突然ですが、いま、どんな椅子に座っていますか?
在宅ワークでは、1日8時間以上ほぼ座ったまま、ということも多いもの。これを経験して初めて、「オフィスの椅子ってラクだったんだ……」と気づいた人も少なくないはずです。
「長時間座って仕事をするのだから、オフィスと同じような椅子を用意しようかな」と思って、オフィスチェアを調べてみた方もいるかもしれません。でも、オフィスにいると気づかないんですが、職場の椅子の持つ雰囲気っていかにも「職場!」って感じがするんですよね。そう、自宅のインテリアにはあまりマッチしないことがほとんどだと思います。
そこで、イトーキは考えました。こんな時代だからこそ、オフィスの椅子と自宅の椅子、どちらもイイとこ取りをしたものが作れないかな?と。さて、それはどんなカタチに仕上がったのでしょうか。
目をつけたのは、意外や意外、「ゲーミングチェア」だったんです。
文 WORKERS happiness編集部 相川ちえ
えっ、ゲーミングチェアを【暮らし仕様】に!?

株式会社イトーキ パーソナル環境事業統括部 平社直己さん
じゃん。これが、いわば【暮らし仕様】のゲーミングチェア、その名も「X FOCUS CHAIR」。長時間座っても疲れないゲーミングチェアをベースに、インテリアになじむテイストを追求したのだとか。
たしかにゲーミングチェアってふつう、黒を基調に赤や青のラインが入っていたりと、いかにもサイバーな感じですよね。それに比べると、なるほど生活の中にしっかり溶け込みそう。
こちらをデザインしたのは、パーソナル環境事業統括部のメンバー・平社直己さん。このチェアの開発秘話を、直接伺ってみました。
驚きのハイブリッド発想で、機能性と調和を両立
平社さん:いま、世界的に「eスポーツ」が盛り上がっていますよね。それと同時に、長時間座っていても疲れない椅子として、ゲーミングチェアもよく知られるようになりました。その快適性はもしかしたらオフィスチェアよりも利にかなっているのでは?という考えから、この椅子が生まれたんです。いわば、ゲーミングチェアとオフィス家具、そしてリビング家具のハイブリッド発想ですね。
―こ、これはカッコいいですね! それでいて落ち着いたテイストで、たしかにリビングになじみそう。
平社さん:じつは私自身も自宅で仕事をするときに使っているんですが、これはいいですよ(笑)。135度までリクライニングができるので、「ちょっと休憩」というときにぴったりなんです。また、肘掛けの高さが変えられることもポイント。自宅に置きやすいデスクは奥行きがないことが多いですが、そんなコンパクトなスペースでもひじを置いてキーボードやマウスの操作ができるんです。1日働いたあと、肩の疲れが少ないことに気がつくと思います。

リビングに置くとこんな感じ。な、なじむ〜
―たしかに、1日8時間座っているとしたら、いわば人生の3分の1も座っていることになるんですもんね…。これからは、ちゃんと選びたいと思います。
平社さん:おそらくこれからも、在宅ワークはますます浸透してくると思います。仕事とくつろぎの空間がミックスされていく、そんな方向性を感じながら開発しています。限られた空間で、同じものを使いながらも状況に応じて違う機能を発揮させる。そういった運用の仕方になるのかなと思います。そのニーズへの答えを示すことが、これからのミッションであると感じています。
◇ ◇ ◇
ちゃんとした椅子は、思った以上にときめきました……。
「在宅ワーク」と「オフィスワーク」、そして「暮らし」と「仕事」。ざまざまなものが混ざり合っていくこれからの時代は、いわば私たちにとって一つの試練であるとともに、これまでには考えられなかった楽しいものが生まれる大きなチャンスでもあるのかもしれません。