(前編)実際のところ、ABWは成功したのか?ITOKI TOKYO XORKでの3年間の実践の成果と課題

COLUMN
2021/12/22

2018年11月、ITOKI TOKYO XORKは、WELL Building Standard™水準の空間品質を持ち、またActivity Based Workingを実践できる日本の最先端オフィスとして産声をあげました。約850名の社員がこの場で新たなワークスタイルに挑戦する姿をお客様に見ていただくことを使命とし、この3年間で7,000社・25,000名以上の方に見学にお越しいただきました。ご見学いただいた方の反応はさまざまで、「こんな働き方があるのか!」と驚かれる方、運用面やマネジメントの難しさを懸念される方などもいらっしゃいました。

ご来場いただいた方には、私たちがこのワークスタイルで何を成果として得ているのか、またどういった課題が残っているのか、ということを当社社員より体感を交えながら包み隠さずにお話ししております。ですが今回、より広くご覧いただくために、こちらのコラムにて私たちのこの3年間の歩みと成果、今後に向けての課題をお話ししたいと思います。

生産性実感は年を追うごとに向上

まずオフィスで自身が生産性高く働けていると実感しているワーカーの割合(以下、生産性実感)については、2021年調査では、XORK移転前の32.4%から77.0%と、大幅に向上しました。ここで着目していただきたいのが、移転後も年を追うごとに向上しつづけているという点です。オフィス移転を行うと、その直後はオフィスが綺麗・快適になった高揚感から各種指標が大きく改善するものの、その後は数値が伸び悩んだり、低下してしまったりするということが起こりがちです。そういった傾向とは異なり、今なお改善し続けている要因として、私たちは「ABWは習熟を必要とする働き方である」ことがその理由だと考えています。

ITOKI TOKYO XORK 在籍ワーカー 生産性実感推移

ABWを実践するにあたってワーカーやマネージャーが知らなければいけない事項は多岐にわたります。例えばワーカーであれば「自分の業務や行動を活動*1に分解してみる」というプロセスや、「活動に合わせた場所を選んで働く習慣とその効率性」「他者の活動を妨げないエチケット」や、「効率的に働けるような事前のスケジューリング」「ペーパーレスで働く方法」なども含まれるかもしれません。マネージャーであれば、部下の状況を遠隔で把握する方法や信頼をベースにしたマネジメントなどが挙げられます。それらは事前のEラーニングや説明会などでも必要性について説明を受けるものですが、実際に自分で実践してみてはじめて、そのやり方や必要性、効果について腹落ちしてくるものです。 最初は誰もが新しい働き方に戸惑いを感じますし、うまくできるわけではありません。適応のスピードには個人差もあります。即時に結果を求めない忍耐力がABWの成功のためには必要です。

*1 活動については、こちらをご参照ください。

パンデミックによる在宅勤務推奨にも速やかに対応

またもう1つの大きな成果として、2020年から始まった新型コロナウイルス流行に伴う在宅勤務推奨にスムーズに対応できた、ということが挙げられます。当社は2020年2月27日に、在宅勤務を推奨する旨を社員に通達しました。初回の緊急事態宣言発出(同年4月9日)の1ヶ月以上も前に、早期に在宅勤務を中心とする体制に移行することができたのです。その後感染状況により多少オフィス利用の頻度に変化はありながらも、現在までオフィスの滞在率制限を行いながら業務を行っております。

在宅勤務の実施状況

2020年にITOKI TOKYO XORKのワーカーを対象に実施した調査でも、「ABWをオフィスで実践していたことで、在宅勤務の移行がスムーズにできた」「特に不便を感じなかった」という声が多く聞かれました。その要因としては「モバイル端末やペーパーレスに仕事ができる環境が既に整備されていた」、また前述したように「分散して働くチームのコミュニケーションやマネジメントに既に慣れていた」などが挙げられます。オフィス内でABWを実践するのと在宅勤務を行うのでは、単に働く場所が異なるだけ。業務を進めていくのに必要なIT環境やマインドに大きな差はなかったのです。

このパンデミックが収束しても、自然災害が多い日本においてBCPは常につきまとう企業課題です。どこでも働けるような体制を整えておけば、もう台風の日にボロボロになりながら出社する必要も、事故で何時間も来ない電車を待つ必要もありません。

