
経済産業省 様
オフィス環境整備と
オフィスワーカーの健康
との関係性
経済産業省の中でも「健康経営」を推進するヘルスケア産業課を含む部門が同じビル内でフロア移転。フリーアドレスの実施を目指して執務席以外のスペースを充実させ、オフィス環境整備が職員のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか、特に健康状態の観点から評価しました。
プロジェクトの経緯 フロア移転にあわせてフリーアドレスの実施を目指し空間バリエーションを用意
経済産業省別館3階にオフィスを構えていたヘルスケアユニット(ヘルスケア産業課、医療・福祉機器産業室・生物化学産業課の3部署)が同じビル内の別フロアに移転しました。移転後の新しいオフィスではフリーアドレスの実施を目指し、フレキシブルレイアウトへの対応ができるように変更。Web会議用個室ブースやソファスペース、立ち会議スペースの設置など、いわゆる執務席以外のスペースを充実させました。

立ち会議スペース
導入動機 オフィス環境整備と「健康」の関係への関心喚起
「健康経営」をはじめ、健康に関わる産業創出を促進する部署の移転プロジェクトであったため、自分たちの職場環境においても、新しいオフィス環境整備によってそこで働く職員の「健康」や働くコンディションにどう影響があるのか、データ検証に関心がありました。
実施内容 移転前後で働き方サーベイと位置情報による稼働調査を実施し比較
移転前後に、職員の位置情報から取得したオフィスの利用状況分析と、個人と組織のコンディションを計測するサーベイを実施しました。その二種類のデータを掛け合わせて、オフィス環境を整備したことによる働き方の変化、職員の健康やワークエンゲージメントの変化を確認しました。
導入効果 パフォーマンススコアが向上。オフィス環境改善
移転前の調査でも、職員の能力発揮度を示す「パフォーマンススコア」全体は全国平均よりも高かったのですが、詳細を見ると、身体や健康に関わる要素指標のひとつ「ロコモ」には課題があることが分かりました。
移転後の調査では、パフォーマンススコア全体が向上していますが、その要因を確認すると、「快適性」「清潔」「休憩」などオフィスでの働き方に関わるスコア改善によるものが大きく、一部音環境の課題(赤枠)はあるものの、環境整備によるコンディション改善への貢献(青枠)を確認できました。
具体的には、オフィスの使用状況と掛け合わせて分析してみたところ、たとえば身体運動を促す「立ち会議スペース」の利用時間が長い職員ほど、「ロコモ」に関係の深い「身体活動」「健康意識」因子のパフォーマンス改善の相関が見られました。

パフォーマンススコアの高い人/低い人が利用するエリア

立ち会議スペースの利用時間とパフォーマンススコア
「健康」に対する意識やリテラシーの高い職員ほど積極的に「立ち会議スペース」を利用し、パフォーマンススコアをあげられたことが分かりました。
今後への期待 オフィスワーカーのオフィス空間活用リテラシーにもヒントが
働く場所や環境整備によってパフォーマンスが上がるということが数字で明確に成果として分かりました。それだけでなく、そこで働く職員の意識やリテラシー向上にも影響があるということは発見でした。
今回の実証データを基に組織内部にも発信していくことで、立ち会議スペースを活用して会議時間を短縮する等、生産性高くパフォーマンスを高めることを各人が意識し、行動変容につながっていくことを期待しています。