横石 崇株式会社&Co.(アンドコー)代表取締役・プロデューサー
TOKYO WORK DESIGN WEEK 主宰

横石さん、日本人は働き方を変えることができますか?

毎年11月に開催されている「TOKYO WORK DESIGN WEEK」は、経営者や有識者などを迎えこれからの働き方を考えるイベントです。これまで5回開催してのべ1万5000人を集めた、まさに「働き方の祭典」。主宰・横石崇さんのお話から、働き方の動向を知ることができました。

取材・文 安楽由紀子  写真・高井正彦

話を聞いた人

株式会社イトーキ 商品開発本部
先端研究統括部 ワークスタイル研究所

水谷 悠紀

55歳の来場者が急増?! 働き方の祭典とは

-- 横石さんが立ち上げた「TOKYO WORK DESIGN WEEK(以下、TWDW)」は今や、国内最大級の働き方イベントと言えそうです。2017年は登壇者だけでも100人以上、のべ数千人の方々が参加したと伺いました。

ありがとうございます。13年から毎年、「勤労感謝の日」の前後7日間に開催しています。17年は100人以上の登壇者を迎え、都内のみならず、大阪、逗子でもプログラムを開催しました。来場者は20代〜30代が中心ですが、17年は55歳の方々が一気に増えましたね。

-- 55歳?!

役職定年にあたる方々です。お名刺を拝見すると「元部長」なんて肩書きがついている方も(笑)。働き方というより、生き方を考えるきっかけにして頂いているようです。TWDWは「働き方の祭典」と銘打っていますが、働き方を通じて、自らの生き方や価値観を見直す場になっているのが特徴です。

-- イベントを立ち上げたきっかけを教えてください。

東日本大震災、そしてリンダ・グラットンの『ワーク・シフト』(2012年、プレジデント社)を読んだことがきっかけです。世の中の価値観や生き方が揺れ動いていた時期で、私も勤めていた広告制作会社を震災後に辞めました。

影響を受けたのは、今でいう「ホラクラシー」的な働き方をする人たち。ヒエラルキーやトップダウンではない組織を好み、自ら主体的に働く人たちを指します。このような働き方をする方々を繋げるプラットフォームを作りたいと思うようになって。はじまりは5〜6人の勉強会でしたが、徐々に大きくなりました。

感動のあまり泣いてしまう人もいます

-- 毎年、異なるテーマを設定されているんですね。

はい。根幹には「働き方、肩書き、働く場所はひとつではない」というコンセプトがありますが、年によってテーマを変えています。1年目の13年は「ARE YOU READY FOR THE FUTURE OF WORK?(未来の働き方の準備はできているか?)」でした。働き方が大きく変わる機運があったからです。その後も「DISCOVER the FUTURE of WORK」「Building Creative Leadership!」のように、時代や世相に合わせてテーマを変えています。

また登壇者が発するキーワードにも世相が表れます。ある年は「コミュニティ」について語る方が多く、働く人たちが社内外でどう繋がるか、共創するかに興味が集まっていました。が、翌年は個々の主体性が重視されており、「リーダーシップ」というキーワードが多く聞かれました。

-- 「働き方」には、実に多くのテーマが含まれているのですね。

肩書きが「doing」だとしたら、そこに見えない自分のありかた、人となりは「being」です。「働き方は生き方のインターフェース」と言われますが、働き方が生き方に表れるし、生き方が働き方に表れるんです。

講演やワークショップに参加して人生観が大きく揺さぶられ、感動して泣きはじめる人もいます。ちなみに運営メンバーは20代を中心とした150人ほどのボランティアで構成されていますが、約7割がTWDWに関わったあとに転職や独立などに踏み切っています。

カラオケルームがワークプレイスに?!

-- 企業で働くだけでなく、地域に貢献するなど、さまざまな"働く"が生まれています。今後、働き方はどのように変わると思いますか。

「役職から役割へ」という流れは止まらないでしょう。それは「会社からチームへ」という流れでもあります。ヒエラルキー型の組織で仕事を動かす時代は終わり、メンバーの役割が重視される。

役職は「タイトル」で表現されますが、役割は「タグ」で表現されます。「プログラミング」「イベントプロデュース」「AI」など、自らの興味や強みが「タグ」です。そのタグを掛け合わせたら、その人の働き方や生き方になる。タグをAIに解析させたら、会社を超えたドリームチームが生まれるかもしれませんね(笑)。

-- 働く「場」についてはどうお考えですか。

プロジェクトルームがたくさんできるといいですね。これからの組織は、固定化されたものではなく、プロジェクトごとに縦横無尽に構成されていくと思うんです。カラオケルームのあるビル一棟をまるごと買い取って、プロジェクトごとに使えるようにする。「蜂の巣のようなプロジェクトルームがたくさんあるオフィス」のようなイメージです。山手線各駅にそんな場所があるといいですね!

-- 面白い発想ですね! 最後に「働き方の祭典」を5年続けてこられた横石さんに質問です。日本人は働き方を変えられると思いますか?

労働時間を短くし、遊ぶ時間を増やそうとするのが昨今のトレンドですが、日本人ってなかなか遊べない人たちだと思います。遊ぶって難しくないですか。プレミアムフライデーも「仕事を切り上げて飲みに行こう」と提唱しましたが、むしろ「自己成長に時間を割こう」と呼びかけた方がよいのではないでしょうか?「労働しない」のではなく、むしろ働くことを前向きに捉える方向です。

日本は国民の三大義務に「勤労の義務」を掲げていますよね。そして勤労を通じて、人々が感謝しあえる風土もある。これ、とても素敵な文化だと思うんです。17年のTWDWのテーマは「勤労に,感謝を。」でした。AIとの共生で「人は働かなくてもよくなる」と言われる今だからこそ、勤労が尊いもの、幸せなものになると私は感じています。

横石さんにとって「働く」とは?

働き方は家庭の問題でもあります。実際、我が家にも1歳の子どもがいて育児に追われている。「働く」前に、目の前の生活や人を大切にする。それが私の働き方です。

横石 崇(よこいし たかし)
1978年大阪市生まれ。多摩美術大学卒業後、テレビ局グループ会社、広告制作会社、人材紹介会社の役員を経て、2016年に&Co.設立。2013年から「TOKYO WORK DESIGN WEEK」を開催するほか、ブランド開発や事業コンサルティング、クリエイティブプロデュースをはじめ、人材教育ワークショップやイベントなどを行う。やさしさの学校「NEW_SCHOOL」、旅する勉強会「ラーニングキャラバン」主宰。著書に『これからの僕らの働き方:次世代のスタンダードを創る10人に聞く』(早川書房)。

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