ITOKI Feel So Wood

木のはなし森林の話

森からオフィスに
木がやってくる

オフィス空間での木の利用が増えてきました。
木材の需要が拡大し、木の伐採が増えてくると、森はどうなるのでしょうか?

木を使いすぎると、
森が破壊される?

「Feel So Wood」は、「目で見て触って心地の良さを感じる」をコンセプトに、イトーキが木を活かして作る新たな製品群です。これまでスチールなどを材料とした家具が中心だったオフィスに木を使った家具や内装を取り入れて、より居心地の良い空間を生み出すことを提案しています。

オフィスの中に木の家具や内装が増えていくと、もちろん木はその分だけ必要になります。このことから、オフィスでの木材需要が増えると、木の伐採がこれまでよりも増えていき、森林破壊につながるのではないか、と心配される方もいるかもしれません。

けれど私たちは、オフィスにどんどん木を取り入れることは、逆に豊かな森の維持に貢献すると考えています。なぜ、木の伐採が増えることが豊かな森につながるのでしょうか?

天然林と人工林

日本は、森林面積が国土の約7割を占める森林大国です。森林のうち約5割が自然の力で生まれ育った天然林で、多くは広葉樹林です。一方、約4割が人が木を植えて作った人工林で、そのほとんどがスギやヒノキなどの針葉樹林です。私たちが暮らしの中で利用する木材の多くは人工林からやってくる針葉樹ですが、自然林や人工林からの広葉樹も利用されています。

人工林は、自然にできあがった森林ではありません。木材を生産するために人が作り出した木の畑のようなものです。木を植えてから伐採するまで、下草刈り、間伐、枝打ちなど人が手をかけ適切に管理し、伐採適齢期になったら伐採し、そしてまた植えていくことが大切なのです。適切な管理をせずに放置された森は、放置された野菜畑と同じように荒れていきます。

森は循環する

人工林は、「植える→育てる→伐採する→また植える」という循環をうまく回すことで、豊かな森林資源を維持していくことが可能です。育てた木は伐採し、切った分の木をふたたび人の手で植えていけば、森林が減ることはないのです。

もちろん、木を切りすぎると循環はくずれます。しかし、日本では戦後から高度経済成長期に伐採された森の跡地に植えられた木が年々増加し、資源として本格的に利用する時期を迎えているといわれています(図1参照)。木の年間の成長量は、年間の国産材の消費量を上回るため、森林資源は十分に持続可能な状態にあるのです。

健全で豊かな森林を適切に伐採し維持していく循環の観点からみると、これまで以上に伐採適齢期にある木の積極的な利用が求められています。木を伐採しながら、新しい木を植える循環を回していかないと、森林の高齢化が進み、将来世代に持続的な森林資源を残すことも難しくなります。

図1 スギ・ヒノキ人工林齢級(森林の年齢)別面積
グラフ横軸の齢級は、林齢を5年の幅でくくった単位です。苗木を植栽した年を1年生として、1〜5年生を「1齢級」と数えます。出典:林野庁ホームページ

さらに、森林の機能のひとつである温暖化防止という観点からも、適切な木の伐採は必要です。木は大気中から二酸化炭素を吸収し、その内部に炭素を固定する機能があります。図2のとおり、成長中の若い木は多くの二酸化炭素を吸収しますが、高齢化した木では二酸化炭素の吸収量が減っていきます。つまり、伐採適齢期に達した木はどんどん伐採し、新しい木を育てていかないと、森林による炭素の固定量が減少してしまうのです。

適切な伐採による森の継続的な若返りは、森林資源の持続の面だけでなく環境保全の面からも、とても大切なのです。

図2 樹種別・林齢別炭素吸収量
出典:長野県地域森林計画主要樹種林分材積表に基づく試算、グラフ作成:森林・林業学習館

どこで育った木なのか?

このように、適切に管理された森の木を伐採していくことは、豊かな森を維持するには不可欠です。ただし、そのような森の循環が成り立つためには、木が違法に伐採されていないことが重要です。豊かな森を維持していくための伐採は、適切に管理された森林であるからこそ可能であり、どこの森の木なのかが明確になっている必要があるのです。

このような考え方は、トレーサビリティと呼ばれています。

トレーサビリティとは、その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのかを、原材料の調達・加工・生産・販売などの工程で記録し、追跡可能な状態にしておくことです。トレーサビリティの考え方は、森林資源を適切に利用するために、今後ますます重要性が高まってくると考えられています。

トレーサビリティは、消費者にとっても信頼性の高い製品を選択するための情報となります。特に木製品では、豊かな森の維持に貢献する製品を選ぶための重要な手がかりとなります。

Silta(シルタ)ができるまで

“木の心地よさ”と“ロングスパンの美しさ”を兼ね備えたビッグテーブル「Silta(シルタ)」。私たちは、東北地方の森林産地、木材市場、木材加工、研究機関の皆さまと協働することにより、量産に近い形での安定供給を実現しています。

『Silta 源流の旅』

ここでは、「Silta」の天板を一例として、トレーサビリティという考え方を、多くの方に楽しみながら体験していただくために、森からオフィスへ木がやってくるまでの全工程を追いかけたショートムービー『Silta 源流の旅』をご覧いただけます。

イトーキでは、他の製品でも「Silta」と同様にトレーサビリティを構築し、安心して製品をお使いいただけるよう取り組んでいます。

岩手県盛岡市
秋田県北秋田市
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青森県弘前市
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