10.LANシート

ICTソリューションの先駆者となった
ネットワーク通信システム。

2008年発売のLANシートは、電波を飛ばさずシートに封じ込める、それまでにないネットワーク通信システムです。現在イトーキが提案している数々のICTソリューションの、先駆けともいえる製品です。

※LANシートは、デスクにセットするだけで、簡単にネットワークに接続できます。電波の過剰な飛散を防ぎ不正アクセスなどのリスクを回避することができます。

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SR…ショールームスタッフ

秋山…ICTメディア研究室 室長  秋山 恵

吉川…ICT事業企画開発室  吉川 洋

SR:今回ご紹介するのは、2008年グッドデザイン賞金賞を受賞した二次元LANシステム「LANシート」です。秋山さん・吉川さんにお話を伺います。
まず始めに、LANシートを開発するに至ったきっかけや、当時の市場、時代背景を教えてください。

秋山  恵

ICTメディア研究室 室長。二次元通信の技術をLANシートとして企画し製品化した。

プロダクトデザイン室 室長 櫻井多弥男

吉川  洋

ICT事業企画開発室。お客様と直接対話し、LANシートの優位性を説明する販売推進を担当した。

品質保証部 部長 管智士

秋山:当初、 ICT技術を活用するという開発テーマは上がっていませんでしたが、市場でのICTソリューションへのニーズが年々高まりを見せていました。イトーキ内でも、快適なオフィス空間をデザインするには、ICTを効果的に活用した製品の開発が必要という意向が生まれていました。そんな中、イトーキの中央研究所より、今後期待がもてると注目している技術を紹介されました。それが、株式会社セルクロス社の保有技術である二次元通信です。当時はまだ有線LANが主流で、無線LANも認知されていない時代でしたので、非常に新規性が高い技術だと感じました。そして、これをイトーキのICTソリューションの先駆けにしようと決意しました。結果的には、新規ビジネスの立ち上げができました。開発時は大変なこともありましたが、新しいことにチャレンジしているワクワク感もありました。

SR:有線と無線の間の機能である二次元LANシステムは、確かに新規性が高いですね。LANシートを販売し始めて反響はいかがでしたか?

秋山:2008年の新製品発表会(ITOKI PRESENTATION)で、LANシートのお披露目をしました。社内での反響は大きかったです。前年にスピーナチェアがグッドデザイン賞を受賞し、この年はLANシートが受賞。2年連続の受賞で、社内は沸きました。しかし、有線LANを利用されているお客様に無線LANを説明するだけで一苦労。さらに、”シートに置くだけで、PCがネットワークにつながる「LANシート」”ですから、市場で販売には結びつけるには時間がかかりました。

SR:LANシートを開発する過程で、特にこだわった点や苦労したことはありますか。

秋山:初めてシートを見た時、通信としての機能は満たしているが、机上面に置くにはデザインの改善が必要だと感じました。特に、格子状のメッシュの見え方にはこだわり、丁度いい格子模様の出方を生み出すのに試行錯誤しました。また、新ジャンルの製品という事もあり、最初から多種類のシートを販売するのは厳しく、木目調・白天板など、様々な天板色に合うシートの色を生み出すのに苦労しました。加えて、開発以外でも、品質基準の策定では中央研究所や品質保証部と試行錯誤で作りあげました。更に、通常は仕入や物流や売掛などの部門で調整する、価格、物流や施工の体制、業務処理についても、社内に機能がないため開発担当で対応したのは大変でした。

SR:主張しすぎないLANシートの色・デザインは皆さんの苦労とこだわりから生まれたのですね。また、物流・施工体制までも製品企画・開発の方が担当するのは非常に大変だったと思います。 秋山さんは、今後はどのような製品を開発していきたいですか。

秋山:ネットワークインフラの技術を担う製品であるLANシートを手掛けたことで、アプリやソフト等、お客様に向けてのパッケージ製品の重要性を感じました。これからは、LANシート単品でなく、組合せのソリューションを様々な会社と協業してオリジナルの提案を生み出していきたいと考えています。

SR:正にイトーキが目指し、取り組んでいる「ビジネステーマを共有し、企業の枠を超えたオープンイノベーションを実現する」というビジネスの手法を実践されているのですね。吉川さんは、どのような製品を開発していきたいですか。

吉川:LANシートは無線LANの規格に準じているので、今後制定される新しい無線LAN規格にキャッチアップした製品を生み出していきたいです。

SR:新しい無線LAN規格に対応することで、活用シーンが広がりそうですね。秋山さん、吉川さんにとってLANシートとは何でしょうか?

秋山:長く携わったオフィス家具の開発から大きく変化するきっかけになった製品です。それ以降、照明やフェイスアップテーブルや会議室予約表示システム・カンファリオなどの、ソリューション製品の開発に取り組みました。協業する企業も、NECDS、シャープ、ヤマハ、JVCなどのメーカーやソフトウェア開発会社と変わってきました。

吉川:イトーキの創業者のDNAが引き継がれている製品の一つ。企業理念の「創業者の旺盛な開拓精神を持ち続けよう」を実践した製品です。LANシートの原理である二次元通信を製品として市場に送りだし、LANシートというこれまでになかった製品で、世の中の役にたつことを発売以来追求しています。

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