃材排出：イトーキ滋賀チェア工場　トルテUチェア樹脂成型工程
・プロダクトデザイン：イトーキ商品開発本部　プロダクトデザイン部　渡邉有花子
・設計、組立：イトーキ生産本部　技術開発室　澤田浩一、チェア第1開発設計室　南星治
・ボード加工：株式会社REMARE

この取り組みでは、デザインの力で廃棄物に新たな価値を与えることを通して、廃棄物を生み出す側・プロダクトを使う側双方の課題解決を目指します。そのためには企業の壁を越えて多くのパートナーとともにアイデアを出し合いながら多種多様な廃棄物に対するアップサイクルの手法を増やし、消費者としても廃棄物の現状を知り、新たな価値に気づき、楽しむことで、出口のバリエーションを増やしていくことが必要だと考えています。
「もったいない」が「もっといい」に変わり続ける未来、廃棄物がゼロの持続可能なものづくり社会の実現に向けて、まずは目の前にある廃棄物を活かすことから始めていきます。
同じように廃棄物の処理に悩まれている製造業の方、このビジョンに共感いただける方からのお問い合わせをお待ちしています。