第三者意見

立教大学 経営学部 教授/経済学博士 高岡 美佳

立教大学 経営学部 教授/経済学博士
高岡 美佳

評価できること

全体を通して、イトーキの環境・社会活動に関する考え方や具体的事例がわかりやすく紹介されており、良いレポートだと感じます。また、今回より、国際的な社会的責任の手引きであるISO26000に沿って構成され、海外に子会社をもつ企業にふさわしいレポートへと進化しました。本レポートには、お客様、社員、協力事業者、行政等のステークホルダーの声や現場の写真も多数掲載されており、顔の見える報告書となっている点も特徴です。

イトーキは、今年新たに『明日の「働く」を、デザインする。』というコンセプトを発表しました。トップメッセージにあるように、少子高齢化を背景に日本政府も「働き方改革」を推進しており、今ほど「働き方」が注目を浴びている時代はありません。イトーキでは、持続可能な共創社会の実現を目標とするUd & Eco Style「人も活き活き、地球も生き生き」というコーポレートメッセージと企業コンセプトを掲げ、人への配慮と地球への配慮の2つを融合させた製品を設計・製造すると同時に、発想を空間にも拡げて、毎日オフィスで働く人々が環境に配慮しつつ健康でクリエイティブに仕事をするためのソリューション提案を行ってきました。今回発表したコンセプトは、今後、日本で一層進むと考えられているシフト勤務やテレワーク、一人が複数の会社で勤務するマルチタスク化などをふまえた上で、「働く」をデザインする、つまり、新たな働き方のもとでもイトーキが行う提案によって持続可能な共創社会を実現するという信念の表れだと感じています。時代は変われども、本業を通じて社会に貢献するイトーキの姿勢を高く評価したいと思います。

特集では、日本各地の木材を使用して製作する家具「エコニファ」が紹介されています。「やま」と「まち」の両方を豊かで元気にするエコニファが取り扱う地域産材は2017年3月時点で42都道府県にまで拡大しています。森林は水資源の確保、生物多様性の保持、CO₂固定化による温暖化防止など地球環境を支える上で大きな役割を担っています。木材を製品化する企業として、地域材や国産材を活用した製品の積極的活用に取り組む姿勢を評価したいと思います。また、レポートを読むと、輸入材を含む木材全般に関しても、FSC・COC認証やPEFC・COC認証を取得し、JOIFA(日本オフィス家具協会)の認定を取得するなど、合法で持続可能な木材の調達・使用・販売に努めていることがわかります。

イトーキの環境・社会活動は高いレベルに達しています。環境面では、CO₂排出量を調達から販売した製品の使用・廃棄まで含むSCOPE3のカテゴリーまで算出し、事業活動の全段階でカーボン・マネジメントを推進しています。また、今年、イトーキ単体(本社・全生産拠点)が2008年から維持しているゼロエミッションをグループ会社2社が新たに達成しました。社会面では、「やまなし水源地ブランド推進協議会」への参画や全国各地の中小企業への特許技術の許諾を通じた事業創出サポートなど、地域経済の活性化に深く関与しています。大企業の社会活動はともすると形式的な金銭的援助や一方的なサポートにとどまりがちですが、イトーキの活動は地域が自律的に経済を回せるような仕組みをサポートするものであり、本当の意味での地域貢献だと言えるでしょう。今後もぜひ継続していただきたいと考えます。

期待したいこと

今回、『明日の「働く」を、デザインする。』という新たなコンセプトを発表したことをふまえて、来年はお客様に提供する製品・サービスに加えて、グループ内社員の「働く」についても社員とともにデザインしていただきたいと思います。2015年にダイバシティ推進室を設置、2016年は女性管理職比率が3.6%から4.2%に上昇するなど、ダイバシティマネジメントは確実に進んでいますので、満足度調査の結果をもとに、さらなる推進を期待したいと思います。

すでにイトーキグループ行動規範の中で定められていますが、ISO26000に沿って環境・社会活動を進めていくのであれば、「ヒューマンライツポリシー」(人権に関する基本方針)を別途制定・公開し、コミットすることを検討してはいかがでしょうか。

第三者意見を受けて

今回の環境・社会報告も、高岡先生からいただいた“宿題”に取り組むことが中心になりました。
一昨年のご提案を受け、一年間の準備・移行期間を経て、ISO26000の中核主題に沿って報告内容を再整理しました。この過程で、今日の企業に求められる社会的責任と、イトーキグループの取り組みのあり方について、私たち自身の認識がより鮮明になりました。今後は、推進体制を強化し、次の段階に進んでいきたいと考えています。
また、「『人』に注目した活動に焦点を合わせるとよい」とのご提案についても、私たちなりの取り組みを進めました。ダイバシティの推進の一環として、テレワーク勤務の試験導入を行ったほか、新しい勤怠管理システムや20時以降の残業禁止ルールを導入し、より働きやすい環境づくりに努めました。2017年2月には、「イトーキ健康経営宣言」を制定し、従業員の心身の健康へのコミットメントを内外に表明しました。今回の報告を通じて、人権についてのイトーキグループとしての基本的な考え方も整理できました。着実に前進できたものの、まだこれからです。新たなご提案をしっかりと受け止め、『人』に注目した活動をさらに進めていく所存です。

常務執行役員 管理本部長 森谷 仁昭

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