社員間のコラボレーションは道半ば

一方で、社員間のコラボレーションについては、「知識やアイデアの共有がしやすい」と回答したワーカーの割合が63.4%と、移転前から大きく改善はしているものの数値は伸び悩んでおります。この結果について私たちは、今まで必要としていたコラボレーションはとてもやりやすくなったものの、コラボレーションの量そのものは増えていないのでは?と推測しております。

ITOKI TOKYO XORK 在籍ワーカー 知識/アイデア共有のしやすさ 推移

その根拠は2点あります。1点目は、移転前からの10の活動割合 *1に大きな変化が見られないこと、2点目は、コラボレーションに関わる活動を必要だと感じていないワーカーが未だに多い、ということです。

下記に移転前と2021年それぞれの10の活動割合を示したグラフを載せています。これを見ると、コラボレーション系の活動(「二人作業」「対話」「アイデア出し」「情報共有」「知識共有」)の割合が微減していることが挙げられます。もちろんリモートワークによって今までであれば対面で行っていた会話やコラボレーションが電話等に置き換わっているということも考えられますが、少なくとも「コラボレーションは大幅には増えていない」というのは間違いではないと考えています。

ITOKI TOKYO XORK 在籍ワーカー 10の活動割合

また2点目の「ワーカーがコラボレーションに関わる活動を必要だと感じていない」という点についてご説明いたします。効果測定のための定期アンケート調査において、私たちは「ワーカーが自身の業務にとって重要である活動の個数はいくつあるのか」に着目しています。当社が使用しているLeesman Surveyの設問の中にある21種類の活動のうち、グローバル平均が10.2個なのに対し、XORKのワーカーの平均は移転前4.9個、移転後5.5個と低い水準です。

ワーカーが必要だと思う活動として多く選択している活動を順に5つ挙げると、「デスクで個人的に行う集中業務」「個人的に行う通常業務」「予定された会議」「通話」「共同で行う創作的作業」となり、概ねワーカーは個人で行う仕事と電話、定例的な会議を重要だと考えていることが分かります。つまり、そもそも業務上でコラボレーションを必要としていない、もしくはそれをすることでより高い成果があげられると認識していないということが考えられるのです。これはワーカーへの仕事のアサインメントにも関わる問題であり、一朝一夕には解決できない問題であると考えております。

ITOKI TOKYO XORK 在籍ワーカー「重要だと考える活動の数」

組織の連帯感はさらなる検証が求められる

また組織の連帯感については、移転を経て一度数値が下がったのち、2021年には移転前の水準を超えてはいるものの、依然低い水準のままです。当初からこの点については課題認識を持っており、オフィスを「連帯感を育む場」として位置付け、チームで集まって働きやすいプロトタイプスペースを構築しました。しかしながら想定以上のパンデミックの長期化により「そもそもオフィスに来ても同僚はほとんどいない」といった状況が長く続いたこともあり、連帯感についてはマイナスの力が働いている可能性は否定できません。今後、感染が収束した後あらためて施策を検討し、検証が必要になる領域だと考えております。

ITOKI TOKYO XORK 在籍ワーカー 職場の連帯感 推移
プロトタイプスペースの一例

アフターコロナに向けてワーカーはいま何を感じているか

今までお伝えしてきた通り、ITOKI TOKYO XORKでのABWの実践によって大きく成果が得られた領域もあれば、思ったような成果が出ず伸び悩んでいる領域もございます。それを踏まえてアフターコロナに向けて今XORKで働くワーカーがどのような意識を持っているかを調査し、下記のポイントが浮かび上がりました。

  1. コロナ後も柔軟性のある働き方を求めている
  2. 以前の働き方より生活の質が上がったと感じるワーカーは6割以上
  3. 柔軟な働き方を実践することが、自社で働き続ける動機になる
  4. 活動によってオフィス/在宅での実施意向は異なる
  5. コミュニケーションは対面を望む一方、オフィス出社の大幅な増加は求めていない

こちらの詳細については後編で詳しくご紹介いたします。ITOKI TOKYO XORKでは万全の感染防止対策を行い、オフィス見学を受け付けております。ぜひご検討くださいませ。

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